いつの間にかC:ドライブの空き容量が減っていて、空き容量が少なくなっていて困ったことはないだろうか。ディスククリーンアップをコマンドで起動すれば、「隠れたクリーンアップ項目」が表示でき、より徹底的に不要なファイルを削除して、空き容量を大幅に増やすことが可能だ。その方法を解説しよう。
対象:Windows 11
「Windows 11」を長く使っていたり、「Windows 10」から「Windows 11」にアップグレードしたりすると、C:ドライブの空き容量が少なくなっていることがある。C:ドライブの不要なファイルを削除して空き容量を増やす基本的な方法は、Tech TIPS「『C:ドライブがいっぱい』を回避、Windows 11の『隠れごみ』を根こそぎ削除する究極テク」で紹介した。
実は、ディスククリーンアップをコマンドで起動することで、「隠れたクリーンアップ項目」を表示して、より徹底的に不要なファイルを削除する方法を解説する。この方法を使えば、標準のクリーンアップでは削除できない、システムの奥深くに眠る一時ファイルやキャッシュをクリアできる。本Tech TIPSでは、ディスククリーンアップをコマンドで起動して、さらに不要なファイルを削除する方法を紹介しよう。
通常のディスククリーンアップと違い、コマンドで起動する場合、設定をレジストリキーに書き込むためWindowsターミナルを管理者権限で起動する必要がある。
[スタート]ボタンを右クリックするか、[Windows]+[X]キーを押して、クイックリンクメニューを表示して[ターミナル(管理者)]を選択する。または、[Windows]+[R]キーを押して、[ファイル名を指定して実行]ダイアログを開き、「cmd」と入力後、[Ctrl]+[Shift]+[Enter]キーを押してもよい。
ユーザーアカウント制御(UAC)のダイアログが表示されたら、[はい]ボタンをクリックして許可すると、Windowsターミナルまたはコマンドプロンプトが管理者権限で開く。Windowsターミナルは、PowerShellとコマンドプロンプトのどちらでも構わない。
管理者権限でWindowsターミナルまたはコマンドプロンプトが開いたら、以下のコマンドを入力して、[Enter]キーを押す。
cleanmgr /d <ドライブ名> /sageset:<n>
このコマンドを実行すると、[ディスククリーンアップの設定]ダイアログが表示される。
cleanmgrコマンドのオプションは、下表の通りだ。
オプション | 説明 |
---|---|
/d <ドライブ名> | ディスククリーンアップでクリーニングするドライブを指定 |
/sageset:<n> | [ディスククリーンアップの設定]ダイアログを表示して、選択した設定を保存するためのレジストリキーを作成する。レジストリに格納されている<n>値を使用することで、ディスククリーンアップを実行するタスクを指定できる。<n>値には、「0」から「9999」までの任意の整数値を指定できる |
/sagerun:<n> | /sageset:<n>で保存した設定を使って各ドライブに対してディスククリーンアップを実行 |
/tuneup:<n> | /sagesetと/sagerunを同じ<n>値を使用して実行 |
/lowdisk | 既定の設定で実行 |
/verylowdisk | 既定の設定で実行。ユーザープロンプトは表示されない |
/autoclean | Windowsをアップグレードした後に残っているファイルを自動的に削除 |
cleanmgrコマンドのオプション |
通常のディスククリーンアップでは、「ダウンロードされたプログラムファイル」や「ごみ箱」「一時ファイル」などの項目しか表示されない。「システムファイルのクリーンアップ]ボタンをクリックして、システムファイルを含めても、「Windows Updateのクリーンアップ」や「Microsoft Defenderウイルス対策」などの項目が増える程度だ。
cleanmgrコマンドを使うことで、下表のようにより多くの項目がクリーンアップの対象として選択できるようになる。
項目 | ディスククリーンアップ(標準) | ディスククリーンアップ(システムファイルのクリーンアップ) | cleanmgrコマンド |
---|---|---|---|
Temporary Setup Files | − | − | ○ |
古い Chkdsk ファイル | − | − | ○ |
ログファイルの設定 | − | − | ○ |
Windows Updateのクリーンアップ | − | ○ | ○ |
Microsoft Defenderウイルス対策 | − | ○ | ○ |
Windowsアップグレードログファイル | − | ○ | ○ |
診断データビューアーのデータベースファイル | − | − | ○ |
ダウンロードされたプログラムファイル | ○ | ○ | ○ |
フィードバックHubアーカイブのログファイル | − | − | ○ |
インターネットー時ファイル | ○ | ○ | ○ |
システムエラーのメモリダンプファイル | − | − | ○ |
システムエラーのミニダンプファイル | − | − | ○ |
Windowsエラー報告とフィードバックの診断 | ○ | ○ | ○ |
BranchCache | − | − | ○ |
DirectX シェーダーキャッシュ | ○ | ○ | ○ |
配信の最適化ファイル | ○ | ○ | ○ |
言語リソースファイル | − | ○ | ○ |
ごみ箱 | ○ | ○ | ○ |
RetailDemo Offline Content | − | − | ○ |
一時ファイル | ○ | ○ | ○ |
一時Windowsインストールファイル | − | ○ | ○ |
縮小表示 | ○ | ○ | ○ |
ユーザーファイル履歴 | ○ | ○ | ○ |
ディスククリーンアップとcleanmgrコマンドの対象項目 |
これらの項目は、PCの動作に不要な古いデータやキャッシュなので、削除することでストレージに大きな空き容量を確保できる可能性がある。
[ディスククリーンアップの設定]ダイアログが表示されたら、削除したい項目にチェックを入れる。何が削除されるか不明な場合は、各項目の「説明」欄を読むとよい。また、「ダウンロードされたプログラムファイル」や「ごみ箱」などの項目では、「説明」欄に[ファイルの表示]ボタンが表示されるので、これをクリックして、削除対象となるフォルダをエクスプローラーで開いて確認できる。
選択が完了したら[OK]ボタンをクリックして設定をレジストリに保存する。
項目 | 内容 |
---|---|
レジストリキー | HKEY_LOCAL_MACHINEの\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\VolumeCaches 以下のキー |
値の名前 | Stateflags<####> |
型 | REG_DWORD |
データの値 | 2 |
この時点ではまだファイルは削除されないので、以下のコマンドを実行して、実際にクリーンアップを開始する。/sagerunオプションの<n>値は、/sagesetオプションで設定した値を指定する。/sagesetオプションで設定した<n>値で保存したディスククリーンアップの項目が削除される。
cleanmgr /d <ドライブ名> /sagerun:<n>
このコマンドを実行すると、先ほど設定した項目の不要なファイルが削除される。クリーンアップが完了するまで、しばらく時間がかかる場合がある。
では、実際にcleanmgrコマンドを使うと、どこまで空き容量が増やせるのか試してみよう。普段テストに用いているWindows 11を使って、ディスククリーンアップツールとcleanmgrコマンドの両方でどこまで使用領域が減るのか見ていこう。
ディスククリーンアップの実行前の使用量は、「245GB」であった。ディスククリーンアップツールで全ての項目にチェックを入れた場合、削減できる容量は「180MB」であった。ここで、[システムファイルのクリーンアップ]ボタンをクリックして、削除対象にシステムファイルを含めた場合は、「7.73GB」が削除可能となった。
そこで、cleanmgrコマンドではどこまで削減可能なのか、確認してみた。cleanmgrコマンドの場合、[ディスククリーンアップの設定]ダイアログで削除対象の項目にチェックを入れても、削減できる容量は表示されない。そこで、全ての項目にチェックを入れて、cleanmgrコマンドを使ったディスククリーンアップを実行、実行後の使用領域を確認した。使用領域は236GBとなったので、cleanmgrコマンドでは、9GBの削減ができたことが分かった。つまり、ディスククリーンアップツールで、システムファイルを含むクリーンアップを実行するよりも1GB以上の削減ができた。
コマンド実行によるディスククリーンアップでは、普段なかなか手が届かないシステムの奥深い部分が掃除できる。これにより、不要なファイルが整理でき、Windows 11のパフォーマンス改善やストレージ容量の確保に役立つ。
特に、長期間にわたって利用してきたWindows 11では、「システムエラーのメモリダンプファイル」やさまざまなログファイルなどが知らないうちにたまって、ストレージを無駄に圧迫している可能性がある。この方法で削除すれば、驚くほど空き容量が増えるかもしれない。Windows 11を常に最高の状態に保ちたい、より深くシステムを管理したいという人は、ぜひ試してもらいたい。
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