生成AIの活用が広まる中、Domoは年次レポート「Data Never Sleeps:AI版」で、そのインパクトを1分間という単位で可視化した。世界のAI投資額は1分間に121万ドル超となるなど生成AIは加速の一途をたどっている。
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生成AI(人工知能)が日進月歩で進化を遂げ、「人手不足」など積年の経営課題を解決する手段としても注目を集め、企業の間でも導入の動きが広まっている。一方、従業員が非公式に生成AIを利用する「シャドーIT」、生成AIを悪用するリスク、データガバナンスといった課題も顕在化しつつある。
では、こうしたリスクをどこまで認識すべきなのか。社会全体におけるAIの浸透はどう進んでいるのだろうか。
Domoは、インターネット上で毎分生成された膨大なAIデータの利用状況や、AIが日常生活にもたらしている影響を分析し、その調査結果を「2025 Data Never Sleeps:AI版」として発表した。
世界のAI投資額は、2024年の毎分29万3000ドルから、2025年は毎分121万ドル以上に急増し、前年比312%増となった。
AIのスタートアップ(新興企業)は、毎分18万4046ドルのベンチャーキャピタル(VC)資金を調達している。
毎分190万個のコンピュータチップが販売されている。
ChatGPTに毎分6億9400万のプロンプトが送信されている。
OpenAIのユーザーは、毎分約35のカスタムGPT「GPTs」を作成している。
職場でのAI活用が広がるにつれ、従業員はAIを使うことで、平均して123万時間を節約している。Domoは「140年分を超える生産性向上に相当する」と分析している。
毎分2万3611枚の画像がAIを使って生成されている。
毎分34万7000以上のタスクが大規模言語モデル(LLM)の「DeepSeek」で実行されている
AIが生産性を向上させる一方で、迷惑行為や違法な手段に悪用されるケースもある。米国では、AIを利用した詐欺電話が毎分10万9444件発生している。
職場でAIスキルが求められるようになる中で、毎分6人が生成AI関連のトレーニングコースに登録している。
Domoのプロダクト担当シニアバイスプレジデント、ベン・シャイン氏は「人々が自分の能力を高めるツールを強く求めていることを明確に示している。宿題に取り組む学生から、業務を効率化するためにAIを活用するビジネスパーソンまで、AIは『人間の代わり』ではなく、『人と共に成果を出すパートナー』として受け入れられている」と述べている。
生成AI投資や、ChatGPTあるいはDeepSeekの活用状況を見ても、社会全体で生成AIの活用が進展しつつあることがあらためて浮き彫りとなっている。企業は、従業員の自発的な生成AI活用の動向を把握し、生成AIに関するガイドラインを策定する必要がある。生成AIを導入するなら安全な利用環境を整えるとともに、従業員の生成AIスキルアップ支援の取り組みにも注力するなど、倫理や教育、人材育成といった多角的な視点から取り組む必要があるだろう。
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