重要な作業の最中、PCの動作が急にカクカクになった、そんな経験はないだろうか? こんなとき、タスクマネージャーでタスクを右クリックしてメニューの[タスクの終了]を選択してCPU使用率が高いアプリを強制的に終了していたかもしれない。しかしWindows 11で実装されている「効率モード」を使えば、アプリを強制終了せずにCPU使用率が下げられる。本Tech TIPSでは、この「効率モード」の使い方について解説する。
対象:Windows 11 2022 Update(バージョン22H2)以降
重要な作業の最中、PCの動作が急にカクカクになり、マウスポインターもスムーズに動かなくなる……、そんな経験はないだろうか? 急いで[Ctrl]+[Shift]+[Esc]キーを押してタスクマネージャーを開くと、特定のアプリがCPUを90%以上も占有しているのが原因のようだ。
こんなとき、これまではタスクが終了するまで我慢するか、タスクマネージャーでタスクを右クリックしてメニューの[タスクの終了]を選択してアプリを強制的に“殺す(終了する)”しかなかった。ただ、アプリを強制終了すると、作業中のデータが失われるリスクがあるので、うかつには実行できない。
実はWindows 11 2022 Update(バージョン22H2)以降、もっとスマートな第三の選択肢が実装されている。それは、アプリを起動したまま、Windows 11のリソースの使用量を減らすタスクマネージャーの「効率モード」だ。本Tech TIPSでは、この効率モードの使い方について解説する。
タスクマネージャーに実装された「効率モード」とは、特定のアプリケーションプロセスに対して「リソースの消費を抑えなさい」とWindows 11が命令を出す機能だ。
具体的には、そのアプリの処理優先度(プライオリティ)を下げることで、CPUやメモリの使用量を減らすというものだ。これにより、そのアプリがPC全体のパフォーマンスに与える悪影響を抑えつつ、アプリ自体は終了させずに済む。アプリの処理時間は長くなるものの、アプリを終了させないため、作業中のデータが失われることはない。
また、効率モードから通常モード(処理優先度の高い状態)に戻すことも可能なので、他のアプリの負荷が下がった時点で通常モードにして処理を進めるといったこともできる。
例えば、OneDriveなどのオンラインストレージの同期を一時的に抑制したいといった場合に使うとよい。
ただし、Windows 11のシステムにとって重要なプロセスなどを「効率モード」に設定することはできないので注意してほしい。
タスクマネージャーを起動し、PCを重くしている「負荷の高いアプリ」を探そう。タスクマネージャーは、タスクバーの右クリックメニューで[タスクマネージャー]を選択するか、[Ctrl]+[Shift]+[Esc]キーを押せば起動できる。
タスクマネージャーが起動したら、[プロセス]タブを開き、「CPU」の列をクリックして使用率の高い順に並べ替える。CPUの使用率が高いアプリ(プロセス)、つまりPCを重くしている原因のアプリを特定する。
原因となっているプロセスの中で、処理が遅くなっても構わないものを右クリックし、表示されたメニューで[効率モード]を選択する。「効率モードを有効にしますか?」という確認ダイアログが表示されたら、[OK]ボタンをクリックする。
「効率モード」が有効になると、タスクマネージャーの「状態」列に「効率モード」と表示される。このプロセスのCPU使用率が下がることで、PC全体の動作が改善されるはずだ。全体としてCPU使用率が低いような場合は、「効率モード」にしても、そのプロセスのCPU使用率はそれほど下がらないようだ。
複数のタブを開いた状態のWebブラウザなどの場合、メニューを開いても[効率モード]がグレーアウトして選択できなくなっている。このような場合は、このプロセスを展開(プロセス名の前にある「>」をクリック)して、展開されたプロセスを右クリックすると[効率モード]が選択できる。
なお、Webブラウザの場合、ブラウザ自体が使用していないタブを自動的に「効率モード」にする機能がある。そのため、Webブラウザのプロセスを展開すると、「状態」列に[緑色の葉っぱ]アイコンが表示されているはずだ。これは、このプロセスが「効率モード」状態にあることを示している。
「効率モード」を解除したい場合は、再度プロセスを右クリックし、[効率モード]を選択して、チェックを外せばよい。
CPU使用率の高い順にプロセスを並べ替えるように設定すると、使用率の変動に応じて頻繁にプロセスの並びが変わり、各プロセスの位置も変わってしまう。すると、狙ったプロセスを右クリックするのが間に合わず、別のプロセスのメニューが表示されてしまうことがある。
このような場合は、タスクマネージャーの左下にある[⚙ 設定]アイコンをクリックして表示される設定画面で、[リアルタイムアップデートスピード]を「低」にしてみよう。CPU使用率が変動する間隔が延びて、各プロセスの位置が変わる頻度が下がり、右クリックしやすくなる。
「効率モード」は、PCを重くするプロセスは停止する、というこれまでの「0か100か」というパフォーマンス管理をより柔軟にコントロール可能にするものだ。PCが重くなったときは、慌てて「タスクの終了」を押す前に「効率モード」を利用することを思い出してほしい。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.