少なくとも今後8年間のサポートを保証する。
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Oracleは2025年9月16日(米国時間)、プログラミング言語と開発プラットフォームの最新版 「Java 25」(Oracle JDK 25)を正式に提供開始した。Java 25は、言語仕様やAPIの改善により、AI(人工知能)を活用したアプリケーションを効率的に開発できる基盤が整備されたという。
日本オラクルは2025年9月11日にJava 25に関する事前説明会を開催。OracleでJavaデベロッパー・リレーション担当バイスプレジデントを務めるチャド・アリムラ氏がJava 25の主な特徴とサポートについて説明した。
Java 25の主な新機能は「JDK Enhancement Proposal」(JEP)単位で下記の通り。他にも、ポスト量子暗号(PQC)対応などセキュリティ強化を盛り込み、開発生産性とパフォーマンスを改善している。
「JEP 512」の「コンパクトなソースファイルとインスタンスのmainメソッド」では、下図のようにmain関数による始まりのプログラムを簡潔に記述できるようになった。
前バージョン「Java 24」でプレビュー機能だった「JEP 495」が正式に利用できるようになっている。Javaに詳しくないシステム管理者やIT管理者も、スクリプトやコマンドラインで扱うような小規模なプログラムを、面倒な定型文なしに簡単に記述できるようになるという。
Oracle JDK 25の言語機能として「JEP 507」のプリミティブ型のパターン、instanceof、switch(第3プレビュー)、「JEP 511」のモジュール・インポート宣言、「JEP 513」柔軟なコンストラクタ本体が、Oracle JDK 25のライブラリとして「JEP 508」のVector API(第10インキュベーター)、「JEP 505」の構造化された並行性(第5プレビュー)が実装された。これらとAIアプリ開発の関連性についてアリムラ氏は、次のように説明している。
「JEP 507によってビジネスロジックとAI推論のプリミティブ型の統合が簡単になる。JEP 511によってビジネスロジックをAI推論、ライブラリ、サービスコールとより簡単に統合できる。JEP 508はベクトル計算を表現できるAPIによって、AI推論や計算処理などでよく使われるスカラー計算よりもパフォーマンスを向上させる。JEP 505は並行プログラミングを簡素化し、マルチスレッドコードの保守性や信頼性、可観測性を向上させるので、並列で複数のタスクを実行することが多いAI開発において大きな利点がある」
Java 25はJava 21以来のLTS(長期サポート)を提供するバージョンとなる。OracleはJava 25に対して、少なくとも今後8年間のLTSを提供する。これにより、企業は安定したアプリケーション運用と柔軟な移行計画を実現できるという。具体的には、2028年9月まで無料ライセンス「Oracle No-Fee Terms and Conditions」(NFTC)の下で四半期ごとのセキュリティ/パフォーマンスアップデートが提供され、その後のサポートは「Java SE OTN License」に基づき、少なくとも2033年9月まで継続される予定だ。
今回のリリースに伴い、「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)がJava 25をサポートするようになる。OCIを利用する開発者は、追加料金なしで「Java SE」「Java SE Subscription Enterprise Performance Pack」の機能を利用し、アプリケーションを構築、デプロイできる。
OracleのJava Platform担当シニア・バイスプレジデントでありOpenJDK運営委員会議長のジョージ・サーブ氏は、「2025年、Javaは30周年という大きな節目を迎えた。Java 25はAIアプリ開発に役立つ機能を強化し、学びやすさを高める工夫が盛り込まれている。OracleがJavaへの継続的な投資を続けていることの証でもある」と述べている。
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