【Windows 11】変更は意外と少ない? 2025年版機能更新アップデートによる変更点と注意点Windows 11 Trends

毎年10月ごろにリリースされる「Windows 11」の大型更新プログラム「機能更新プログラム」。その2025年版の概要が見えてきた。正式提供前にWindows Insider Programの「Release Preview Channel」から得られた情報を基に、2025年の機能更新プログラムによる機能変更点や更新に際して注意すべき点などについて解説する。

» 2025年09月29日 05時00分 公開
[小林章彦デジタルアドバンテージ]
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Windows 11の2025年版機能更新アップデートによる変更点と注意点 Windows 11の2025年版機能更新アップデートによる変更点と注意点
毎年10月ごろにリリースされる「Windows 11」の大型更新プログラム「機能更新プログラム」。その2025年版の概要が見えてきた。正式提供前にWindows Insider Programの「Release Preview Channel」から得られた情報を基に、2025年の機能更新プログラムによる機能変更点や更新に際して注意すべき点などについて解説する。

 毎年10月ごろにリリースされる「Windows 11」の大型更新プログラム「機能更新プログラム」。その2025年版の概要が見えてきた。

 Windows Insider Programの「Release Preview Channel」でWindows 11 2024 Update(バージョン24H2、以下24H2)ならびにバージョン25H2(一般名称未定、以下25H2)に対する機能更新プログラムを適用したバージョンが公開された。このバージョンを見ることで、近日中に公開される機能更新プログラムでどのような変更が加わるのかが分かる。リリース直前となるが、どのような機能変更があるのか、更新に際して注意すべき点などについて解説する。

 本稿では、プレビュー版で得た情報を基に説明している。そのため、正式にリリースされる25H2と完全には一致しない可能性がある点は留意していただきたい。

Windows 11に提供される機能更新プログラムとは

 前述の通り、Windows 11では、毎年10月ごろに機能更新プログラムが提供される。2024年版は、10月1日に24H2の提供が開始されている。この機能更新プログラムを適用するとバージョンが変わり、サポート期限がWindows 11 Pro/Homeでは約2年(24カ月)、Enterprise/Educationでは3年間延長される。

 機能更新プログラムを適用した新しいバージョンに対しては、次のバージョンが提供されるまでの間に、「Moment Update」と呼ばれる更新プログラムによって新機能が年に数回(4回程度)投入されることになる。

 一方、機能更新プログラムを適用しない状態の場合、セキュリティや不具合に対する更新プログラムが中心となり、基本的に大型の機能追加や更新はない。そのため、最新の機能は利用できないものの、機能追加による不具合などに遭いにくいというメリットがある。

Windows 11の機能更新プログラムの提供時期とその性格 Windows 11の機能更新プログラムの提供時期とその性格
サポート終了の時期はWindows 11 Home/Proを対象としている。

 このあたり少々分かりにくいのだが、今回の機能更新プログラムは、24H2の最後のMoment Updateも兼ねており、25H2にアップデートするために必須のものとなっている。

 今回の更新プログラムを適用すると、「設定」アプリの「Windows Update」画面にオプションとして「Windows 11,version 25H2が利用可能です。」と表示され、25H2にバージョンアップするための更新プログラム(イネーブルメントパッケージ、詳細は後述)の適用が可能となる。

Windows 11バージョン25H2にバージョンアップする Windows 11バージョン25H2にバージョンアップする
24H2に対する更新プログラムを適用後、「Windows Update」画面を開くと、このように25H2にバージョンアップする案内が表示される予定だ。ここで[ダウンロードとインストール]をクリックすると、イネーブルメントパッケージ(後述)が適用される。再起動後、バージョンが25H2に上がる。

 25H2にバージョンアップするための更新プログラムを適用しなければ、24H2として運用できる。一方、今後提供される新機能を使いたい場合は、この更新プログラムを適用し、25H2にすればよい。

 なお、Windows 11 Home/Proで2023 Update(バージョン23H2)を利用している場合、25H2の提供開始後の2025年11月12日(日本時間)に、サポートが終了してしまうので注意してほしい。24H2または25H2へバージョンアップしないと、セキュリティ更新プログラムも適用されなくなる。

更新プログラムで追加・修正される機能

 Windows Blogs「Releasing Windows 11 Builds 26100.6713 and 26200.6713 to the Release Preview Channel」によると、今回の更新プログラムは24H2と25H2の両方のバージョンに対応するとしている。このことから、この更新プログラムでは25H2だけに提供される新機能はないものと思われる。

 今回の更新プログラムは、適用後に一斉に有効となる「通常ロールアウト」と特定のユーザーグループから徐々に展開していく「段階的ロールアウト」に分かれている。

通常ロールアウトで提供される改善点

 通常ロールアウトで提供される改善点などについて見ていこう。主に不具合の修正が中心となる。

項目 説明
中国語IMEの表示不具合修正 一部の中国語文字が空白になる問題を修正
Windows Updateの安定性向上 WSUS環境での更新失敗問題を解消
Windows HelloのPIN設定エラー修正 Entra IDドメインに参加している端末でPIN設定エラー(0x80090010)が発生するのを修正
メディア再生の不具合修正 Blu-rayやDVD再生時の保護コンテンツ再生エラーを修正
バッテリーアイコンの表示修正 充電中にもかかわらず充電状態が表示されない問題を修正
ゲーム体験の向上 Xboxボタンの長押しでタスクビューを起動、Game Barとの連携改善
通常ロールアウトで提供される主な改善点

段階的ロールアウトで提供される主な新機能

 また、段階的ロールアウトで提供される新機能は、主にCopilot+ PC向けのAI機能強化や設定の使いやすさ向上などが中心となっている。これらの機能は、段階的ロールアウトとなっており、特定のユーザーグループから順次展開されていく。更新プログラムを適用してもすぐには利用できない可能性が高いので注意してほしい。

項目 説明
クリックして実行(Click to Do) コンテクストメニューに最新のAI機能を使ったアクションを提示、より短いテキストでまとめるように要約機能を改善
エクスプローラー 右クリックメニューのAIアクションメニューで画像編集(背景ぼかしや不要物除去など)や文書の要約が可能に
インジケーターの表示位置変更 明るさや音量などのポップアップを画面上の任意の位置に移動可能に
設定画面の改善 エージェント検索結果から直接該当設定ページへ移動可能に
新しい絵文字(Emoji 16.0) 「疲れた顔」「指紋」「根菜」「葉のない木」など文化横断的な絵文字を追加
ナレーターのBraille Viewer対応 視覚障害者向けに画面上のテキストと点字表示を同時に確認可能に
パスキー管理の統合 Windows Helloと連携したプラグイン型パスキー管理が可能に
段階的ロールアウトで提供される主な新機能

エクスプローラーの右クリックメニューに追加されたAIアクション機能(1) エクスプローラーの右クリックメニューに追加されたAIアクション機能(1)
Copilot+ PCでは、エクスプローラーの右クリックメニューに「AIアクション」が追加される。テキストファイルに対しては、「AIアクション」で要約が選択できる。また、画像ファイルの場合は「Bingで画像検索」「フォトで背景をぼかす」「フォトでオブジェクトを消去」「ペイントで背景を削除」が選択可能だ。
エクスプローラーの右クリックメニューに追加されたAIアクション機能(2) エクスプローラーの右クリックメニューに追加されたAIアクション機能(2)
[Copilotで要約]を選択すると、このようにテキストが要約される。

25H2へのアップデートは短時間で適用可能

 前述の通り、今回の更新プログラムは24H2に対する最後のMoment Updateを兼ねている。更新プログラムを適用すると、25H2にバージョンアップするための「イネーブルメントパッケージ」と呼ばれるオプションが適用可能になる。

 このイネーブルメントパッケージは、今回の更新プログラムを適用した24H2に対して、25H2向けの機能を有効にするだけのものなので、短時間で適用できる(再起動は必要)。イネーブルメントパッケージを適用すると、バージョンが「25H2」になるというわけだ。

 前述の通り、今回の更新プログラムにおける機能変更/追加は少ないため、25H2にバージョンアップすることで大きな不具合が発生する可能性は高くないものと思われる。ただし25H2に対しては今後、新機能の追加や機能改善が実施されるため、場合によっては大きな不具合が発生する可能性がある点には注意してほしい。

 安定的に利用したいのであれば、イネーブルメントパッケージを適用せず、24H2で使い続けるとよい。

25H2に提供される新機能は?

 2025年版の機能更新プログラムでは、前述の通り、25H2に対する新機能の提供はないようだ。ただ、Windows Insider Programの「Beta Channel」で提供されているバージョンを見ると、今後、25H2でさまざまな新機能の提供や機能改善が実施されそうだ。

 Copilot+ PC向けには、「クリックして実行」に表形式のデータを検出して、Excelへの変換や共有が可能となる機能の追加が予定されている。これは、今回の更新プログラムで提供予定だったが、延期となったものだ。大きな問題が発生しなければ、25H2で提供されるだろう。

 また、[スタート]メニューのデザインが変更される可能性も高い。現在提供されている「Beta Channel」では既に試されているからだ。具体的には、[スタート]ボタンのクリック直後に表示されるメニュー画面で、従来の[ピン留め済み][おすすめ]欄の下に、アプリの一覧が挿入される。Windows 11のリリース当初からこれまで、アプリの一覧を開くにはメニュー画面右上隅の[すべて]をクリックする必要があった。そのユーザーインタフェースが大きく変わることになりそうだ。

「Beta Channel」で提供されているバージョンの[スタート]メニュー 「Beta Channel」で提供されているバージョンの[スタート]メニュー
Windows Insider Programの「Beta Channel」で提供されているバージョンでは、[スタート]メニューのデザイン変更が試されている。画面のようにアプリの一覧が表示される「すべて」欄が、[スタート]ボタンをクリックした直後に表示される画面に表示されるようになっている。25H2では、いずれ機能追加でこのデザインが採用される可能性が高い。

 2021年10月5日にWindows 11がリリースされてから4年が経過したこともあり、エクスプローラーのタブ機能のような大きな機能追加は落ち着きつつあるようだ。今後は、Copilot+ PC向けに「クリックして実行」などの機能拡張が進むと思われる。

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