ガートナージャパンは、世界のCIOを対象に実施したAIへの取り組みに関する調査に基づき、企業はAIと人間の両面を準備して“新たな価値”の獲得を目指す必要があるとの見解を発表した。
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ガートナージャパンは2025年10月28日、世界のCIO(最高情報責任者)を対象に実施したAI(人工知能)への取り組みに関する調査結果を発表した。それによると、2030年までにAIを使わずに人間がするIT業務はなくなり、AIを活用して人間が行うIT業務は75%、AI単独で行うIT業務は25%になるとCIOが予想していることが分かった。
ガートナージャパンは、AIが世界の雇用に与える影響について「2026年末までは均衡が保たれるが、それ以降はAIの導入によってタスクや活動、仕事が拡張されたり自律的に提供されたりするようになる。2036年までに、AIを活用した新たな取り組み(AIイニシアチブ)を支援するために、世界で5億人以上の新しい雇用が生まれるだろう」と予測している。
ただし注意点もある。AIを活用することで生産性を向上させたりコストを最適化したりできるが、ガートナージャパンは「“新たな価値”を獲得するには、さらなる施策が必要だ」と指摘している。例えば従業員は、新しい方法でAIと働けるようになる必要がある。必要なスキルも変化し、AIから大きな価値を得られるかどうかは「人間とAI技術の両方の準備に大きく依存する」とガートナージャパンは述べている。
Gartnerのアンディ・ラウゼル・ジョーンズ氏(ディスティングイッシュトバイスプレジデント アナリスト)は、「全てのAIに、価値を生み出す準備ができているわけではない。さらにそれ以上に、人間側に価値を獲得する準備ができていない。AIの準備とは、人間が価値を見つけ、特定のユースケースのニーズに効果的に対応する上で、AIを役立てることを意味する。人間の準備とは、AIのバリューを獲得し、持続させるために、適切な人材と組織をそろえることを意味する」と述べている。
また、ガートナージャパンの松本良之氏(ディスティングイッシュトバイスプレジデント アドバイザリ)は、「AIの活用は、雇用の喪失ではなく、人間の働き方の変革につながる。CIOは、この変革の手始めとして、特に複雑度の低い業務での人材不足を緩和し、収益を生み出す新しいビジネス領域に人材をより多く再配置すべきだ」と述べている。
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