【起動時のF8キーを復活】Windows 11が隠した「セーフモード直行」メニューを1行コマンドで呼び出す技Tech TIPS

Windows 11では、障害が発生した際の復旧に便利な「セーフモード」にする方法が面倒になっている。以前は、起動時に[F8]キーを押すとセーフモードにする画面が表示されたのだが、この機能が無効化されている。そこで、コマンドを使って、この[F8]キーを復活させる用法を紹介しよう。

» 2025年11月05日 05時00分 公開
[小林章彦デジタルアドバンテージ]
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対象:Windows 11


セーフモードを開くための起動時の[F8]キーを復活させる セーフモードを開くための起動時の[F8]キーを復活させる
Windows 11では、障害が発生した際の復旧に便利な「セーフモード」にする方法が面倒になっている。以前は、起動時に[F8]キーを押すとセーフモードにする画面が表示されたのだが、この機能が無効化されている。そこで、コマンドを使って、この[F8]キーを復活させる用法を紹介しよう。

 Windows 11では、システムが起動しなくなった場合、何度も起動をわざと失敗させるか、設定アプリから「回復」メニューを経由して、「セーフモード」に入る必要がある。この手順は煩雑で、特にシステムが深刻なエラーを抱えている際にはイライラさせられるものだ。

 Windows 7以前では、起動中に[F8]キーを連打するだけで、即座にセーフモードや詳細ブートオプションを呼び出す機能があったが、Windows 8で廃止されている。

 しかし、Windowsの「ブート構成データ(Boot Configuration Data:BCD)」を操作することで、[F8]キーを押してセーフモードのメニューを復活させることができる。これは、システムトラブルの際に起動時間を短縮し、迅速に診断を開始するのに便利な機能だ。

 そこで本Tech TIPSでは、BCDを操作して、[F8]キーでセーフモードメニューを表示可能にする方法を紹介する。

 ただし、この操作は、システムのブート構成を変更するため、管理者権限が必要で、なおかつコマンドの入力ミスはシステム起動に関わる重大な問題を引き起こす可能性がある。そのため、必ず正確に実行しなければならない点に注意してほしい。

ステップ1:管理者権限でコマンドプロンプトを起動する

 [スタート]ボタンを右クリックするか、[Windows]+[X]キーを押して、クイックアクセスメニューを開き、[ターミナル(管理者)]を選択して、管理者としてWindowsターミナルを起動する。

 PowerShellなど、コマンドプロンプト以外のターミナルが開いている場合は、[v]アイコンをクリックして、[コマンドプロンプト]を選択して、コマンドプロンプトを開く。PowerShellでは、互換性やエンコーディングの問題でエラーになる可能性があるため、確実なコマンドプロンプトを選択するとよい。

管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(1) 管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(1)
[スタート]ボタンを右クリックするか、[Windows]+[X]キーを押して、クイックアクセスメニューを開いたら、[ターミナル(管理者)]を選択する。
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(2) 管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(2)
Windowsターミナルが開く。コマンドプロンプト以外が開いた場合、[v]をクリックして、表示されたメニューで[コマンドプロンプト]を選択する。
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(3) 管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(3)
管理者権限でコマンドプロンプトが開く。

【注意】BitLockerの回復キーを調べておく

 セーフモードで起動する際、BitLockerの回復キーの入力が求められることがある。Microsoftアカウントでサインインしている場合、Windows 11 Homeであっても、自動的にBitLockerによる暗号化が実施されるためだ。

 そこで、事前にBitLockerの回復キーを調べてメモしておいた方がよい。回復キーを調べる方法は、Tech TIPS「BitLockerの回復キーが分からない場合の確認方法【Windows 10/11】」を参照してほしい。

 簡単に説明しておくと、「BitLocker回復キー」を開いて、セーフモードで起動したいWindows 11のサインインなどで使っているMicrosoftアカウントでサインインする。「BitLocker回復キー」画面が開くので、ここでデバイス名やキーのアップロード日から該当する回復キーを探して、メモしておく(回復キーを調べるのは、別のPCでも構わない)。

BitLockerの回復キーを調べる(1) BitLockerの回復キーを調べる(1)
Webブラウザで「https://aka.ms/myrecoverykey」ページを開き、セーフモードで起動したいWindows 11のサインインなどで使っているMicrosoftアカウントでサインインする。
BitLockerの回復キーを調べる(2) BitLockerの回復キーを調べる(2)
BitLockerの回復キーの一覧から、該当するPCを探し、「回復キー」をメモしておく。具体的には、回復キーの入力が求められているWindows 11の画面(後述)に表示される「回復キーID」の先頭8文字と、このブラウザ画面の「キーID」列を照合し、一致する行(PC)の「回復キー」を入力することになる。

ステップ2:BCD(ブート構成データ)のポリシーを変更する

 開いたコマンドプロンプトに以下のコマンドラインを入力し、[Enter]キーを押して実行する。

bcdedit /set {default} bootmenupolicy legacy


BCDのポリシーを「Legacy」に変更するコマンド

 実行後、「この操作は正常に完了しました。」と表示されれば成功だ。

BCD(ブート構成データ)のポリシーを変更する BCD(ブート構成データ)のポリシーを変更する
上記のBCDEDITコマンドを実行する。「この操作は正常に完了しました。」と表示されれば成功だ。これで起動時に[F8]キーを押すことでセーフモードを開くための画面が表示できるようになる。

ステップ3:セーフモードで起動する

 コマンドを実行したらWindows 11を再起動する。再起動の際、メーカーロゴなどが表示されている間に[F8]キーを連打すると、BitLockerの回復キーの入力を求める「BitLockerドライブ暗号化」画面が表示されるはずだ(BitLockerで暗号化されていない場合は表示されない)。

 ここで、[Enter]キーを押すと、回復キーの入力画面が表示されるので、事前に調べておいたBitLockerの回復キーを慎重に入力する。黒い背景の「詳細ブートオプション」画面が表示されるはずだ。

 ここで「コンピューターの修復」や「セーフモード」などを選択し、システムを復旧すればよい。

セーフモードで起動する(1) セーフモードで起動する(1)
前述のBCDの設定変更後に再起動して、メーカーロゴなどが表示されている間に[F8]キーを連打すると、この画面が表示される。Windows 11では、自動的にBitLockerによるシステムドライブの暗号化が実施されるため、このようにBitLockerの回復キーを入力する必要がある、という警告画面が表示されることがある。[Enter]キーを押して、回復キーの入力画面を開く。
セーフモードで起動する(2) セーフモードで起動する(2)
メモしておいた回復キーを入力し、[Enter]キーを押す。
セーフモードで起動する(3) セーフモードで起動する(3)
黒い背景の「詳細ブートオプション」画面が表示される。ここで[コンピューターの修復]や[セーフモード]を選択し、[Enter]キーを押す。

設定を元に戻す

 従来の状態に戻したい場合は、再度、管理者権限のコマンドプロンプトを開き、以下のコマンドラインを実行すればよい。

bcdedit /set {default} bootmenupolicy standard


BCDのポリシーを「Standard」に戻すコマンド

 この設定は、「Legacy」ポリシーを「Standard」ポリシーに戻すもので、[F8]キー連打によるメニュー表示は無効化される。

参考:BCDのポリシーを変更せずにセーフモードで起動する方法

 BCDのポリシーを変更せずにセーフモードを起動したい場合は、Tech TIPS「簡単に対処できない危機的な状況でもセーフモードを起動する方法【Windows 11】」を参照してほしい。

 [Shift]キーを押しながらWindows 11の[電源]メニューの[再起動]を選択し、Windows回復環境(WinRE)を開く(不具合によってWindows 11が再起動を繰り返すようならば、自動的にWindows回復環境の画面が開くはずだ)。Windows回復環境が開いたら、[トラブルシューティング]-[詳細オプション]−[スタートアップ設定]を選択する。

 ここで、「BitLocker」画面が開き、「スタートアップ設定にアクセスするには、回復キーを入力する必要があります」と表示されることがある。この場合は、事前に調べておいたBitLockerの回復キーをここで入力する。

 「スタートアップ設定」画面が開いたら、[再起動]ボタンをクリックすると、再起動後、「詳細ブートオプション」画面が表示されるはずだ。

Windows回復環境でセーフモードを開く(1) Windows回復環境でセーフモードを開く(1)
[Shift]キーを押しながらWindows 11の[電源]メニューの[再起動]を選択し、Windows回復環境(WinRE)を開く。Windows回復環境が開いたら、[トラブルシューティング]を選択する。
Windows回復環境でセーフモードを開く(2) Windows回復環境でセーフモードを開く(2)
[詳細オプション]を選択する。
Windows回復環境でセーフモードを開く(3) Windows回復環境でセーフモードを開く(3)
[スタートアップ設定]を選択する。システムドライブがBitLockerで暗号化されている場合、回復キーの入力が求められるので、回復キーを入力する。
Windows回復環境でセーフモードを開く(4) Windows回復環境でセーフモードを開く(4)
この画面が表示されたら、[再起動]ボタンをクリックして再起動を実行する。その後、見慣れた黒い背景の「詳細ブートオプション」画面が表示される。

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