【 Remove-VMNetworkAdapterAcl 】コマンドレット――Hyper-V仮想マシンの仮想ネットワークアダプターのアクセス制御リスト(ACL)を削除するWindows PowerShell基本Tips(146)

本連載は、PowerShellコマンドレットについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は「Remove-VMNetworkAdapterAcl」コマンドレットを解説します。

» 2025年11月07日 05時00分 公開
[後藤諭史株式会社ネットワールド]

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「Windows PowerShell基本Tips」のインデックス

連載目次

 本連載では、Windows PowerShellの基本的なコマンドレットについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は、「Hyper-V」の仮想マシンに接続された仮想ネットワークアダプターの「アクセス制御リスト」(Access Control List:ACL)を削除する「Remove-VMNetworkAdapterAcl」コマンドレットです。

Remove-VMNetworkAdapterAclコマンドレットとは?

 Hyper-Vの仮想スイッチはさまざまなネットワーク機能を仮想マシンに提供しており、仮想マシンに対する通信を制御するACLによるアクセス制御にも対応しています。

 ACLを追加すると仮想マシンの通信をフィルタリングできますが、役目を終えたACLは削除されるべきです。利用されないACLの放置は無用な障害を招く恐れもあるため、メンテナンス作業で削除する必要があります。

 「Remove-VMNetworkAdapterAcl」は、仮想マシンのネットワークアダプターに対して設定されたACLを削除するコマンドレットです。

  ACLには「標準ACL」と「拡張ACL」の2種類があることは本連載144回の「Get-VMNetworkAdapterAcl」コマンドレットでも触れましたが、Remove-VMNetworkAdapterAclは標準ACLを削除するためのコマンドレットになります。

【注】Remove-VMNetworkAdapterAclコマンドレットは「Windows PowerShell用Hyper-Vモジュール」に含まれるコマンドレットになります。GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)の「Windowsの機能の有効化」や「役割と機能の追加」からHyper-Vを有効化するか、PowerShellから「Enable-WindowsOptionalFeature」コマンドレットを使用して有効化します。


Remove-VMNetworkAdapterAclコマンドレットの書式

Remove-VMNetworkAdapterAcl [オプション]


Remove-VMNetworkAdapterAclコマンドレットの主なオプション

オプション 意味
-VMName 仮想マシン名を指定する
-VMNetworkAdapter リソースオブジェクトとして仮想ネットワークアダプターを指定する。省略可能
-VMNetworkAdapterName 仮想ネットワークアダプター名を指定する。省略可能
-ManagementOS ホストOS用の仮想ネットワークアダプターのACLを削除したい場合に指定する。省略可能
-Action ACLのアクション(Allow/Deny/Meter)を指定する
-Direction ACLの方向(Inbound/Outbound/Both)を指定する
-LocalIPAddress ローカルコンピュータのIPアドレスを指定する。省略可能
-LocalMacAddress ローカルコンピュータのMAC(Media Access Control)アドレスを指定する。省略可能
-RemoteIPAddress リモートコンピュータのIPアドレスを指定する。省略可能
-RemoteMacAddress リモートコンピュータのMACアドレスを指定する。省略可能
-ComputerName リモートのHyper-Vホストの仮想ネットワークアダプターのACLを削除する場合にコンピュータ名を指定する。省略可能

仮想マシンの仮想ネットワークアダプターのACL設定を削除する

 必須オプションは「-VMName」オプションと「-Action」オプション、それに「-Direction」オプションですが、Remove-VMNetworkAdapterAclコマンドレットは削除するACLをアドレスも含めて指定する必要があるため、現在設定されているACLを参照してアドレスなどを指定して実行します(画面1)。

コマンドレット実行例

Remove-VMNetworkAdapterAcl -VMName Test-VM01 -Action Deny -Direction Both -RemoteIPAddress 192.168.200.103

ALT 画面1 各オプションで指定した値と一致する仮想ネットワークアダプターのACLを削除した

 画面1の実行例では、「-Direction」オプションで「Both」を指定しているため、「Outbound」と「Inbound」の両方のACLが削除されています。例えば、「Outbound」のみを削除したい場合は、「-Direction」オプションで「Outbound」を指定します(画面2)。

コマンドレット実行例

Remove-VMNetworkAdapterAcl -VMName Test-VM01 -Action Deny -Direction Outbound -RemoteIPAddress 192.168.200.102

ALT 画面2 「-Action」オプションと「-Direction」オプションで指定した値と一致するACLだけが削除された

 リモートアドレス「192.168.200.102」のACLが「Remove-VMNetworkAdapterAcl」コマンドレット実行後に「Outbound」のACLだけが削除されていることが分かります。

 ただし、リモートアドレスとして「192.168.200.0/24」のようにネットワークアドレスが指定されているACLに対し、そのネットワーク範囲の一部をホストアドレスとして指定して削除する、というようなことはできません(画面3)。コマンドレット自体は正常終了しますが、設定されているACLは変更されません。

ALT 画面3 ネットワーク範囲として指定されているACLの一部の範囲を削除しようとしても、削除できない

仮想マシンの仮想ネットワークアダプターのACL設定を全て削除する

 前項のように、削除するACLはアドレスや方向を含め一致させる必要があります。複数のACLが仮想ネットワークアダプターに設定されている場合は、個々のACLを指定して削除することも可能ですが、本連載144回の「Get-VMNetworkAdapterAcl」コマンドレットでACLを取得し、パイプ(|)でRemove-VMNetworkAdapterAclコマンドレットにつなぐことで、設定されているACLを一括で削除できます(画面4)。

コマンドレット実行例

Get-VMNetworkAdapterAcl -VMName Test-VM01 | Remove-VMNetworkAdapterAcl

ALT 画面4 「Get-VMNetworkAdapterAcl」コマンドレットを併用することで、設定されたACLを全て削除できる

ホストOSが使用する仮想ネットワークアダプターのACLを削除する

 ホストOSが使用する仮想ネットワークアダプター、すなわちホストOSが仮想スイッチ経由で通信する際に使用される仮想ネットワークアダプターのACLを削除する場合は、「-ManagementOS」オプションを使用します(画面5)。

コマンドレット実行例

Remove-VMNetworkAdapterAcl -ManagementOS -Action Deny -Direction Both -RemoteIPAddress 0.0.0.0/0

ALT 画面5 「-ManagementOS」オプションを使用することでホストOSが使用する仮想ネットワークアダプターのACLを削除できる

筆者紹介

後藤 諭史(ごとう さとし)

株式会社ネットワールド所属。Microsoft MVP for Cloud and Datacenter Management(2012-2026)。現業の傍ら、コミュニティーイベントでの登壇や著作にてMicrosoftテクノロジーに関する技術情報の発信、共有を続けている。ネットワークやハードウェアといった物理層に近いところが大好きな、昔ながらのインフラ屋さん。得意技はケーブル整線。近著は『詳解! Windows Server仮想ネットワーク』(日経BP社)。


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