Windows 11では、従来のコマンドプロンプトなどに代わり「Windowsターミナル」が新しいコマンドラインインタフェースの標準になっている。Windowsターミナルは、コマンドプロンプトやPowerShellなどの異なるシェルを1つのウィンドウでタブ表示できる。また、プロファイルを設定することで自分が使いやすいようにカスタマイズできるのも特徴だ。そこで本Tech TIPSでは、Windowsターミナルを便利に使うための設定を5つ紹介する。
対象:Windows 11
Windowsターミナルをもっと便利にする5大テクニック従来のWindows OSでは、コマンドプロンプトやPowerShellといった独自のコマンドラインインタフェースが用意されていた。しかしWindows 11では、「Windowsターミナル(Windows Terminal)」と呼ばれる新しいコマンドラインインタフェースが標準になっている(従来のコマンドプロンプトやPowerShellのコマンドラインインタフェースも利用可能)。
Windowsターミナルの最大のメリットは、複数の異なるシェル(コマンドプロンプト、PowerShell、WSL上のLinux)を1つのウィンドウでタブ表示できることにある。また、プロファイルを設定することで自分が使いやすいようにカスタマイズできるのも特徴だ。標準設定でも十分便利なのだが、幾つかの設定を変更することで、その使いやすさが劇的に向上し、作業効率は格段に上がる。
そこで本Tech TIPSでは、Windowsターミナルを便利に使うための設定を5つ紹介する。
Windowsターミナルは、[スタート]メニューの「すべて」画面で「ターミナル」を選択することで起動可能だ。ただ、「た」の位置にあるため、リストをかなりスクロールしなければならず「すべて」画面から起動するのは少々面倒だ。
[スタート]ボタンの右クリックまたは[Windows]+[X]キーを押して開く、クイックアクセスメニューで[ターミナル]または[ターミナル(管理者)]を選択する方が手早く起動できるだろう。
Windowsターミナルを起動する(1)また、[Windows]+[R]キーで[ファイル名を指定して実行]ダイアログを開き、「wt」と入力して[Enter]キー(通常起動)または[Ctrl]+[Shift]+[Enter]キー(管理者として起動)を押して起動してもよい。
ちなみにコマンドを使う場合、「wt -p "Ubuntu"」「wt -p "Command Prompt"」「wt -p "Ubuntu"」といったように「-p」オプションでプロファイルを指定して、特定のシェルを開いた状態でWindowsターミナルを起動することも可能だ。
前述の通り、WindowsターミナルではコマンドプロンプトやPowerShellなどの異なるシェルを扱うことが可能だ。
デフォルトでは、WindowsターミナルがPowerShellを開いた状態で起動するように設定されている。普段からPowerShellを主に使っている人はそのままで便利だが、コマンドプロンプトやWSL上のLinux(Ubuntuなど)を利用している人は、毎回新しいタブを開く操作が必要になって面倒だ。
そこで、「既定のプロファイル」を変更し、最も使用するシェル(コマンドプロンプトやUbuntuなど)に変更しよう。例えば、既定のプロファイルを「コマンドプロンプト」に変更すれば、Windowsターミナルがコマンドプロンプトを開いた状態で起動するようになる。
それには、Windowsターミナルを起動したら、[v]アイコンをクリックし、[設定]を選択して、[設定]タブを開く。[Ctrl]+[,(カンマ)]キーを押しても、[設定]タブを開くことができる。
[設定]タブが開いたら、左メニューの[スタートアップ]を選択し、右ペインの「既定のプロファイル」欄のプルダウンリストで、Windowsターミナルを起動した際に開くシェルを選択すればよい。
既定のプロファイルを変更する(2)見た目の快適さは作業の集中力に直結する。Windowsターミナルは、ウィンドウの背景の透明度を調整したり、背景画像を設定したりでき、デザイン性と実用性を両立できる。
背景の透明度を調整することで、Windowsターミナルを最前面に表示した状態でも、ウィンドウの背後にあるアプリケーションの状態が把握できる。
好みや作業内容にもよるが、Windowsターミナルを常に前面に表示しておきたいこともあるだろう。そのような場合、Windowsターミナルの[設定]タブを開いたら、左メニューの[外観]を選択し、右ペインの「常に手前に表示」のスイッチを「オン」にすればよい。これで、Windowsターミナルが常に前面に表示されるようになる。
ただ、この状態では後ろのウィンドウが隠れて作業がしにくくなってしまう。そこで、背景の透明度を調整したいシェル(例えばコマンドプロンプト)を、左メニューの「プロファイル」の下にあるシェル名で選択し、右ペインの「追加の設定」欄にある[外観]をクリックする。ここでシェルの外観が設定できるので、「透明度」欄まで画面をスクロールして、「背景の不透明度」を70%から80%に設定する。不透明度は、Windows 11のテーマなどによっても、見た目が変わってしまうので、自分が使いやすい値に調整するとよい。
Windowsターミナルの背景を半透明にする(1)
Windowsターミナルの背景を半透明にする(2)背景画像を単色から画像に変更したい場合は、対象プロファイルの「外観」設定を開き、「背景画像」欄の「None」の右側にある[v]アイコンをクリックして展開し、[参照...]ボタンをクリックして画像ファイルを指定する。背景を元に戻したい場合は、画像ファイルのパスを削除して、[保存]ボタンをクリックすればよい。
管理者権限が必要な操作の場合、新たにWindowsターミナルを管理者として起動するのは面倒だろう。そのような場合は、[v]アイコンをクリックしてメニューを開き、管理者として起動したいシェル名を[Ctrl]キーを押しながらクリックすればよい。ユーザーアカウント制御(User Account Control:UAC)のダイアログが表示されるので[はい]ボタンをクリックすると、管理者として新しいWindowsターミナルが起動する。
ただ、[Ctrl]キーを押しながらクリックするのは忘れがちだ。そこで、管理者として起動する新しいプロファイルを作成して、メニューから選択できるようにしよう。
[設定]タブを開き、左メニューの「プロファイル」欄にある[+ 新しいプロファイルを追加します]を選択する。
「新しいプロファイルを追加します」画面が開くので、ここの「プロファイルを複製する」欄のプルダウンリストで管理者として起動したいシェルを選択後、[複製]ボタンをクリックする。ここでは、[コマンドプロンプト]を選択したとする。
「コマンドプロンプト(コピー)」が作成され、そのプロファイルの設定画面が開くので、「名前」欄を展開して、分かりやすい名前「コマンドプロンプト(管理者)」などに変更する。
さらに「このプロファイルを管理者として実行する」欄のスイッチを「オン」に切り替える。
[保存]ボタンをクリックすればプロファイルの追加は完了だ。[v]アイコンをクリックすると、メニューに「コマンドプロンプト(管理者)」が追加されているはずだ。これを選択すると、ユーザーアカウント制御のダイアログが表示され、[はい]ボタンをクリックすると、管理者でコマンドプロンプトが開いた状態のWindowsターミナルが起動するはずだ。
管理者でWindowsターミナルを起動するプロファイルを作成する(2)
管理者でWindowsターミナルを起動するプロファイルを作成する(3)
管理者でWindowsターミナルを起動するプロファイルを作成する(4)複数の操作を同時に監視したり、並行してコマンドを実行したりする場合、画面を分割すると便利なことがある。Windowsターミナルでは、ウィンドウ内をペインと呼ばれる区画に分割できる。
分割操作には、ショートカットキーがデフォルトで割り当てられているので、よく使うショートカットは覚えておくとよい。
Windowsターミナルで表示した長大なログから特定のキーワードを見つけ出す場合、通常のコマンドラインではオプションなどに精通していないと意図した通りにならないことが多い。Windowsターミナルの検索機能を使えば、正規表現や大文字/小文字の区別といった検索オプションが設定できるので簡単に見つけられる。
Windowsターミナルのウィンドウには検索ボックスやメニューは用意されていないため、検索ができることに気付いていない人も多いかもしれないが、[Ctrl]+[Shift]+[F]キーを押すことで検索ボックスが表示できる。
例えば、コマンドプロンプト上で「dir」コマンドを実行し、出力された一覧から目的のファイルやフォルダを探すといったことが可能だ。検索ボックスの右側には、「Aa(大文字/小文字)」や「^$(正規表現)」といったスイッチも用意されており、これをクリックして「オン」にすると、大文字と小文字が別の文字として認識されたり、正規表現による検索が有効になったりする。
Windowsターミナルに表示されている出力で、検索ボックスに入力した文字列に合致するものはハイライト表示されるため、そのファイル名をコピーして、次のコマンドに使うといったアクションにつなげられる。
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