paizaの調査レポートによると「生成AI活用を進めていない企業は、魅力が致命的に下がる。企業側も具体的なAI戦略と育成方針を示すことが重要だ」という。
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paizaは2025年11月10日、2027年に卒業予定(以下、27卒)のITエンジニア志望学生を対象にした「生成AI時代の就職活動とキャリアに関する意識調査」のレポートを公開した。
「あなたの将来のキャリアに、AI技術の発展が与える影響はどの程度だと考えていますか」という問いに対し、73.6%が「非常に大きい影響を与える」と回答。「ある程度の影響を与える」(22.9%)と合わせると、ほぼ全員(96.5%)が、自身のキャリアにおいてAIの発展を強く意識していることが示されている。
同社の過去調査によると、27卒学生は生成AI利用率が既に90.4%に上っており、同社は「AIネイティブ世代」と表現している。AIネイティブ世代にとって、生成AIは既に学習や情報収集に不可欠な存在。AIを「脅威」ではなく、自身のキャリアを形成する上で「避けられない、巨大な変化の要因」と認識していることが伺えるという。
paizaは「AIを前提としたキャリア設計を行うエンジニア志望学生に対し、企業側も具体的なAI戦略と育成方針を示すことが重要だ」としている。
「就職活動の企業選びにおいて、企業のAI技術に関する取り組みをどの程度重視していますか」という問いでは、「強く重視している」が27.1%、「多少重視している」が49.3%となり、合計76.4%の27卒学生が企業選びの判断材料としてAIへの取り組みを重視していることが判明した。
AIネイティブ世代にとって、企業が「AI時代にどう生き残るか」「どのようにAIを活用して新しい価値を創出するか」が将来性を測る指標になっているという。「単なる技術力だけでなく、組織全体としてAIを事業に組み込む戦略を持つ企業が、優秀なAIネイティブ世代の学生から選ばれるようになる」(paiza)
採用活動における生成AI活用に関しては、学生の支持が広範に見られた。エントリーシートの評価(71.5%)や、技術試験の判定(コーディング能力の評価は76.4%、適正・筆記試験能力の評価は70.2%)にAI導入を肯定的に捉える回答が多く、「公正かつ効率的に評価するためのツール」として受け入れられている。
一方、面接の評価にAIを取り入れる点については、他の選考工程よりは慎重な姿勢が残った(59.7%がAI肯定)。paizaは「面接の評価に生成AIを導入する場合は、従来通り、人対人のコミュニケーションを共存させることが望ましい」としている。
paiza 代表取締役社長/CEO 片山良平氏は、今回の調査結果について「AIネイティブ世代である27卒のITエンジニア志望学生は、社会に出てからのキャリアを考える際に『AIが存在しない職場』『AIの影響を受けない仕事』は想定外にしている。AIトレンドへのキャッチアップが遅れている企業で働くことは自身の成長にマイナスと考えている」と指摘。
企業にとっては「社内で生成AI活用を進めていない場合、魅力が致命的に下がる。採用戦略的には生成AIの活用と、その活用状況のアピールが重要だ」との見解を示した。
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