Synergy Researchはクラウドインフラサービス市場の第3四半期の最新データを公開。ビッグ3の市場シェア推移や、その他に台頭してきたクラウドベンダーの動向などを示した。
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クラウドインフラサービス市場では、3大クラウドベンダーが依然として存在感を示しているが、Amazon Web Services(AWS)のシェアが減少するなど新たな動きも見られる。
調査会社Synergy Research Groupは世界のクラウドインフラサービス市場に関する2025年第3四半期(2025年7〜9月)のデータを公表した。第3四半期の市場規模(「IaaS」〈Infrastructure as a Service〉、「PaaS」〈Platform as a Service〉、ホステッドプライベートクラウドを含む)は1070億ドル(約16兆7990億円<1ドル=約157円の為替レートで換算、以下同>)となった。これは8四半期前(2年前)の680億ドルから大幅な拡大であり、過去12カ月の累計売上高は3900億ドル(約61兆2300億円)に達した。
特にIaaSとPaaSのパブリッククラウドが市場の大半を占め、前年同期比で30%の成長を見せている。ベンダー別のシェアでは「ネオクラウド」と呼ばれる事業者の成長が目立った。
ベンダー別のシェアを見ると、AWS、Microsoft、Googleの「ビッグ3」合計で市場全体の63%を占めた。4四半期前の62%から1ポイント増、8四半期前の61%から2ポイント増と着実に上昇しており、市場拡大とともに大手への集中が進んでいることを示している。
各社の内訳は以下の通りだ。
Synergy Research Groupのチーフアナリストであるジョン・ディンスデール氏は、「AWSのシェアは2021年の32%超から現在は30%弱まで減少しており、MicrosoftとGoogleが差を縮めている。しかし、AWSが依然として強力なリーダーシップを維持している」とコメントしている。
3位のGoogleであっても、4位のAlibabaに対して約4倍の規模を持っており、上位3社とそれ以下の差は依然として大きい。
ビッグ3の後続グループの中で最大のトピックとして挙げられたのが、OracleとAI需要を取り込む「ネオクラウド」の成長だ。ネオクラウドの中ではCoreWeaveが圧倒的な最大手となっており、Crusoe、Nebius、Lambdaといった事業者も急速に成長しているという。
AlibabaとSalesforceは収益を伸ばしているものの、市場平均の成長率に届かずシェアを縮小。IBMは戦略変更の影響で売り上げが横ばいとなった。
地域別では、米国は依然として最大市場であり、アジア太平洋地域(APAC)全体を大きく上回る規模を保つ。現地通貨ベースで世界平均を上回る急成長を見せた国としては、インド、オーストラリア、インドネシア、アイルランド、メキシコ、南アフリカなどが挙げられる。欧州では英国とドイツが最大市場だが、成長率ではアイルランド、スペイン、イタリアが高かった。
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