「マウスが動かない」を救う。Windows 11の「マウスキー」機能を発動するショートカット教えますTech TIPS

PCを使用している最中に、マウスの電池が切れた、何らかの理由でBluetooth接続が切断されてしまった、あるいは故障でマウスが動かなくなった……。そんな経験は誰にでもあるはず。そのような場合でも、キーボードのテンキーをマウスの代わりにできる「マウスキー」機能を使うとよい。そこで本Tech TIPSでは、「マウスキー」の起動方法と、意外と知られていない操作のコツを紹介しよう。

» 2025年12月05日 05時00分 公開
[小林章彦デジタルアドバンテージ]
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対象:Windows 11


Windows 11の「マウスキー」機能を発動するショートカットの使い方 Windows 11の「マウスキー」機能を発動するショートカットの使い方
PCを使用している最中に、マウスの電池が切れた、何らかの理由でBluetooth接続が切断されてしまった、あるいは故障でマウスが動かなくなった……。そのような場合でも、キーボードのテンキーをマウスの代わりにできる「マウスキー」機能を使えば、データを保存して再起動やシャットダウンが実行できる。そこで本Tech TIPSでは、「マウスキー」の起動方法と、意外と知られていない操作のコツを紹介しよう。

 PCを使用している最中に、マウスの電池が切れた、何らかの理由でBluetooth接続が切断されてしまった、あるいは故障でマウスが動かなくなった……。そんな経験は誰にでもあるはずだ。カーソルを操作できなければ、アプリケーションの終了やデータの保存、さらにはシャットダウンといった基本的な操作すら困難となり、作業は完全にストップしてしまう。

 しかし、Windows 11には、追加ソフトウェアを一切必要とせず、キーボードのテンキーを使ってカーソル操作を可能にする「マウスキー」機能が標準搭載されている。これは本来アクセシビリティ機能の1つだが、マウスが動かなくなった緊急時に極めて有効だ。

 そこで、本Tech TIPSでは「マウスキー」機能の設定方法と使い方を紹介しよう。ただし、詳細は後述するが「マウスキー」機能はテンキー機能があるキーボードでしか利用できない点に注意してほしい。

テンキーをマウスに変える「隠しショートカット」

 通常、「マウスキー」機能を有効にするには、Windows 11の「設定」アプリの「アクセシビリティ」画面にある「操作」欄で[マウス]をクリックして、「マウスキー機能」のスイッチを「オン」にする必要がある。

 しかし、そもそもマウスが使えない状態で、キーボードの[Tab]キーや矢印キーを駆使して設定画面にたどり着くのは至難の業だ。マウスが使えない状態だと、キーボードで以下の操作が必要になる。

■操作手順

  1. [Windows]+[I]キーで「設定」アプリを起動する
  2. [Tab]キーと[↓]キーで[アクセシビリティ]を選択して[Enter]キーを押して、「アクセシビリティ」画面を開く
  3. [Tab]キーを何回か押して、右ペインの「テキストのサイズ」に移動したら[↓]キーで「操作」欄の[マウス]まで移動する
  4. [マウス]で[Enter]キーまたは[Space]キーを押して、「マウス」画面を開く
  5. [Tab]キーで「マウスキー機能」欄に移動して、スイッチが選択された状態なのを確認してから[Space]キーで「オン」にする

キーボードで「マウスキー」機能を有効にする手順(1) キーボードで「マウスキー」機能を有効にする手順(1)
[Windows]+[I]キーを押して「設定」アプリを起動する。
キーボードで「マウスキー」機能を有効にする手順(2) キーボードで「マウスキー」機能を有効にする手順(2)
[Tab]キーを使って[ホーム]まで移動したら、[↓]キーで[アクセシビリティ]まで移動する。[アクセシビリティ]が選択された状態になったら[Enter]キーを押し、右ペインを「アクセシビリティ」画面に切り替える。
キーボードで「マウスキー」機能を有効にする手順(3) キーボードで「マウスキー」機能を有効にする手順(3)
左メニューの[アクセシビリティ]が選択された状態なので、[Tab]キーで右ペインに移動し、さらに[Tab]キーを押して、[テキストのサイズ]まで移動する。[↓]キーを使って下の項目に移動していく。
キーボードで「マウスキー」機能を有効にする手順(4) キーボードで「マウスキー」機能を有効にする手順(4)
[マウス]まで移動したら、[Enter]キーを押す。
キーボードで「マウスキー」機能を有効にする手順(5) キーボードで「マウスキー」機能を有効にする手順(5)
「マウス」画面が開くので、[Tab]キーを何回か押して「マウスキー機能」欄まで移動する。
キーボードで「マウスキー」機能を有効にする手順(6) キーボードで「マウスキー」機能を有効にする手順(6)
「マウスキー機能」欄のスイッチが選択されていることを確認して、[Space]キーを押して、スイッチを「オン」にする。これで「マウスキー」機能が有効になる。

 そこで覚えておきたいのが、一発で機能を有効化するショートカットキーである。

[左Alt]+[左Shift]+[NumLock]キー


「マウスキー」機能を有効にするキーボードショートカット

 この3つのキーを同時に押すと、[マウスキー機能を有効にしますか?]という確認ダイアログが表示される。ここで[はい]ボタンを選択すれば、機能が有効となる(確認ダイアログが表示されたら、[Enter]キーを押すと、[はい]ボタンが選択される)。

キーボードショートカットで「マウスキー」機能を有効にする(1) キーボードショートカットで「マウスキー」機能を有効にする(1)
[左Alt]+[左Shift]+[NumLock]キーを押す。
キーボードショートカットで「マウスキー」機能を有効にする(2) キーボードショートカットで「マウスキー」機能を有効にする(2)
[マウスキー機能]ダイアログが表示されるので、[はい]ボタンが選択されていることを確認して、[Enter]キーを押す。[→]/[←]キーを使って、[はい]と[いいえ]ボタンを切り替えると、どちらが選択された状態なのか分かる。

 注意点は、左右のキーが区別されることだ。[右Alt]や[右Shift]では反応しないため、必ずキーボード左側のキーを使用する必要がある。

 また、もう一度[左Alt]+[左Shift]+[NumLock]キーを押すと、「マウスキー」機能が無効になる。ただし、この際は確認ダイアログなどが表示されないので注意してほしい。

クリックやドラッグはどうやる? 操作一覧

 機能を有効にすると、テンキーの数字がカーソル移動やクリック操作に割り当てられる。直感的に動かせる移動キーに加え、クリック操作には少しコツがいるため、以下の表で確認してほしい。

動作 テンキー 補足
移動 8/2/4/6 上、下、左、右にカーソルが移動
斜め移動 7/9/1/3 四隅方向へカーソルが移動
クリック 5 選択されているボタンでクリックを実行
ダブルクリック +(プラス) ダブルクリックを実行
左ボタン選択 /(スラッシュ) 左ボタンのクリックモードを選択
右ボタン選択 -(マイナス) 右ボタンのクリックモードを選択
両ボタン選択 *(アスタリスク) 両ボタンのクリックモードを選択
項目をドラッグ 0 ポイントした項目をドラッグ
項目をドロップ .(小数点) ポイントした項目をドロップ
マウスキー機能のキー割当

 「マウスキー」機能では、「どのボタンを押すか(左右)」を指定してから、「実行(クリック)」するという2段階の手順を踏む場合がある。例えば「右クリック」をしたい場合は、一度だけ[-]キーを押して右ボタンモードにし、その後に[5]キーを押すことで右クリックが発動する。普段は[/]キーを押して左ボタンモードにしておけば、[5]キーが左クリックとして機能する。

「マウスキー」機能でファイルを移動する 「マウスキー」機能でファイルを移動する
テンキーを使ってファイルにマウスポインターを重ねる。[0]キーを押すとドラッグモードになるので、再びテンキーで移動先となるフォルダまで動かす。[.(小数点)]キーを押すと、ファイルがフォルダに移動する。

ポインターの動きが「遅過ぎる!」を防ぐための事前設定

 「マウスキー」機能は、普段使いする機能ではないが、緊急時の回避策として極めて強力である。この機能をキーボードショートカット一発で呼び出せることを覚えておくと、トラブル発生時に冷静に対処できる。マウスの接続トラブルやバッテリー切れといった緊急事態に遭遇した際に、このキーボードショートカットを知っているかどうかが、作業を継続できるかどうかの分かれ目となる。

 そのためにも、トラブルが発生する前に「マウスキー」機能の設定をしておくとよい。「マウスキー」は、キーボードショートカットで有効/無効の切り替えが可能なものの、マウスポインターの移動速度などは「設定」アプリを起動して設定する必要があるからだ。

 「設定」アプリの「アクセシビリティ」−「マウス」画面を開き、「マウスキー機能」を「オン」にする。「マウスキー機能」を展開するとオプションが表示されるので、ここで必要な項目にチェックを入れたり、「マウスキーの速度」「マウスキーの加速設定」のスライダーでマウスポインターの移動速度を設定したりする。

 デフォルトでは、マウスポインターの移動速度が遅いので、特に画面解像度が高いディスプレイを使用している場合はイライラすることになる。テンキーを使って実際にマウスポインターを移動させて、使いやすい速度を確認しながら設定するとよい。

 ただ、あまり移動速度が速いと、チェックボックスがチェックしにくくなるので注意してほしい。少し遅いくらいに設定し、「Ctrlキーを押したままにして加速し、Shiftキーを押したままにして減速する」にチェックを入れて、速く移動したい場合は[Ctrl]キーと組み合わせるようにするとよい。

 また、キーボードによっては、NumLockが「オフ」の場合はテンキーがファンクションキーになるものがある。このようなキーボードの場合、「NumLockキーがオンのときに限り、マウスキー機能を使用する」にチェックを入れておくと、[NumLock]キーを「オフ」することで、マウスキー機能を一時的に無効にしてファンクションキーが利用できるようになる。ただし、NumLockが「オフ」のときは「マウスキー」機能が使えなくなるので、NumLockの状態が分かりにくいキーボードの場合は注意が必要だ。

「マウスキー」機能の設定を変更する 「マウスキー」機能の設定を変更する
「設定」アプリの「アクセシビリティ」−[マウス]画面を開き、「マウスキー機能」欄のスイッチを「オン」にしたら、この項目を展開する。設定項目が現れるので、マウスキーの移動速度などを設定すればよい。「NumLockキーがオンのときに……」と「Ctrlキーを押したままにして加速し、……」の2つの項目はチェックして有効にしておくとよい。

【注意】[NumLock]キーがないキーボードでは使えない

 ノートPCでも、[NumLock]キーがあり、[NumLock]キーを「オン」にすることで、アルファベットキーや記号キーをテンキーにできるものが多かった。しかし、最近のテンキーのないノートPCでは、[NumLock]キーがないものが増えている。

 いろいろと試してみたが、[NumLock]キーがないキーボードでは、「マウスキー」機能は使えないようだ。「設定」アプリで「マウスキー」機能を「オン」にすれば、アルファベットキーの上にある数字キーでマウスポインターが移動できるかと思ったが、残念ながら「マウスキー」機能は使えず、マウスポインターは移動できなかった。

 デバイスドライバやBluetoothの不調であれば、Windows 11を再起動することで、マウスが復活できる可能性がある。キーボードが使える環境ならば、以下のキーボード操作だけで再起動が可能だ。

■操作手順

  1. [Windows]キーを押して、[スタート]メニューを開く
  2. [Tab]キーを何回か押して[ユーザーアカウント]ボタンまで移動
  3. [→]キーを使って[電源]ボタンまで移動したら[Space]キーを押す
  4. 電源メニューが開いたら、[↓]キーで[再起動]まで移動して[Enter]キーを押す

キーボードだけで再起動を実行する キーボードだけで再起動を実行する
[Windows]キーを押して[スタート]メニューを開き、[Tab]キーと矢印キーを使って[電源]ボタンまで移動、[電源]メニューを開いて再起動を実行すればよい。

 [Ctrl]+[Alt]+[Del]キーで「セキュリティ」画面を開き、同様に[↓]キーと[Tab]キーを使って[電源]ボタンまで移動して、[再起動]を選択してもよい。

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