GPT-5.2-Codexが主要ツールで解禁 「Windows最適化」×「長時間エージェント」で実用性が向上Deep Insider Brief ― 技術の“今”にひと言コメント

OpenAIのコーディング特化モデル「GPT-5.2-Codex」が、GitHub CopilotやCursorなど主要AI開発ツールで解禁された。長時間エージェントとWindows最適化の強化点を整理し、どんな開発者に効くアップデートなのかを解説する。

» 2026年01月20日 05時00分 公開
[一色政彦デジタルアドバンテージ]
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 2026年1月14日(米国時間)、コーディング特化モデル「GPT-5.2-Codex」が、GitHub CopilotやCursorといった主要なAI開発ツールで選択可能になった。これまで同モデルは、2025年12月18日(米国時間)の発表以降、OpenAI Codex(Codex CLIなど)で先行提供されており、利用できる環境は限られていた。今回の解禁によって、より多くの開発者が実際に触れられるようになった。

 GPT-5.2-Codexは、最先端クラスの性能を特徴とする「GPT-5.2」の強みを持ちつつ、直近まで最新だったコーディング特化モデル「GPT-5.1-Codex-Max」で培った実務性も引き継いでいる。特に、長時間にわたるエージェント型作業への耐性向上と、Windowsネイティブ環境での実行信頼性の改善という2つの軸により、実用性を高めている点が特徴である。

SWE-Bench Pro(左)とTerminal-Bench 2.0(右)におけるGPT-5.2-Codexの評価結果(OpenAI公式発表より引用) SWE-Bench Pro(左)とTerminal-Bench 2.0(右)におけるGPT-5.2-Codexの評価結果(OpenAI公式発表より引用)
SWE-Bench Proでは、GPT-5.2-Codexが56.4%の精度(正解率)で、GPT-5.2(55.6%)とGPT-5.1(50.8%)を上回った。Terminal-Bench 2.0でもGPT-5.2-Codexが64.0%でGPT-5.2(62.2%)とGPT-5.1-Codex-Max(58.1%)を上回っている。いずれも「実際のコードベースの修正」や「ターミナルでの操作を伴う作業」を想定したベンチマークであり、Codexが長時間のエージェント型作業(反復作業)に強いことを示す材料となる。

 このベンチマーク結果から分かるのは、GPT-5.2-Codexが、リポジトリ修正やターミナル操作といった実務に近い条件を想定した評価で、高いスコアを記録している点である。ただし、ベンチマークの数値だけで「本当に開発現場で使えるモデルかどうか」を断定するのは難しい。そこで公式発表に基づいて整理すると、冒頭でも述べたが、GPT-5.2-Codexがもたらす実用上のメリットは大きく次の2点に集約できる。

 1つ目は、「長時間エージェント」としての完遂力である。エージェント型の開発では、タスクが長引くほど「最初の目的」や「決めた方針」をAIが見失いやすくなる。GPT-5.2-Codexでは、そうした課題を減らすため、長い作業の途中でもコンテキスト(会話履歴や作業履歴)を圧縮(compaction:コンパクション)して扱い、重要な情報を保持したまま長時間のタスクを継続しやすくする仕組みが強化された。要するに、大規模なリファクタリングやコード移行でも、計画変更や失敗を挟みながら反復し、最後までやり切りやすいということだ。

 2つ目は、「Windows最適化」の深化である。GPT-5.2-Codexでは、1つ前のCodexモデル「GPT-5.1-Codex-Max」で導入されたWindowsネイティブ対応の基盤を引き継ぎつつ、Windows上でのエージェント活用型コーディングが「より効果的かつ信頼性の高いもの」になったとされる。要するに、Windows環境でも長時間タスクを回しやすい方向へと仕上げが進んでおり、Windowsのローカル環境でエージェントを動かす運用が、より現実的になってきたということだ。

――ここからは『Deep Insider Brief』恒例の“ひと言コメント”として、今回の解禁が「長時間タスクの開発現場」でどう効くのかを、筆者の実体験ベースで掘り下げていく。


一色政彦

 Deep Insider編集長の一色です。こんにちは。

 私はちょうど年末年始から、C#で書かれた.NETのWindowsアプリケーション開発で、古いWebBrowserコントロールを最新のWebView2(Microsoft Edgeベース)へ切り替える移行作業を楽しんでいました。……いや、もちろん覚悟していましたが、こういう移行って、単なる置き換えでは済まないんですよね。細かな挙動差が積み重なるので、元の実装がガチガチに作り込まれているほど、複雑さと難易度が一気に跳ね上がります。

 そこで今回は、OpenAI CodexとClaude Codeを“競わせつつ”、より良い方を採用する形で実装を進めました。結論から言うと、長時間にわたって試行錯誤が続く局面、特に公式ドキュメントだけでは解決しにくい高度な実装の場面では、GPT-5.2-Codexにかなり助けられました。例えば、CDP(Chrome DevTools Protocol)を扱うためのAPI案を提示してくれたおかげで、「これは詰んだかも」と思った難所を無事に切り抜けられたりしました。

 もちろん、モデルの得意不得意はプログラミング言語や開発領域によって変わると思います。ただ、今回のように条件がピタッとはまると、モデルの強みがそのまま“現場の助け”になります。GPT-5.2-Codexは、一番厄介だと思っていたところを解決してくれたので、個人的には感謝の気持ちがかなり大きいです。私みたいに高難度なプログラミングで詰まっている人、あとWindowsで開発をする人は、一度GPT-5.2-Codexを試してみるといいかもしれません。


 今回のリリース内容には、ここまでに紹介したもの以外にも、モデルの挙動に関する技術的な更新が含まれている。素早く把握できるよう、以下に整理しておく。

その他の特徴

改善点

  • サイバーセキュリティ能力の強化: 防御的サイバーセキュリティ(defensive cyber security)に関する能力が強化された。脆弱(ぜいじゃく)性の発見や、安全な実装パターンの提案などを通じて、より安全なコーディングを支援する
  • ビジョン(Vision)対応の強化: 画像入力を伴うコーディング支援能力が改善された。UI画面のスクリーンショットや図を踏まえて、実装の方向性やコード例を提示できるようになったとされる

OpenAI APIの価格表(GPT-5.2-Codex利用時)

 現時点では、GPT-5.2と同じ価格設定になっている。

  • 100万トークン当たりの料金:
    • 入力トークン: 1.75ドル
    • 出力トークン: 14.00ドル
  • プロンプトキャッシュ利用時の料金(100万トークン当たり):
    • キャッシュされた入力: 0.175ドル
    • プロンプトキャッシュとは、指示文などの入力(プロンプト)をキャッシュして再利用する仕組み。キャッシュされた入力(Cached input)は再計算が不要なため、通常の入力より低コストで利用できる

 価格は変更される可能性があるため、利用の際はOpenAI公式ドキュメント「API 料金」を必ず確認してほしい。

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