OpenAIの初期メンバーであるアンドレイ・カルパシー氏が、自身の開発スタイルが数週間で劇変した事実と、2026年に訪れる「低品質コンテンツの氾濫」についての見解を公開した。AI時代のエンジニアの在り方を問う重要な警鐘だ。
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元OpenAIの初期メンバーであり、現在もAI分野の第一線で発言を続けるアンドレイ・カルパシー(Andrej Karpathy)氏が、自身のXアカウントで衝撃的な考察を発表した。
カルパシー氏は、ClaudeやCodexといったAIコーディングの能力が2025年末ごろにある転換点(threshold)を超えたことで、「長年続いてきた自身のコーディングワークフローが、わずか数週間で大きく変わった」と報告している。こうした変化を踏まえ、同氏は2026年がそれ以前とは異なる局面に入ると見ている。
最も注目すべき警告は、2026年が「スロポカリプス(Slopacolypse)」の年になるという予測だ。「スロポカリプス」とは、「Slop(スロップ:低品質な生成物)」と「Apocalypse(アポカリプス:黙示録、破局)」を掛け合わせた造語である。この言葉は、GitHub上のコードからSNSの投稿、さらには論文に至るまで、インターネット上のあらゆる場所が、一見もっともらしいが中身の乏しいAI生成コンテンツで埋め尽くされる未来を示唆している。
カルパシー氏は、AIによる生産性の向上を「AGI(汎用《はんよう》人工知能)を感じる瞬間」と称賛している。一方で、ソフトウェアエンジニア自身の「コーディング能力の減退(アトロフィー:Atrophy)」や、AIを使って大量の成果物を生み出しながら“仕事をした感”だけを演出する「生産性劇場(Productivity Theater)」が横行することへの強い懸念も示している。
――ここからは『Deep Insider Brief』の恒例コーナーとして、カルパシー氏の発言内容を手掛かりに、今回の警告が何を意味するのかを整理していく。
Deep Insider編集長の一色です。こんにちは。
数週間で「コーディングの8割をAIに任せる」状態になったという話には、正直驚かされました。同時に、私自身も手でコードを書くより、「AIにどう指示するか」を考える時間が明らかに増えており、強い共感も覚えます。
AIは時に勝手な前提で進めたり、コードを必要以上に複雑にしたりしますが、人間なら後回しにしてしまいがちな作業を淡々とやり切る粘り強さもあります。便利さと引き換えに代償も生まれる。その両面をどう受け止めるかは、簡単には答えの出ない問題でしょう。
カルパシー氏の警告は、決して楽観できる内容ではありません。2026年がどのような年になるのか、そして私たちはこの変化とどう向き合うべきなのか。まずは、同氏が示した警告の中身を整理して見ていきましょう。
以下では、カルパシー氏の投稿内容をテーマごとに整理し、要点をコンパクトに箇条書きで紹介する。
こうした変化が積み重なった結果として、カルパシー氏は2026年に次のような状況が現れると予測している。
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