AI開発で事実上の標準であるHugging FaceのTransformersがv5へとメジャーアップデートされた。内部設計の刷新により、vLLMなどの外部ツールと組み合わせやすくなり、量子化モデルを含む軽量・運用重視の使い方を前提としたライブラリへと進化している。
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AIモデル、とりわけ大規模言語モデル(LLM)の開発でデファクトスタンダード(事実上の標準)となってきたHugging Faceのライブラリ「Transformers」が、2025年1月26日にメジャーバージョンv5.0.0へと更新された。2020年12月に公開されたv4以来、約5年ぶり(厳密には4年1カ月ぶり)となる大規模な刷新であり、派手な新機能の追加よりも、内部設計の見直しに重きが置かれている。
“Transformers”という名前に、あまりなじみがない読者もいるだろう。Transformersは、自然言語処理や画像処理といった分野で広く使われてきたPythonライブラリで、多くのAIモデルの「標準的な実装」を提供している。研究用途から実務まで、AI開発の現場で定番として使われてきた存在だ。
そのメジャーバージョンが長らく更新されてこなかったのは、開発が停滞していたからではない。v4系は、当時注目されていたBERTやGPT系モデルをはじめ、幅広いAIモデルを支え、事実上の標準として十分に機能していたからである。
しかし、ここ数年でAI開発の環境は大きく変わった。学習や推論、実行の分業化が進み、Transformersは単体で完結するツールではなく、多様なツールと連携する前提の存在になりつつある。v5は、そうした変化を受けて役割を整理し直すための進化と捉えられる。
その具体像の一つが、TransformersをAIエコシステム全体の「ハブ」として位置付け直した点だ。学習ではUnsloth、推論ではvLLM、ローカル実行ではllama.cppといった、各工程に特化したツールと組み合わせる前提の設計が進められている。
――ここからは『Deep Insider Brief』恒例の“ひと言コメント”として、今回の発表から技術の“今”をもう一歩だけ掘り下げていく。
Deep Insider編集長の一色です。こんにちは。
Transformers v5と聞いて、「これまでの書き方が大きく変わるのでは?」とか、「既存コードとの互換性は大丈夫なのか?」と気になった人も多いのではないでしょうか。結論から言うと、日常的な簡単なコードは、多くのケースでそのまま動くはずです。ただし、v5では一部のAPIや機能が変更/削除されているため、公式の移行ガイドも用意されています。必要に応じて確認しておくと安心です。
一方で、個人的に注目しているのは、ローカルLLMや軽量モデルを前提とした使われ方です。Transformers v5では、量子化モデルを意識した学習や変換の流れが整理され、学習後はvLLMのような高速推論エンジンや、llama.cppといったローカル実行環境へ渡す、という使い方がより現実的になっています。現在のAI環境にフィットしており、現場での活用が広がっていきそうです。
もちろん、自分でAIモデルを組まない人にとっても、Transformers v5は無関係な話ではありません。なぜなら、あなたが今日使うAPIやチャットツール、ローカルAIアプリの多くは、このTransformersをはじめとする基盤技術の上で成り立っているからです。だからこそ、「v5で何が変わったのか」をざっと把握しておくことには十分な意味があります。
以下では、Transformers v5のポイントをできるだけコンパクトに、分かりやすく整理していきます。気になるところだけ拾い読みするのもよいと思いますので、ぜひ目を通してみてください。
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