「今は嵐の前の静けさ」AI開発者が放つ警告。2026年、ホワイトカラーの仕事はどう激変するのか?Tech News

Matt Shumer氏のエッセイ「Something Big Is Happening」が世界で8000万回表示され激震が走っている。GPT-5.3などの登場により、AIは人間の知能を追い越す存在へと変貌した。激変する社会で生き残るために、われわれが今取るべき具体的な行動とは何か。その衝撃的な要旨を解説する。

» 2026年02月16日 05時00分 公開

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「今は嵐の前の静けさ」AI開発者が放つ警告 「今は嵐の前の静けさ」AI開発者が放つ警告
Matt Shumer氏のエッセイ「Something Big Is Happening」が世界で8000万回表示され激震が走っている。GPT-5.3などの登場により、AIは人間の知能を追い越す存在へと変貌した。激変する社会で生き残るために、われわれが今取るべき具体的な行動とは何か。その衝撃的な要旨を解説する。

 AI(人工知能)プロダクト「HyperWrite」を開発するOthersideAIの創業者兼CEO、Matt Shumer(マット・シューマー)氏によるエッセイ「Something Big Is Happening」が、世界に衝撃を与えている 。2026年2月13日の時点でX(旧Twitter)での表示回数は8000万回を超え、SNSを中心に爆発的な反響を呼んでいる。圧倒的な支持や危機感を共有する声が多い一方、誇張し過ぎではないかという慎重な意見も存在する。

 Matt Shumer氏は、「AIの進化は驚くべきもので、想像を超える速度で世界の常識を破壊しつつあり、特に、あなたの業務がコンピュータの画面を通じているものだとすれば、それがAIに取って代わられるリスクについてすぐにでも考えるべきだ」と主張する。AIによる破壊から身を守るために、われわれは何をすべきか。嵐が来る前に備えるか、嵐に巻き込まれてから慌てふためくか。今、その岐路に立たされているのかもしれない。

 賛否はあるものの、この提言は極めて傾聴に値するものだ。そこで本稿では、「Something Big Is Happening」の日本語による要約を掲載する。

「Something Big Is Happening」(要約)

 

コロナ禍の再来 ― 今は嵐の前の静けさ

 2020年2月に世界を一変させたコロナ禍。それが起こる以前に、感染症パンデミックが世界を巻き込んで、世の中を一変させてしまうことを想像できていた人は果たしてどれほどいたのか。

 Matt Shumer氏は、AIによる世界の激変を迎えようとしている現在は、まさにコロナ禍が起ころうとしていた「嵐の前の静けさ」であると警鐘を鳴らす。同氏がこの記事を書いたのは、業界の内側にいて、変化を真っ先に実感できる立場の者として、「実際に何が起こっているのか」を、まだ気付いていない人々へ伝える責任を感じたからだという。次の当事者は、大切な家族や友人かもしれないからだ。

 

「自分の仕事がAIに置き換わった」という実体験

 2026年2月5日、OpenAIのGPT-5.3 CodexとAnthropicのClaude Opus 4.6が同日にリリースされた。この日を境に、自分の技術的な仕事がもはや不要になったと氏は語る。アプリの要件を文章で伝えるだけで、AIが数万行のコードを書き、自らアプリを操作してテストし、品質に問題があれば修正までする。OpenAIのGPT-5.3 Codexを試したところでは、「判断力」や「美的感覚」など、およそAIには獲得できないと思われていた能力が備わったように感じられたという。

 

なぜコーディングが最初だったのか

 AI企業がコーディング能力を優先的に強化してきたのには戦略的な理由がある。AIがコードを書けるようになれば、次世代のAI開発そのものを加速できるからだ。OpenAIはGPT-5.3 Codexの技術文書で、このモデルが自身の訓練やデプロイのデバッグに活用されたことを明らかにした。AIが、自らの改善に貢献する「知能爆発」的なフィードバックループが始まっていることを示す象徴的な出来事である。

 

進化のスピードは指数関数的

 わずか4年前の2022年には、AIは基本的な四則演算すらまともにできなかった。しかし2023年には司法試験に合格し、2024年には実用的なソフトウェア開発や大学院レベルの科学理論の解説が可能になった。

 評価機関METRの調査によると、1年前、AIが人間の助けなしに完遂できるタスクは、専門家が10分ほどで行える程度のものだった。それが1時間になり、数時間になり、2023年11月発表のClaude Opus 4.5では、専門家が5時間を要するタスクを完遂できるレベルにある。この数値は約7カ月ごとに倍増しており、加速傾向も続いている。

 AnthropicのCEO、Dario Amodei(ダリオ・アモデイ)氏によれば、「ほぼ全てのタスクにおいて、大多数の人間よりもはるかに高度な知能を持つAIモデルが、2026年から2027年の間に実現する見込み」だという。

 

ホワイトカラーへの影響は避けられない

 Matt Shumer氏は、法務、金融、文章作成、ソフトウェア開発、医療分析、カスタマーサービスなど、あらゆる知識労働がAIの影響下に入りつつあると指摘する。

 Dario Amodei氏は、AIが今後1〜5年以内に、ホワイトカラーの初級レベルの仕事の50%を代替すると公に予測している。しかし、業界の多くの専門家は、これすら保守的な見積もりだと考えている。

 AIは特定のスキルを部分的に代替するだけでなく、情報処理や意思決定、問題解決、計画立案など、人間の脳の知的機能(認知機能)を駆使して行う作業全般を代替することができる。これまで人類が経験した自動化の波とは異なり、個別スキルの置き換えを積み重ねるだけではなく、AIの能力はどの領域にも同時進行的に向上していくからである。

 

今すぐ取るべき行動

 Matt Shumer氏の提言は明確だ。すぐにでも無料版ではなく、最新モデルを利用できる有料版のAIツールに課金し、毎日1時間は実務で使い倒すこと。無料版のモデルは、有料ユーザーが使えるものより1年以上遅れているからだ。

 またデフォルトではなく利用可能な最良のモデルを必ず使い、検索エンジンの代用としてだけではなく、契約書のレビューや財務モデルの構築、データ分析など、自分の本業の中核にAIを組み込んで試すことを推奨する。

 世界の急変に備え、現在の収入が保証されないかもしれないという財務的なリスクを意識し、子どもの教育方針も見直す必要もある。同時に、AIの登場で技術スキルや資金がなくてもアプリ開発や執筆が可能になったとして、自分の夢の実現にAIを活用することも勧めている。最も重要なのは「変化に適応する筋力」を鍛えることだと強調している。

 

さらに大きな全体像

 未来のAI時代の全体像をさらに俯瞰するために、Dario Amodei氏の思考実験を以下に引用する。

「ノーベル賞受賞者より優秀な5000万の市民が一夜にして現れ、人間の10〜100倍の速度で思考し、しかも眠らない国家が誕生したらどうなるか。彼らはインターネットにアクセスでき、ロボットを制御し、実験を指揮し、デジタルインタフェースを備えたあらゆる機器を操作できる。あなたが国家安全保障アドバイザーなら、どう評価するか?」

 もしこの技術を正しく活用できれば、その恩恵は計り知れない。AIは医療研究の100年分の成果をわずか10年間で達成できる可能性がある。しかしこの技術を誤って運用すれば、開発者ですら予測や制御が不可能な行動をするAIが登場するかもしれない。

 これは単なる仮説ではなく、Anthropicが実施した制御実験において、同社のAIが欺瞞(ぎまん)行為や操作、さらには脅迫を試みる事例が確認されたという。

 

そして最後に

 Matt Shumer氏は、記事の最後にこう付け加えた。「もしこの記事に共感したなら、ぜひ身近な人たちと共有してほしい。ほとんどの人は手遅れになるまでこの事実に気付かない。共有すれば、それがいち早く気付きを与えるきっかけになれるかもしれないからだ」

 

●著者について

 Matt Shumer氏(マット・シューマー)は、AIライティングアシスタント「HyperWrite」を開発するOthersideAIの共同創業者兼CEO。Syracuse大学でアントレプレナーシップを学び、高校時代にはVR医療スタートアップVisos、スポーツ用品ブランドFURIを創業した連続起業家でもある。OpenAIのGPT-3初期からAIプロダクト開発に携わり、プロンプトエンジニアリングツール「GPT-Prompt-Engineer」のオープンソース公開でも知られる。エンジェル投資家としてAIインフラ・開発ツール領域のスタートアップにも積極的に投資している。



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