Microsoftは公式ブログで、AIエージェントの普及によって新たなセキュリティリスクが生まれていると指摘。自律的に動作するAIエージェントがリスクをもたらす3つのシナリオを解説した。
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AI(人工知能)エージェントは業務の効率化を前進させる存在であると同時に、以前には想定されていなかったリスクをもたらす存在にもなり得る。自律的に判断し、外部のデータやツールと連携するその仕組みは、利便性と引き換えに新たなセキュリティリスクを内包している。
Microsoftは2026年1月21日(米国時間)、公式セキュリティブログでAIエージェントがもたらす固有のセキュリティ課題について解説した。AIエージェントは従来のアプリケーションとは異なり、自ら推論し、意思決定を行い、ツールを呼び出し、ユーザーに代わって他のAIエージェントやシステムと連携して動作する。Microsoftは、この自律性は大きな可能性をもたらす一方、新たなリスクも生み出すとして、想定される3つのリスクシナリオを解説した。
AIエージェントの攻撃対象領域は本質的に広い。AIエージェントはAIモデル、プラットフォーム、ツール、知識ソース、ガードレール(安全装置)、ID(アイデンティティー)管理など、複数の相互接続されたレイヤーで構成される。この多層アーキテクチャ全体で、プロンプトベースの攻撃、グラウンディング(検証可能な情報源にひも付ける仕組み)データの汚染、各種ツールの悪用など、さまざまな脅威が発生し得る。
AIエージェントは意図的に、あるいは設定ミスによって、PII(Personally Identifiable Information:個人を特定できる情報)を含む機密情報へのアクセス権を付与されることがある。こうしたAIエージェントは、顧客の取引記録や財務データの分析・処理といった内部業務での利用を想定して導入されることが多い。
攻撃者がこれらのAIエージェントを侵害した場合、本来組織外に出るべきでない機密情報にアクセスされる恐れがある。通常のデータベースに直接アクセスする場合は、アクセスログの取得や監視ツールによるトラフィックの可視化が比較的容易で、不審な操作も検知しやすい。一方、AIエージェントを経由したデータ流出は、正規の業務プロセスの一部として実行されるケースが多い。そのため、通常の業務トラフィックに紛れ込みやすく、検出するのが難しくなる。
AIエージェントはユーザーメッセージ、取得したドキュメント、サードパーティーAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)、各種データパイプラインなど外部データと頻繁にやりとりする。これらの入力は通常信頼できるものとして扱われるが、この仕組みを悪用するのが間接的プロンプトインジェクション攻撃(XPIA)と呼ばれるAI特有の攻撃だ。
直接的プロンプトインジェクションでは攻撃者がモデルに有害な指示を直接発行するが、XPIAでは攻撃者がAIエージェントが処理する外部データソース(ブラウザツールで取得したWebページや要約対象のメールなど)に悪意のある指示を埋め込む。AIエージェント自身はソースを信頼し、自律的に動作するため、不正操作やデータ流出につながる命令を知らずに取り込んで実行してしまう。
特に、XPIAは高い権限で操作を行うAIエージェントでは、被害が大きくなりやすい。例えば、以下のような操作が該当する。
操作されたデータソースがAIエージェントの動作に影響を与え、不正アクセス、データ流出、内部システムの侵害につながる可能性がある。
複数のAIエージェントが連携する環境では、全てのAIエージェントが同じレベルのリスクを持つわけではない。狭いタスク固有の機能を処理するAIエージェントもあれば、複数のサブエージェントを管理・指揮するコーディネーターエージェントとして機能するものもある。
コーディネーターエージェントはシステム内の「司令塔」として機能するため特に重要だ。この司令塔となるAIエージェントが侵害されると、単一のワークフローだけでなく、その管理下にある全てのサブエージェントに影響が波及する。
さらにコーディネーターは、顧客との直接的なやりとりを担うケースもある。その場合、取り扱う情報の範囲や責任の所在が広がるため、セキュリティ上のリスクプロファイル(想定される脅威の種類や影響度を整理した評価)は一段と高まる。広範なアクセス権限と、顧客情報や機密データに触れる可能性が組み合わさることで、コーディネーターエージェントは攻撃者にとって非常に魅力的な標的となる。
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