「ESET脅威レポート 2025年下半期版」によると、AI駆動型マルウェアの出現やNFC悪用の急増など、サイバーセキュリティにおける重要な転換点となる複数の事象が確認されたという。
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セキュリティベンダーのESETは2026年2月、2025年6〜11月のサイバー脅威動向をまとめた「ESET脅威レポート 2025年下半期版」を公開した。
同レポートはESETのテレメトリーデータおよび同社の脅威検出・研究チームの専門家の分析に基づき、6つの主要な脅威トピックスを取り上げている。
2025年下半期、AI(人工知能)が被害者の環境に応じて変化・適応する悪意あるスクリプトを動的生成するランサムウェア(身代金要求型マルウェア)が確認された。
ESETが発見したランサムウェア「PromptLock」は、Ollama APIを介して、OpenAIのモデルを実行し、悪意のあるスクリプトを作成していた。
ESETは、PromptLockの他にも、AI駆動型脅威の例として以下の事例を紹介している。
「サイバー攻撃におけるAI活用の新たな領域として注視する必要がある」(ESET)
AndroidプラットフォームにおけるNFC(近距離無線通信)を悪用した脅威が2025年上半期比で87%増加した。
NFCは「Google Pay」「Apple Pay」「おサイフケータイ」「モバイルSuica」などのスマートフォン決済で使用されており、スマートフォン決済の利用率上昇に伴い、今後の被害拡大が懸念される。
情報窃取型マルウェア(インフォスティーラー)である「Lumma Stealer」は、2025年5月の国際的な法執行機関とサイバーセキュリティ企業の連携による作戦でネットワークの大部分が無力化された。
2025年6月には復活に関する報告があったものの、2025年下半期には検出数が減少傾向となった。
一方でLumma Stealerの代替候補とされる「Vidar」は2025年10月にバージョン2.0をリリースし、コードを全面刷新して機能強化を図っているという。
日本では、宅配業者を装う不在通知SMS(ショートメッセージサービス)やメールから偽サイトへ誘導し、情報窃取マルウェアが配布される事例も確認されている。
MaaS(Malware as a Service)型ダウンローダー「CloudEyE」(別名「GuLoader」)の検出数が2025年下半期に約30倍に急増し、10万件以上を記録した。
PowerShellスクリプト、JavaScriptファイル、Windows用インストーラー作成ツール「NSIS」の実行ファイルを介して拡散する。侵害された正規アカウントから送信される精巧なメールを介して拡散し、請求書の支払いや発注の問い合わせを装う手口が主流だ。
CloudEyEは多段階型マルウェアで、検出や分析を意図的に困難にするために、圧縮、暗号化、エンコーディングなどの方法で高度に難読化されている。
2025年下半期での日本におけるCloudEyEの検出は多くはなかったものの「今後は日本でも攻撃が増える可能性がある」と、ESETは分析している。
著名人のディープフェイク動画やAI生成の偽ニュースサイトを用いたSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)詐欺「Nomani」(検出名「HTML/Nomani」)が前年比62%増と急増した。解像度、AI音声合成、リップシンク技術の向上により、肉眼での真偽判別が極めて困難になっている。
検出件数は世界中で数十万件に達し、日本もスペイン、チェコなどと並んで検出の多い地域となった。警察庁の発表によると、2025年1〜11月のSNS型投資詐欺の被害額は約1071億円に達しているという。
2025年はRaaS(Ransomware as a Service)グループ間の勢力図の変化が進んだ。世界のランサムウェア被害者数は、年間では前年比40%増に達する見通しだ。
ESETはレポートを踏まえ、日本企業に対して以下の3点を提言している。
AIが攻撃スクリプトをリアルタイム自動生成するランサムウェア「PromptLock」が出現
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