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新人(3年目)、プロジェクトで「忍耐」を学ぶシステム開発プロジェクトの現場から(22)(3/3 ページ)

開発現場は日々の仕事の場であるとともに、学びの場でもある。先輩エンジニアが過去に直面した困難の数々、そこから学んだスキルや考え方を紹介する。

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頭の中の「熱の変換」

 誰もがきっと、頭の中で、

自分以外への怒り(自分と関係ないところで発生した残念な事実など)

                 

自分のエネルギー(「自分は絶対そういうことしない」「余計なことは考えずにやるだけ」といったやる気、闘志など)

という「熱の変換」を行い、仕事をしていると思います。

 私はこのとき、最初に発生した熱(=自分以外への怒り)をできるだけ外に逃がさず持っておいた方が、自分へのエネルギーをたくさん作れるのではないかと思ったのです。

 ここでやっと、冒頭の、

 「時には『忍耐』『沈黙』が必要だと思う」

につながります。

 システムの構想を練る段階(=分析や設計フェイズ)から携わっていれば、後々困っても、かつての自分の設計内容や分析不足をくやしいと思うだけで済みます。

 仕事においては、人それぞれに担当する領域や時期があって、それらが組み立てられて1つの結果となります。

 それゆえ、どうしても自分以外へのいら立ちは生まれてくると思いますが、「自分以外のこと」に関する心の声は外に出さないようにしようと思います。

 自分以外に責任があることが明らかな場合、気を抜くとつい愚痴っぽくなってしまうけれど、それを口に出さない方が仕事を頑張れます。

 私はNマネジャーの心の声を聞いて以後、より一層この点に気を付けるようにしています。その結果、集中して仕事に取り組めるようになりました。

 現在、私はまた別の新しいプロジェクトにいます。

 今回の担当は、分析・設計フェイズ。何があっても自分の責任です(お断り:責任の所在については、「同じ会社の人間がしたことは自分の責任」という解釈もあり、そのとおりだとも思います。そのような解釈についても理解したうえでの意見だと思っていただけると幸いです)。

 こうしてこれからも、人に話したくなるような面白い物語に次々に出会い、貴重な経験を積み、いろいろなことに気付くのだろうな。

 だから、仕事はやめられないな。友人関係だけでは得られないものが、仕事をしていると得られる。仕事をしているからこそ出会えた人や出来事がたくさんある。

 これがいま、私が思うことです。


 この連載を私が担当するのは、今回が最後です。

 自分の経験をこうして世の中に発信できたのは、思いもよらないことだったと同時に、本当にありがたいことでした。

 自分の頭の中を見せるのは少し恥ずかしかったのですが、うれしい反響も多く頂戴し、それが自信につながりました。

 仕事を始めて3年たった割にはつたない文章で、現場レポートというよりは日記、プロとしては未熟な意見も多かったと思いますが、最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。

 今後も引き続き現場に出て行きます。現場でのエピソードがたまったころ、再び発信させていただければ幸いです。

筆者紹介

アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ

檜山亜紗美

1982年生まれ。東京理科大学理工学部経営工学科を卒業後、アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズに入社。Javaの大規模プロジェクトで開発から運用までを経験、現在はStrategic Delivery Office(社内組織)にて方法論の展開・定着化に取り組む。趣味は幹事(ノンジャンル)。主催から出欠係まで幅広くたしなむ。



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