開発現場は日々の仕事の場であるとともに、学びの場でもある。先輩エンジニアが過去に直面した困難の数々、そこから学んだスキルや考え方を紹介する。
檜山です。今回は、「1人チーム」体験について書いてみたいと思います。
1人なのに、チーム。チームなのに、1人。
Wikipediaの「チーム」の項によれば、「チームとは、共通の目的、達成すべき目標、そのためのアプローチを共有し、連帯責任を果たせる補完的なスキルを備えた少人数の集合体である」となります。
明らかに無理がある言葉、「1人チーム」。けれど、私は実際にそんなチームにいたのです。
1人だからこそ悩んだときは、頭の中でグルグル考え込んでしまい、その反動なのか、ささいな喜びがあれば、グンとテンションを盛り返しました。
そしてこのときの仕事は、「品質管理」。初めて携わったこの仕事を、なんだかアウェー感漂う仕事(←主観、注1)だな、と思う時期もあって、私は社会人になって初めて負のスパイラル期を迎えました。
それでは、浮き沈みの激しかった当時の様子(ほぼ一人芝居)をご覧ください。
前回(「第17回 現場デビューのお供はビジュアル多用の報告書」)紹介したテストチームでの仕事を始めて半年が過ぎたころ、私は品質管理チームに転属となりました。
この体制がミーティングで発表されたときのこと。配られた体制図をいそいそとのぞき込む私、
「品質管理チーム 檜山。って、お前1人じゃん!」
隣の先輩が、笑いながら突っ込み。
そうなんです。それなりの規模のプロジェクトになると、その体制図は世界地図のようなスケールになり、複数の大陸がガシガシひしめいているように見えます。しかしなぜか、私の名前は、右端の離れ小島にポツンと乗っかっていたのです。しかも1人。
前途多難とおぼしき私に、誰もが突っ込みを入れる中、当の本人は驚きつつも、
「1人か。任せてもらえるなんてうれしいな」
とホクホクしていました。
体制の真意はいまだに不明ですが、私は、正体不明なマイナー領域(←主観)に1人なんて、面白いことがあるはずと確信していました。
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