スマートニュース藤村厚夫氏に聞く、@ITの歴史でたどるエンジニアの「これまで」と「これから」:15周年記念特別企画「創業者は語る」(2/3 ページ)
2000年5月22日にサイトオープンした「@IT」は、2015年に15周年を迎えた。この15年で、エンジニアを取り巻く環境はどのように変わったのか、そして今後どのように変化していくのか。@IT、そして@IT自分戦略研究所を立ち上げた藤村厚夫氏に、15年の歴史を振り返りつつ、サイトやサービスが誕生したバックボーンや、それぞれに込めた思い、そしてこれからのエンジニアに期待していることなどを伺った。
2003年 @IT自分戦略研究所スタート〜エンジニアの自律的なキャリア設計をサポートする場を作ろう
@ITがオープンして3年後の2003年、姉妹サイトとして「@IT自分戦略研究所」がスタートする。
@IT自分戦略研究所に込めた思いを、藤村氏はこう語る。「メディアではないビジネスモデルを目指して@ITを立ち上げたものの、徐々にビジネスの軸はメディアに近いものになっていった。もともとメディアビジネスは手慣れているので、結果的にそこに回帰していくのは間違ったことではないが、私自身は、創業時に志向した『ITエンジニアの総合サービスサイト』へのこだわりが捨てられなかった。そこで、ITエンジニアの働き方やキャリア作りをサポートするサービスをプラスアルファしようと考え、@IT自分戦略研究所をスタートした」。
@IT自分戦略研究所は、テクノロジではなく、ITエンジニアの「キャリア」にフォーカスしたコンテンツを提供。スキルアップを支援する「ITトレメ」やITエンジニア専門の転職支援サービスなども備えた、ITエンジニアをフルサポートするWebサイトを目指した。
「テクノロジは、時代の流れとともに、テーマもトレンドも大きく変化する。例えば、@ITのオープン当初は、JavaやXMLがもてはやされたが、現在ではOpenFlowやSDN、仮想化などが重要なテクノロジとされている。その中で、いつの時代も変わらないテーマが、『ITエンジニアとしてどんなキャリアを歩んでいくか』ということだ。変化の激しい市場環境の中で、正しい自己評価を行い、将来の目標に向かって、キャリア設計をしていく必要がある。@IT自分戦略研究所は、こうした視点を持ってコンテンツやサービスを展開していった」
2004年にはその発展系として、ITエンジニアの転職を支援するサービスポータル「JOB@IT」がスタートした。
JOB@ITは、転職エージェントが登録エンジニアをサービス内でスカウトする「@ITジョブエージェント」や、求人企業が登録エンジニアをサービス内でスカウトする「@ITプレミアスカウト」、エンジニアが転職情報を検索して求人に応募できる「転職サーチ」、派遣情報を検索して案件に応募できる「@IT派遣Plus」、エンジニア全体の中での自分の立ち位置を確認したり、言語や工程ごとのエンジニアの分布をオンラインで確認したりできる「@IT年収マップ」などのサービスを展開。転職によって希望する方向へのキャリアを積むことを考えるITエンジニアを、さまざまな角度からサポートした。
「当時のITエンジニアは会社組織の中に囲われている感が今より強かった。自分がエンジニアとしてどのようなポジションにいるのか、自己評価がしにくかった。転職時に自分のスキルレベルがよく分からないがために、エージェントや採用企業に都合よく扱われたり、テクノロジの変化に振り回されたりするケースも少なくなかった。そうならないためにも、テクノロジのトレンドを追うのではなく、ITエンジニアとして将来像を見据えながら、自分の意志で、キャリアアップの道を切り拓いていくようアドバイスしていく存在が必要だと考えた」と、藤村氏は「JOB@IT」をスタートした狙いを語る。
では、ITエンジニアのキャリアアップとは何なのだろうか。藤村氏は「自分が将来的になりたい姿と、今の現実的なポジションとのギャップを埋めていくことだ」と述べる。
「自分の資質を冷静に評価するとともに、周囲の評価も正しく知り、それらを組み合わせて現在の自分の立ち位置を判断する。その上で目指す将来像の方向性を決め、今どのような勉強をするべきなのか、仕事でどのような経験をしておいた方がよいのか考えながら行動する。それがキャリアアップにつながるはずだ」
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