既存アプリの改修なしでOLTPとリアルタイムアナリティクスを高速化する「Oracle Database In-Memory」:データベースクラウドに求められる3つの要件(3)(3/4 ページ)
Oracle Database上に集約した統合データベース基盤上では、OLTPやデータ分析など、さまざまな処理が行われることになる。それらの処理をさらに高速化し、データのリアルタイム活用を推し進めたいという企業に向け、オラクルは「Oracle Database In-Memory」を提供している。[プライベートクラウド/データベース統合][高可用性/災害対策][Oracle Database 12c]
Oracle Database In-Memoryによるインメモリ化の恩恵が特に大きい処理とは?
Oracle Database In-Memoryによるインメモリ化で高い効果が得られる処理としては、大量データの全表走査や索引走査といった「ディスクI/Oの物理読込量が大きい処理」と、複数表を使った結合処理とフィルター条件の処理、集計演算処理など「大量行の表を含む分析クエリ」の2つが挙げられる。
このうち、ディスクI/Oの物理読込量が大きい処理が速くなる理由は明白だろう。大量のディスクアクセスが発生する処理は、ディスクI/Oがボトルネックとなり、レスポンスが悪化しやすい。インメモリ処理であれば、そのボトルネックを解消できるため、大きなパフォーマンス改善が見込めるのだ。
中間一致検索のような処理でも、Oracle Database In-Memoryは高速だ。それを支えているのがディクショナリ圧縮である。カラムに含まれる値の種類が少ない、つまりカーディナリティが低ければ、ディクショナリ圧縮したデータに対する中間一致処理は全行評価よりも効率化され、迅速に処理を完了できるのだ。
なお、「広大なバッファキャッシュを確保し、全データをキャッシュ内に保持することで、インメモリ処理と同等のパフォーマンスが得られる」と考えるのは間違いである。実際、オラクルが実施した検証では、3億行から5000万行を抽出するSQLについて、インメモリ処理はフルバッファキャッシュよりも表で31倍、索引で44倍も速いという結果が出た。必要なカラムにしかアクセスしないカラム型が使えること、ディクショナリ圧縮やインメモリストレージ索引などの機構、そしてSIMDの活用といった高速化の仕組みにより、同じメモリ上の処理でもこれだけの性能差が生まれるのだ。
ただし、Oracle Database In-Memoryを使えば、全ての検索処理が速くなるわけではない。その具体例として挙げられるのが、索引によって最適化された処理だ。例えば、数千万、数億の行から数十、数百行を取得するようなSQLの場合、索引を使った方が高速である。また、CPUのコア数が少なく、パラレルクエリの並列度を高められない環境でも、索引の方が速いケースがある。
多くの企業がOracle Database In-Memoryで性能問題を解決
Oracle Database In-Memoryは、既に世界中で多くの企業が導入を進めている。例えば、国内では、ある金融機関が同製品を活用して情報系システムのデータベース集約を果たしている。
この金融機関では、Oracle Databaseとデータウェアハウス(DWH)専用機が混在することで、基盤が複雑化するという問題を抱えていた。そこで、情報系システムの基盤をOracle Database 12cに集約し、さらにOracle Database In-Memoryを導入。加えて、Oracle GoldenGateを使って基幹系システムとの間でデータを同期し、そのデータをOracle Database In-Memoryで高速に分析する環境を整えている。
この事例で参考にしたいのは、基幹系システムとのデータ連携だ。Oracle Database In-Memoryを使って高速なデータ分析環境を構築したいが、基幹系システムのデータベースをOracle Database 12cにアップグレードするのはタイミングなどの面から難しいというケースは少なくないだろう。その場合は、Oracle GoldenGateなどを用いて基幹系と情報系のデータベースを同期し、情報系だけをOracle Database 12cにアップグレードすることで、Oracle Database In-Memoryを使ったデータ分析基盤を構築できるのである。
また、海外企業の活用例として、米国の大手食品会社ゼネラル・ミルズを挙げておきたい。同社は既存のデータ分析環境に関して、ハードウェアリソースの限界から全てのデータをDWHに集約できないという問題を抱えていた。そのため、サンプリングした約3分の1のデータだけを使って分析作業を行っていたが、全てのデータを使いたいという要望が強く、自由検索や非定型の検索に対するニーズも大きかったことから、システムの刷新に踏み切った。Oracle Exadata X4-2とOracle Database In-Memoryを組み合わせ、全てのデータを集約してインメモリ処理する基盤を導入したのだ。このシステム刷新により、全データを対象にした分析業務や検索が可能になった他、数日を要していたレポート処理が1時間以内に終わるなど、パフォーマンス面でも大きな成果が得られたという。
スイスの大手保険会社モビリアも、Oracle Database In-Memoryの活用を進める1社だ。同社は従来、メインフレームのデータベースで保険証券の詳細データを保持し、その内容をDWH専用アプライアンスにETLツールでコピーしてデータ検索などを行っていたが、パフォーマンスに問題を抱えていた。これを解消するために、同社はOracle Database 12cとOracle Database In-Memoryを導入。この新環境へ移行したことで、ETL処理なしでOLTPデータを直接分析することが可能となった他、システムのパフォーマンスも大幅に改善したという。
モビリアの事例で注目すべきは、旧システムからの移行がわずか3日間で完了したことだ。Oracle Database In-Memoryであれば、アプリケーション側の改修が不要であるため、このように短期間での移行が可能なのである。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年3月15日