ミッションクリティカル分野の「DBアップグレード」はどう進めるべき? 富士通北陸システムズとオラクルのキーパーソンが語る勘所:確かな技術力とノウハウ、最新ソリューションの活用が成功の鍵(3/3 ページ)
ミッションクリティカル領域におけるオラクル製品の活用に関して豊富な実績と高い技術力を誇る富士通北陸システムズ。ORACLE MASTER Platinumを有する同社のエキスパートらが、Oracle Database製品の開発を主導するキーパーソンと“データベースアップグレード”を巡って議論を交わした。[プライベートクラウド/データベース統合][パブリッククラウド][Oracle Cloud][Oracle Database 12c]
ミッションクリティカル領域に向けた12c R2の強化ポイント
池田 Oracle Database 12c R2の登場を受け、いよいよ日本のお客さまでもアップグレードへの取り組みが活発化しつつあります。12c R2に期待するお客さまの中には、「24時間365日ノンストップ」のシステムを実現するために、最新機能をフルに活用したいという意向をお持ちのところが少なくありません。
そこでお聞きしたいのですが、12c R2以降のOracle Databaseでは、“ミッションクリティカル”の要求にどう応えていこうとしているのでしょうか。また、関連して「Oracle Cloud」への移行に関心を持たれるお客さまも大変増えています。
スウォンガー まずOracle Cloudについて私からお答えしましょう。Oracle Cloudはオンプレミスと同じ技術で作られているために、これまでオンプレミスで行っていた新サーバへの移行とほぼ同様の作業で移行できます。先ほどお話ししたようなOracle Data GuardやOracle Data Pump、テーブルスペーストランスポートなどによるデータベース移行の手法も、これまでと同じように使えます。
加えて、先ほどOracle RATによる検証の取り組みについてお聞かせいただきましたが、移行時やアップグレード時の検証作業ではOracle Cloudの活用が大きなメリットを生むはずです。なぜならば、Oracle RATによってオンプレミスで検証を行う際には、本番環境向けにライセンスを用意する必要があります。そのため、Oracle RATをアップグレード時など一時的にしか使わないというお客さまの中には、費用対効果の面で導入に踏み切れないといったケースも見られました。
しかし、Oracle Cloudであれば、Oracle DatabaseのPaaSである「Oracle Database Cloud Service」により、従量課金でOracle RATを利用できます。今後は、Oracle Cloudをテスト環境として使い、データベースアップグレードなどの時だけOracle RATで検証を行うといった手法がより普及するのではないでしょうか。
デートリッヒ ミッションクリティカルに関する取り組みとして、Oracle Database 12c R2ではマルチテナント機能(Oracle Multitenant)がさらに強化されています。無停止でPDBのコピーを行う「ホットクローン」、同じく無停止でPDBを移動する「ホットリロケーション」などをサポートしました。データベースメンテナンスに伴うサービス停止時間の短縮には、これらの機能が役立つはずです。
八田 メンテナンス時間の削減に関して、1つお聞きしたいことがあります。Oracle Database In-Memoryを使うとSQL処理の性能が向上しますが、パッチ適用のようにデータベースの再起動を伴うメンテナンス作業を実施した際にはデータの再ポピュレーションが必要になります。これに多くの時間がかかり、その間のパフォーマンスが低下してしまうことが課題の1つです。何か有効な対策はあるでしょうか。
スウォンガー Oracle Database 12c R1では再ポピュレートに多くの時間を要しますが、12c R2ではOracle Database In-Memoryのスペースをディスクにキャッシュすることで再起動を高速化することが可能になりました。再ポピュレートの際にデータベースからデータを読み出してメモリ上に再構築するのではなく、ディスク上のキャッシュを読み込むことで再稼働の時間を早めるのです。
また、Oracle RACを併用している場合は複数ノードでキャッシュをフェイルオーバーすることにより、さらなる高速化を図れます。ミッションクリティカルなシステムで保守作業時のダウンタイムを極力短くしたい時はOracle RACで1ノードごとのローリングパッチを行うことにより、Oracle Database In-Memoryの再稼働も大幅に早められるはずです。
池田 それらの新機能については当社でも積極的に検証し、お客さまのプロジェクトで活用していきたいと思います。
スウォンガー 今後もミッションクリティカル分野への新たな技術の導入に向けて、富士通様および富士通北陸システムズ様と強力なパートナーシップを継続していきたいと思います。本日は有意義なお話ができたことをうれしく思います。ありがとうございました。
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