リコーが次期統合IT基盤の1つにOracle Exadataを採用 保守コストを2割削減し、バッチ処理は27倍高速化:Database Cloudも活用し、移行期間を大幅短縮(3/3 ページ)
リコーは先頃、セントラルウェアハウスや業績管理などの3システムを「Oracle Exadata」に移行した。パブリッククラウドやマルチテナントなどオラクルの最新テクノロジーも活用したデータベース移行により、同社は保守コストの大幅削減や性能向上など多くの成果を得たという。[プライベートクラウド/データベース統合][Engineered System]
Oracle Database Cloud ServiceでExadata納入前からデータベース移行/テストを行い、工期を短縮
Oracle Exadataへの移行に際しては、Oracle Databaseのパブリッククラウドである「Oracle Database Cloud Service」も活用している。
セントラルウェアハウス(CWH)システムのOracle Exadataへの移行において、早期にOracle Database 12cの環境が必要となったが、予算やリソースの都合からオンプレミスに環境を用意することができなかった。そこで、Oracle Database Cloud Serviceを使い、それまでCWHで使われていたPostgreSQLからOracle Databaseへの移行、およびマルチテナント機能の検証を行ったのだ。これにより、コスト削減と移行期間を短縮できたと宮腰氏は評価する。
「データベースの移行に際して最も気を配ることの1つはSQLの動作確認ですが、その検証を机上だけで済ませるのではなく、実機に近い環境で行えたことは非常に良かったと思う点です。オラクルから『Oracle Database Cloud Serviceは本番環境に近い開発環境として使える』と聞いていましたが、実際に使ってみて本当にその通りだと感じました」(宮腰氏)
リコーにOracle Exadataが納入されたのは2016年7月だが、それ以前からOracle Database Cloud Serviceを利用してデータベース移行の作業が進められており、実機の導入を待たずに検証作業まで行えた。これがOracle Exadata納入以降のスケジュールの大幅短縮につながったわけである。
5年間の保守コストを2割削減。CWHの性能は最大27倍高速化
こうして導入されたOracle Exadataは、リコーに大きな恩恵をもたらした。宮腰氏はその効果の1つとして、5年間の保守費用を含めたランニングコストを20%程度削減できたと明かす。パフォーマンスについても、手の込んだチューニングを行うことなく、CWHでは最大約27倍の性能向上が確認されている。業績管理システムでも、これまで42分以上を要していたバッチ処理が1分35秒で終わるなど、従来の環境を大きく凌ぐ性能が得られた。なお、下図ではCWHの一部の処理で処理時間が延びているが、これについては「今後のチューニングで改善したい」(宮腰氏)という。
リコーでは今後、導入したOracle Database 12cを12c R2にアップグレードすることも検討している。R1まではコンテナデータベース(CDB)の単位で文字コードを統一する必要があったが、R2ではCDB内のプラガブルデータベース(PDB)の単位で文字コードを設定できるようになったためだ。
「CDBを開発用と本番用の2つだけにするのが理想でした。しかし、現状は文字コード単位でCDBを分ける必要があるため、本番用のShift_JISとUTF-8、開発用のShift_JISとUTF-8といった具合にCDBをたくさん作らざるをえません。この問題が解消されるR2には大いに期待していますし、早いタイミングでR2にアップグレードしたいと思っています」(宮腰氏)
以上、ここではリコーが推進する基幹データベースシステムのOracle Exadataへの移行プロジェクトの概要を紹介した。長年利用してきたデータベースプラットフォームをOracle Exadataに刷新することで、大幅なコスト削減やバッチ処理の時間の短縮など、多くの成果を得た同社は今後、さらなるデータベース環境の最適化を見据え、オラクルの最新テクノロジーを積極的に活用していく考えだ。
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