エディオンが「約1200店舗の業務をリアルタイムに支える統合データベース基盤」にOracle Exadataを選んだ理由:性能向上は当然、コストも大幅削減(1/3 ページ)
「本当に垂直統合型でよいのか?」──大手家電量販店のエディオンは熟慮の末、全国約1200店舗の業務を支える統合データベース基盤を「Oracle Exadata」で刷新。圧倒的なパフォーマンス向上に加えて、大幅なコスト削減という果実を得た。[プライベートクラウド/データベース統合][Engineered System][Data Integration][Database Security]
全国約1200店舗「地域密着型の事業展開」を武器に、スピード経営を指向
西日本を中心に約1200店舗を展開し、地域密着型の事業展開で家電量販大手の一角を占めるエディオン。幾度の合併により事業規模を拡大してきた同社は2015年2月、各店舗/本社の業務と顧客サービスをリアルタイムに支える統合データベース基盤を「Oracle Exadata」で刷新した。同社はなぜOracle Exadataを選んだのか、その効果は? プロジェクトを主導したキーパーソンに聞いた。
エディオンは、中国/四国/九州地方を基盤とするデオデオと中部地方を基盤とするエイデンの持株会社として2002年に誕生した。その後、2010年にエディオングループを統合(エディオンへの子会社合併による一本化)し、2012年より関東から九州/沖縄までのストアブランドを「エディオン」に統一。北陸/北海道では子会社のサンキューが「100満ボルト」を展開している。各地域の市場に応じた出店による地域密着型を強みとし、現在(2016年)はECサイトを核とするネットショップとリアル店舗の融合を指向したオムニチャネル戦略の推進に力を入れる一方で、さらなる成長の糸口を家電販売の他にもつかむべく積極的に事業を展開していると同社 IT物流サービス本部 情報システム部長の三谷雅彦氏は話す。
「少子化による人口減少が進む中、今後も安定した成長を継続すべく、お客さまとの長期にわたる密接な関係に根ざした事業に力を入れています。例えば、その1つにリフォーム事業があります。これは多数の直営店舗を抱える当社の強みを生かした取り組みであり、既に各地域で多くのお客さまにご利用いただいています。また、1000万人を超えるカード会員の獲得も、地域密着型の事業展開の成果の1つだと言えます」(三谷氏)
「効用の提供と完全販売によるお客様第一主義の実現」を経営理念とする同社の経営陣が現在、何よりも重視しているのが“スピード”である。
「現代は、何においてもスピードが重視される時代。何か取り組みを行う際、時間がかかればかかるほどコストがかさむため、とにかく生産性を高め、迅速に決断して実行に移すことに重きを置いています。そのことが、お客さまの満足度を高め、より密接な関係を築くことへの最短距離だと考えています」(三谷氏)
急成長でデータベース基盤の性能/キャパシティーが窮迫し、リプレースを決断
幾度もの合併により成長を遂げてきたエディオンは、2009年にグループ全体を大きく再編し、現在の事業体制を確立した。その際、サンキューを除くエディオングループの基幹システムを“エディオン新統合システム”として一新し、UNIXサーバ上のOracle Database 10gにより統合データベース基盤の運用を開始している。
同社の事業はその後も拡大を続け、2016年現在は2009年当時と比較して店舗数が約1割増加。販売商品に独自の保証を付加する「あんしん保証カード」の発行によって、カード会員数も2012年の約400万人から1000万人超へと急増した。
こうした急激な事業拡大が、統合データベース基盤を大きく窮迫するようになったと語るのは、IT物流サービス本部 情報システム部 システム企画課 マネージャーの小西洋和氏だ。
「店舗数やカード会員数の急増に伴い、2009年当時の想定を超えて性能やキャパシティーの窮迫が進みました。週末などの繁忙期にはリアルタイム更新処理で頻繁にI/O待ちが発生していた他、売上データの更新で遅延が生じ、その影響が店舗など現場の業務に及ぶこともありました。また、ストレージの容量不足も深刻化していました。このままでは、いずれ繁忙期の負荷増大を乗り切れなくなる恐れがあったのです」(小西氏)
この問題への対応を検討する中で、まず挙がったのが次の2つの選択肢であった。
- 既存データベース基盤を拡張し、性能/キャパシティーを高める
- より高い性能/キャパシティーを備えた基盤に移行する
前者を採った場合、導入から年数を経て保守費用が割高となるインフラに、拡張によって保守費用が加算され、コスト負担が大きく増えることになる。その状態でさらに使い続けることは、経済合理性の観点から好ましくない。
また、同社が推進するオムニチャネル戦略やスピード経営には、強力なデータベース基盤が不可欠である。小西氏らは、「ここで場当たり的に拡張するよりは、抜本的に刷新し、高速で安定したデータベース基盤に乗り換えることが事業戦略上も重要だ」と考え、統合データベース基盤の刷新を決意する。
汎用サーバか垂直統合型か? PoCでOracle Exadataの高性能を確認
次のデータベース基盤を選定するにあたり、エディオンにはよりどころとする指針があった。2012年に策定した同社システムのグランドデザインである。これはITインフラを中心に、同社の事業を将来にわたって支えていくシステムの設計/構築方針を定めたものだ。
「グランドデザインは『市場の変化や顧客ニーズに迅速に対応することのできる柔軟なシステムを作る』という観点で策定しており、この中ではLinuxなどのオープンソースプロダクトやサーバ仮想化技術を積極的に活用し、サーバやOSを極力、共通化することを目指しています。また、データベース基盤については、高速で扱えるデータ量が多く、冗長性や可用性が高い堅牢なものを推奨しています」(小西氏)
なお、グランドデザインの策定に際しては、これまで利用してきたOracle Databaseを今後も使い続けるかどうかも議論した。その結果、「既に社内のエンジニアが精通しているのに加えて、他社のデータベース製品が今後も安定して提供されるかは不確定であり、5年後、10年後も見据えると、やはりOracle Databaseが最適」(小西氏)との結論に至っている。
それでは、Oracle DatabaseとLinuxにより、どのようなデータベース基盤を構築すべきか。グランドデザインに素直に従えば汎用サーバを用いることになるが、ここで別のアプローチとして、Linux(Oracle Linux)で稼働する垂直統合型システムの「Oracle Exadata」が候補に挙がる。
実は同社は、以前から基幹システムの構築/保守で支援を受けていたNECよりOracle Exadataの提案を受けており、実際に本番環境データの一部を用いた「PoC(Proof of Concept:導入前実機検証)」を実施していた。
「Oracle Exadataは、独自のSmart ScanやSmart Flash Log、InfiniBandといった最新技術によって高いパフォーマンスを実現していることは、製品カタログの情報で知っていました。とはいえ、当社のシステムでカタログ通りの性能が出るとは限りません。そこでNECの協力を得てPoCを実施したところ、既存システムと比べて処理性能が約5倍に向上するという結果を得たのです。この性能向上は非常に魅力的でした。
また、既存システムでデータ量の増大に悩まされていたため、データベースを大幅に圧縮できる“Advanced Compression”や、データ漏えい対策としてデータベースを低負荷で暗号化できる“Oracle Advanced Security”などのオプション機能も必要だと感じました」(小西氏)
なお、同社は他にLinuxサーバとSSD、I/Oアクセラレーターを組み合わせた提案なども受けた、しかし、特別なチューニングが必要な上に、チューニング後もOracle Exadataと同等の性能が得られなかったばかりか、サーバとストレージなどを組み合わせて構築するため、システムインテグレーションの部分で難易度が高まるという懸念があった。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年6月25日