鳥取編:大学進学率は東京の半分、その切ない理由:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(26)(1/3 ページ)
鳥取県の企業はアットホームで、社員は仲良く奥ゆかしい……そう、良くも悪くもね。「U&Iターンの理想と現実:鳥取編」第2回は、鳥取県倉吉市で町工場を営むトライアスリートが、鳥取県民の気質や鳥取の企業、教育・子育て環境について、実情を超リアルにお話しします。
こんにちは、「ミノハラ製作所」の蓑原です。
「U&Iターンの理想と現実:鳥取編」、前回は私の生活をベースに、鳥取県の暮らしについてお話ししました。今回は、鳥取県の企業風土や鳥取県人の働き方を取り上げます。
良くも悪くも「アットホーム」な鳥取県の企業
日本で一番人口が少ない鳥取県は、県内総生産額も日本全国ワーストワンです(参考:平成26年度県民経済計算について 内閣府)。
かつて、鳥取県には「鳥取三洋電機」という大企業がありましたが、4年前にPanasonicに再編されて「三洋テクノソリューションズ鳥取」などに分割されてしまいました。
鳥取県に本社がある株式上場企業は、現在わずか4社(出典:上場企業サーチ 鳥取県に本店登記のある上場企業一覧)。鳥取の企業の多くは、県外に本社のある企業の支社、支店、工場か、その下請けに位置する地元の小さな企業です。
製造業でしたら、「バリューチェーン(商品企画や開発〜設計〜調達〜製造〜物流〜販売)」の初めから終わりまでを1社内で担う企業はほとんどありません。金属加工や樹脂成形などの一部分を専門的に行う中小企業が大方です。
団塊世代の創業社長と経理の奥さん、息子世代が専務、といった家族経営スタイルの企業が多く、社員は「会社」というよりも「家庭」に入る、「就職」というよりも「奉公」するイメージです。
都会の方には「アットホーム」と見えるかもしれません。
社長は社員の面倒をとことん見ます。会社と社員を守るべく奮闘する社長の姿は、まさにお父さんです。
私は鳥取出身の経営者なので、「鳥取の従業員の方」とは視点に違いがあるかもしれません。そこで、UIターンをして鳥取県で働いている方々にもお話を伺いました。大手メーカーから、小さな製造業へIターン(結婚して移住)したAさんと、鳥取県の支店にIターンしたBさんです。
(鳥取の会社は)全体的に時の流れがゆっくりとして、会話のテンポもゆったりとしているように感じます。
見渡せば社員全員を確認できるような規模の会社なので、お互いのことをいろいろ分かっており、落ち着きがあります。
新卒者の定期採用がなく、転勤や異動などの配置換えも少ないので、社員は皆長年の付き合いになり、緊張感はあまりありません。(Aさん)
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