愛媛編:リケジョもいるよ――「新居浜高専」でロボコン出場を目指そう:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(30)(3/4 ページ)
大人だけなら地方暮らしもいいけれど、子どもの教育には都会が最適?――いえ、そうとは限りません。愛媛には「新居浜高専」をはじめとした、大人も子どもも学べる環境があるのです。U&Iターンの理想と現実、愛媛編Part3は「愛媛の教育環境」を紹介します。
大学で何を学ぶ?〜知識と実践の試行錯誤〜
専門外へのアプローチ
大学で学ぶ最大のメリットは、あらゆる分野に触手を伸ばす機会を得られることだ。
まず、エンジニアとして、工学系、理学系の知識を究められる。VR/MR、ロボティクス、IoT、ディープラーニング、BMI(ブレインマシンインタフェース)など、いずれの技術においても、ハードウェアとソフトウェア、両方を理解している方が良い。
できれば、医学にも近づきたい。画像解析、遠隔診断、予兆診断と予防医学、動作や思考による術中操作など、ITは診断と手技の技術支援に関わる。
医療情報学にも触れておきたい。基礎だけでも知っておけば、その知識は、ヘルスデータへの理解はもちろんのこと、ヒトがデバイス化する近未来には、個体の識別情報の定義を考えるきっかけとなるはずだ。
次世代育成のためには教育学、特に発達心理学に触れておきたい。トロッコ問題やAIが生む作品の著作権問題などの課題には、法の知識も必要だ。
観光学でも、自動翻訳や行動パターン予測、自律制御のロボットガイドなど、ITの出番は多い。そして、前述の通り、ビジネス化には経済や経営の知識が必要だ。
関連リンク
書籍「データ匿名化手法 ―ヘルスデータ事例に学ぶ個人情報保護」オライリージャパン 木村映善(愛媛大学大学院医学系研究科博士課程医学専攻社会・健康領域医療情報学講座准教授、兼愛媛大学部附属病院医療情報部副部長)監修
研究者と実装者の歩み寄り
大学に足を運べば、アカデミズムは、現場の開発者に気付きと学びの機会を与えてくれる。
筆者は以前、愛媛大学の研究者との協業で、自閉症児の生活支援ツールのプロトタイプ開発に携わったことがある。それまで発達障害という言葉すら知らず、ITが役立つなどとは考えてもみなかったが、「CSUN 2005」に出展するまでのプロジェクトになり、大きな学びを得た。
逆に、現場の知識を学生に伝えることもできる。筆者は、何度かXMLの無償セミナーを担当したことがある。
移住したなら、研究者から専門知識を学び、逆に、現場の情報を学生に伝えよう。知識は実践力を強化し、実践は知識の理解を助ける。知識と実践は学びの両輪だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 愛媛編:中予においでんか、南予にきさいや――地方との相性問題を考える
工業の東予、観光の中予、自然の南予――愛媛県は地方ごとに特徴や魅力がある。では、言語やパーソナリティー、移住しやすさなどにも違いがあるのだろうか - 愛媛編:一般家庭の蛇口は2つ――地方別「風土」「産業」「暮らし」
愛媛県は多様である。「東予」「中予」「南予」の3つの地方に分かれ、それぞれに異なる特性がある。幸せな移住は、マッチングする地方を見極めることから始まる。愛媛在住の筆者が、各地方の違いと魅力について語る - 鳥取編:ITの仕事って、ホントに田舎でもできるんですよね?
ITエンジニアならば、PCとネットワークがあればどこでも働ける――それが本当なら、もっと鳥取にIT企業があっていいはずだし、もっとITエンジニアがいてもいいはずだし、もっとITの教育機関があってもいいはず。なのに、現実は……。U&Iターンの理想と現実、鳥取編は、人口減少に悩む倉吉市で町工場を営むトライアスリートが、鳥取県の「現実」を誠実にお伝えします - 秋田編:ノマド制度を利用して地元に拠点を開設――人口減少の最先端で“余白”に挑め
小学校も中学校も1校ずつ、65歳以上人口45%超の過疎地で何ができるのか……。U&Iターンの理想と現実をつづる本連載。秋田編は五城目町の廃校を利活用したオフィスで創造的な仕事に取り組む男の奮闘記です - 宮古島編:青い空! 白い砂!――首都圏の仕事をビーチでリモートワークするという、うっとりするような選択肢
沖縄県にある離島の1つ宮古島が、エンジニアのテレワークを応援している。美しい海がある観光地では、どんな働き方ができるだろうか - 大阪編:U&Iターンを超えた「フラットな世界」へ――楽天大阪支社のグローバルプロジェクト
大阪&東京&仙台&台湾&ベトナム&インド&中国。海外を含む7拠点でバーチャルチームを組んで開発を行う「台湾楽天市場」の開発チームは、どのような工夫をしているのだろうか - 子育て中のエンジニアが、移住先選びでチェックすべき4つのポイント
ダンナが「移住する」と言いだしても、帯同するパートナーには、見知らぬ土地での子育てや人間関係などの不安があります。NPO法人マミーズ・ネットの中條美奈子さんに、地方へ移住する子育て中の家庭が抱えがちな悩みや解決策について伺いました - 長野編:仕事の「数」はある、しかし……既婚エンジニアの移住と長野のIT求人事情
仕事、家族、家、地域との関わり……移住にはさまざまな課題や心配事があります。エンジニアのU&Iターン事情をお届けする本連載、今回はこれまでのキャリアを捨てる覚悟で長野へ移住、転職、独立したITコンサルタントにインタビューしました - 北海道編:ハドソンを覚えていますか?――年収、家賃、IT企業
北海道の生活は自然との闘いなのか、IT企業やエンジニアの求人はあるのか?――U&Iターンの理想と現実をお届けする本連載、北海道編のスタートです - 島根編:就業も支援! コミュニティーも支援! 呑み会も支援! ――八面六臂の“おせっかい”ぶりを発揮する、松江のスーパー公務員トリオ座談会
「本気」と書いて「マジ」と読む――U&Iターンの理想と現実をお届けする本連載。島根編第3回は、U&Iターンエンジニアたちに大人気のスーパー公務員たちをお招きして座談会を開催しました - 沖縄編:ヤギはめったに食べないよ!――沖縄の歴史、言葉、通勤着
沖縄といえば、「ちんすこう」「シーサー」「スピード」「ビギン」「米軍基地」。でも、それだけじゃないんです。U&Iターンの理想と現実「沖縄編」のスタートです! - 岡山編:立ち乗客3人で「すげー満員じゃあ」――岡山の交通、住宅、生活事情
岡山編第2回は、交通事情や住宅情報など、移住検討者が気になる情報をセキララにレポートする - 高知編:はちきん娘がプライベートを大公開――高知の家賃、生活費
高知編 第2弾は、家賃や食費など生活面で掛かる費用について、はちきん娘(土佐弁で男勝りでハツラツとした女性)がセキララにお伝えする。高知をはじめたとした地方への移住を検討するエンジニアの参考になれば幸いだ - エンジニアは、もっと自由に働ける――U&Iターンのススメ
地方への移住を検討するITエンジニアに、全国のご当地ITライターがリアルな情報を届けるポータルサイト、それが「@IT式 U&Iターンスタイル」だ