愛媛編:UIターン者に必要なのは「待つ」スキル――移住成功の「要件定義」:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(32)(2/3 ページ)
愛媛が何となく気になる。住んでみてもいいかも―――愛媛に気持ちが傾いたなら、移住の「要件」を考えてみよう。鬼北町で起業をして20年の筆者が、地理的条件を味方に付けた、愛媛暮らしを指南する。※「支出額変動予測」テンプレート付き
住環境と仕事環境の整備〜「物件」「インターネット接続環境」「支援制度」〜
「物件」と「インターネット接続環境」
住みたい市町に目星を付けたら、いの一番にすることは「物件探し」だ。
愛媛なら、広い事務所兼住居物件も安い。移住者仲間とルームシェアをしてサテライトオフィスとして使う方法も考えられる。松山市ならワンルームに住んでソーシャルオフィスで仕事というスタイルも可能だ。書類が増えたらトランクルームがある。
愛媛のインターネット接続環境は主に、「NTT西日本」「ピカラ」「au ひかり」「ソフトバンク光」「地元のCATV(新居浜市『ハートネットワーク』、松山市『愛媛CATV』、鬼北町『宇和島ケーブルテレビ』)」だ。ネット無料賃貸物件も多いが、速度を重視したいなら、低層階で電柱が近ければ、エアコンダクトからの単独契約引き込みも考えられる。
電気は「四国電力」などがある。多くの機器を同時に使うケースで契約アンペアが気になるようなら、力率も考慮して最大使用量を算出し、不動産会社に問い合わせるといい。
その他、松山市中心部は「駐車場、洗濯機置き場」、鬼北町や新居浜市郊外は「トイレの水洗化状況」が要チェックだ。南海地震対策は、標高マップや地盤、自治体の防災マップを確認し、建築基準法施行(1981年)以降に設計された物件を探せば安心だ。
自治体の「支援制度」
愛媛の各市町は、移住支援策を打ち出している。目的に合う制度があれば活用しよう。例えば新居浜市は、創業支援ネットワーク「にいはま創業コンシェルジュ」を立ち上げて、創業からフォローアップまで総合的に支援している。また、「公益財団法人 えひめ産業振興財団」は、移住者向け経営スクールをはじめとする各種支援を行っている。
移住希望者は、移住先に対し、「ITでどのような貢献ができるか」を考えてほしい。自治体側が「(移住してもらうために)してあげる」、移住者側が「してもらえるなら(移住してもいい)」という関係では、どちらも幸せにはなれない。助成の「過保護」に甘んじず、創業を後押しする「おもてなし」を受け入れて、人口の数字ではなく、人財となってこそ、地域共創の仲間になれる。
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