その成長は何のため?――「成長」に息苦しさやうっとうしさを感じたら:仕事が「つまんない」ままでいいの?(41)(3/4 ページ)
成長を追い求めることに、息切れしそうになることはありませんか。「成長!」「成長!」とあおり立てられることに、うっとうしさを感じることはありませんか。
成長はどこにある?
繰り返しになりますが、成長は大事だと思います。「成長しよう!」と思うことも。でも、それを声高らかに言う必要は、それほどないのかもしれません。
また、一般的に、まだ見ぬ未来に対して「成長しよう!」と思って、セミナーや勉強会に行ったり、新しい出会いを求めたり……といったイメージが成長にはありますが、私の経験では、成長は「未来にある」というよりも、「過去にある」感じがします。
「目の前の課題があった」「それを乗り越えようと一生懸命取り組んだ」「その結果、それを乗り越えた」「乗り越えなくても、『十分やったな。やりきったな』と思えるところまでやった」――。
そして、現在から過去を振り返ったときに、「以前の自分と比べたら、少しはマシになったな」と思える……それが成長だと思います。
成長に気付くのは、「現在→未来」ではなく、「過去←現在」なのでしょうね。
少なくとも、思い通りにならない今から逃げる言い訳として、「もっと成長したい」なんて言っていたら絶対に成長できない。そういうものじゃないかと思います。
「今、ここ」にあるものを大切にする
また、成長を求める人の中には、「今のままじゃ何かが足りない!」と欠乏感を埋めるように行動する人や、「このままでは周りに負けてしまう!」のように、競争意識や恐れを原動力にする人もいます。
でも、それは「成長」とは別の話です。
欠乏感を埋めるためには、「今、ここ」にある環境の中で、「心地良い」「気持ち良い」と感じることを大事にする方が大切ですし、自分の才能や頑張りを認めることの方が大切。そして、欠乏感が埋まり、自分を信頼できるようになったとき、本当の意味での成長が始まり、困難を乗り越える力が湧いてくるのです。
また、成長とは、「誰かや何かと比較して分かる」よりも、「過去の自分と比較して分かる」ものです。比較対象を他人にしていると上には上があるので結構ツライ。それよりも、「過去の自分と今を比べてどうなのか」と、「自分」を軸にした方が、変に背伸びせずにすみそうです。
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