LUCRA事業責任者に聞く、よりスケールの大きな“ものづくり”の魅力とは?:まだ君は間に合う! 現役エンジニアに聞く、学生のときにやっておくべきこと(16)(2/3 ページ)
エンジニアの醍醐味(だいごみ)は、“ものづくり”に携わり、作った“もの”が人々の役に立つこと。であるならば、“もの”はソフトウェアそのものでなくてもいいのではないだろうか――。
「作る」から「作って大きくしていく」へ
渡辺さんに転機が訪れたのは大学入学1年目のこと。Gunosyが開催するデータマイニング研究会に参加した時だった。同研究会は、Gunosyの共同創業者の一人である関喜史氏が手掛けるもので、関氏は渡辺さんと同じ松尾研究室の卒業生でもあった。ちなみに同社では、こうした研究会や勉強会を頻繁に開催しており、アカデミックなテーマも多い。
「その研究会に参加したことで、大学の先輩が創業したGunosyという会社に興味が湧きました」
関氏は自身の体験から、学生時代にインターンシップを経験しておくことの重要性を説いている。そこで渡辺さんは、研究会への参加をきっかけに、インターンとしてGunosyで就業体験を積むことにした。
インターン時代は、主に社内ツールの開発を担当。同社で働くうちに、渡辺さんの興味は、新しいサービスを「作る」だけでなく、それをビジネスとして「大きくしていくこと」に次第に向くようになる。
卒業後の進路は、大学院へ進むか、自身で起業するか、企業に就職するかで迷った。
「1日も早くビジネスの経験を積みたかったので進学は候補から外れました。まだ自分でビジネスを起こす自信がなかったため、起業も候補から消えました。残るは就職でした。会社選びのポイントは、ビジネスが学べるところで、それほど多くの会社を検討したわけではありません」
候補にはGunosyの他にもネットサービス系などの大手IT企業などがあったという。最終的にGunosyを選んだ理由は、インターンで社内の雰囲気がよく分かっていたこともあるが「少人数の組織であることから、ビジネスに触れるチャンスが大きい」と判断したことだった。
思った以上に早くビジネスを学ぶチャンスが到来
2016年4月に同社に入社した渡辺さんは、Web事業部に配属され、Web版の「gunosy.com」の企画、開発やWebメディアの立ち上げなどに携わる。10カ月ほど開発を続けた後、新たなプロジェクトとしてLUCRAの開発がスタートした。
LUCRAは、ファッションやメイク、恋愛、子育て、料理レシピなど、さまざまジャンルの記事をまとめて読める幅広い年齢層の女性がターゲットの情報サービスだ。同社は既に、情報キュレーションサービス「グノシー」や「ニュースパス」を提供している。それらの運営で培った情報解析、配信技術を活用して、情報のジャンルが多岐にわたる女性ユーザーに特化したサービスを提供しようというものだ。
単なる既存サービスの焼き直しではなく、女性向けメディアならではの課題や記事配信ロジックなど、新たなアプローチが求められた。渡辺さんはLUCRAプロジェクトに移り、サーバサイドの開発も担当する。
「グノシーやニュースパスのユーザーは、記事をきっかけに商品やブランドを探すということは、あまりしません。一方LUCRAのユーザーは、記事を起点に気になる商品やブランドの情報を能動的に探していく傾向にあります。そうしたユーザーの動きを踏まえ、いかに配信ロジックを最適化し、実装していくかに苦心しました」
そして2017年5月、LUCRAをリリース。
「開発が忙しかったので、ローンチの瞬間はあまり印象に残っていません。うれしいというよりも、リリースした以上、これからはタイムラグなしにサービスをより良いものしていかねばならず、むしろ“追い詰められた”という焦りに近い感覚でした(笑)」
その後の事業拡大フェーズにおける、さまざまな課題なども乗り越え、2017年夏に渡辺さんは、LUCRAの事業責任者になる。いち早くビジネスを学びたいと考えてはいたものの、これほど早い展開になるとは予想もしていなかった。少数精鋭のGunosyを選んだ渡辺さんの判断は正しかったといえる。
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