ニューノーマル時代のエンジニア生きのこり戦略:エンジニアが苦手なのは早起きじゃなくて通勤だった?(3/5 ページ)
コロナ禍3年目を迎え、いろいろな常識が変わったよね。でも、変わらないものもあるんだよ。
変わる求人
エンジニアの側から見ると「売り手市場」、つまり転職に有利な状況は続いています。ですが、コロナ禍とともに既に変化の兆しもあったようです。というのも、Findyの2020年8月のレポートで、気になるポイントを見つけてしまったのです。
レポートからは旺盛な採用意欲も読み取れるのですが、企業からのコメントとして「採用ハードルを上げた」「地方在住の方も採用ターゲットにした」という回答も取り上げられていました。企業がエンジニアを求めているなら、「地方在住の方も採用ターゲットに」するのはまあ分かる。でも「採用ハードルを上げ」るのはなぜなんだ? ここをちょっと掘り下げてみましょう。
エンジニア、インターネットのむこうに
まずは、「地方在住の方も採用ターゲットにした」について考えてみましょう。
働き方の基本がテレワークになれば、エンジニアの居住地がどこであろうと特に問題はなくなります。ミーティングや採用面接など同期でしなければならない仕事にはタイムゾーンという制約はありますが、物理的にはどこにいてもいいわけです。
例えば、PayPayの「Work From Anywhere at Anytime」。在宅勤務手当の支給、定期代支給から実費交通費支給への切り替えなどを軸に、オフィスに出社する目的を「作業のためではなくコラボレーションのため」という位置付けへの変革を進めている、ということです。
ざっとググっただけでも、noteの「フレキシブル出社制度」やheyの「WORK LOCAL」など、オフィスは残すけど毎日出社しなくてもいいからオフィスの近くに住まなくてもいいよ、という制度を打ち出した企業はたくさんあるようです。天下の大企業NTT(日本電信電話)グループも、「ワークインライフ」というテレワークを基本とした働き方を推進する、と発表しています。
菌類にも東京脱出を果たした友人がたくさんいます。福岡、大阪、京都、イギリス、福岡、名古屋、カナダ、福岡、仙台、福岡……。あれ、福岡なんだか多いな?
このような制度のおかげで、東京以外の場所でも生き生きと生活しながら働けるのはとても良い変化だと思います。一方で、どこに住んでいても仕事ができるということは、どこに住んでいるエンジニアであっても採用できる、ということでもあります。
実際に採用の動向を見ても、東京だけ、あるいはオフィス拠点があるところだけに絞っていたころと、日本国内ならどこでもOKになってからを比べると、格段に候補者の数が増えています。転職する方から見ると売り手市場なのは変わりませんが、同じポジションに応募するエンジニアの母数は確実に増えているのです。
母数が上がれば採用基準を厳しくできる、つまりより優秀なエンジニアを選べるようになった、ということが予想できます。
不況に至る戦争、そして
もう1つ、採用ハードルが上がるきっかけとなる大きな変化が、世界経済にありました。それを気にするようになったきっかけは、このツイートでした。
菌類、直接はこの方を存じ上げないのですが、プロフィールを拝見すると、Slackでエンジニアをされているようです。つまり、「hiring freeze」が起きているのはシリコンバレーってこと?
続けて検索してみたら、英語の記事に行き当たりました。「SalesforceやTwitter、Metaあたりは採用を遅らせたり止めたりしてるで」という内容で、Netflixのレイオフについても言及しています。
理由はグローバルなものから各企業によるものまでさまざまで、経済や国際情勢は菌類ごときに正しく解説できるものではありませんが、大きなきっかけはロシアによるウクライナ侵攻にあるのは間違いないようです。戦争反対。
BUSINESS INSIDERの記事では他の企業の状況も紹介され、もう少し詳しく分析されています。記事中にはこんな記述もありました。
エンジニアの人余りが起きているのでは、というのが現在の認識です。
えっ、さっきまで売り手市場の話してなかったっけ?
株価や金利など、日本の経済指標は米国のそれとちょっと遅れて連動するといわれています。あんまり考えたくないけど、明日はわが身…? などと考えていたら、こんなツイートが流れてきました。
えっ、がっつり連動しちゃってるじゃん……。
ツイート1つで悲観するのは軽率にも程があるってものですが、エンジニアの転職市場がこのままイケイケを維持すると考えるのも、やっぱり軽率な気がします。
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