あおぞら銀行、抵抗感の少ないBYODとスマホ内線でテレワーク環境を刷新:羽ばたけ!ネットワークエンジニア(57)
あおぞら銀行はコロナ禍以前から、社外にいても携帯電話で社内の固定電話機と内線電話が使えるFMC(Fixed Mobile Convergence)を利用していた。しかし、テレワークを本格化し、より進化したコミュニケーションを実現するには課題があるため、FMCからBYODによるスマホ内線に切り替えた。その狙いと特徴を明らかにする。
あおぞら銀行(本店 東京都千代田区麹町6-1-1、従業員数《連結》2382人)は旧日本債券信用銀行が源流で、事業再編など専門的な金融を得意とし、本・支店20店舗を有している。2017年に本店を九段下から現在地に移転した。
電話基盤は2005年からシスコシステムズ合同会社の「Cisco Unified Communications Manager」(以下、CUCM)を使ったオンプレミスのIP電話を運用している。本社移転を契機に外出の多い営業部門を中心に約800台のスマートフォン(スマホ)を会社から貸与し、FMC(Fixed Mobile Convergence)によるスマホ内線を実現していた。
しかし、社給スマホによるFMCでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で拡大したテレワークへの対応やコストの面で課題があった。そこで、FMCから社員のスマホを使うクラウドPBXに移行して課題の解決を図るとともに、利便性の高いコミュニケーション基盤を構築した。
2つの電話基盤を併用、パーソナライズでBYODの抵抗感を少なく
クラウドPBXの導入を担当したインフラストラクチャーマネジメント部システムインテグレーション第三グループ課長の木村俊介氏によると、FMCはスマホ購入や維持コストが高いだけでなく、スマホの特徴を生かしたテレワークに有用な機能が使えないという欠点があった。
FMCはスマホが普及していない2010年以前にガラケー(フィーチャーフォン)での利用を前提に作られたサービスだ。ダイヤル操作のみで、スマホであってもガラケーとしての使い方しかできない。あおぞら銀行がFMCに満足できなかったのも無理はない。
関連記事
- 5000台規模のZoom Phone、千代田化工建設がわずか4カ月で導入に成功した理由とは?
コロナ禍を契機に、固定電話機中心のレガシーなPBXから、場所にとらわれない働き方を可能にするクラウドPBXへの移行が進んでいる。企業としては短期間に、低コストで高機能なクラウドPBXを導入したい。そのためのポイントはどこにあるのだろうか。 - Zoom Phoneで「脱・PBX」はできるか?
脱・PBX(構内電話交換機)の流れは10年ほど前から続いている。音声クラウドサービスはそのための手段だ。新しい音声クラウドサービス「Zoom Phone」が日本でも2021年から使えるようになった。Zoom Phoneで「脱・PBX」はできるのだろうか? - 「Microsoft Teams+FMC」で、PCは電話を飲み込んでしまうのか?
携帯大手3社はMicrosoft TeamsとFMCを連携させたクラウド電話サービスに注力している。TeamsがあればPBXが不要になり、固定電話機がなくてもPCが電話機代わりになる。今後、PCは電話を飲み込んでしまうのだろうか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.