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徳島県の「ハイブリッド5G」(ローカル5G+キャリア5G)に学ぶ、インフラシェアリングの活用方法:羽ばたけ!ネットワークエンジニア(58)
徳島県が全国初のインフラシェアリングを用いたハイブリッド5Gの構築を進めている。この取り組みを参考に、企業内5Gにおけるインフラシェアリング適用について考える。
徳島県は、ICTを活用した地域活性化や安心・安全な暮らしの実現に積極的なことで以前から知られている。筆者の記憶に残っているのは、2011年に県内に整備した高速ネットワークを生かし、全国に先駆けて都市部にある企業のサテライトオフィスを招致したことだ。その数は順調に増えて、2022年10月現在、93社のサテライトオフィスが開設されている。
ローカル5Gへの取り組みも早く、2020年9月に県庁舎で本免許を取得したのを皮切りに、現在12カ所で32免許を取得済みだ(2022年9月末時点)。地方創生局 デジタルとくしま推進課 主席佐光広格氏によると、このうち5カ所は実証実験ではなく実用だという。その中には、内視鏡システムによる検査の映像を離れた場所にいる専門医と共有して診察する遠隔診療が含まれる。キャリア5GについてはNTTドコモと提携し、遠隔医療支援などの実験に取り組んでいる。
2022年9月にはローカル5Gとキャリア5Gを連携させ、救急医療サービスや防災に活用するローカル5Gインフラシェアリングを行うことを発表した。
ハイブリッドな5G利活用モデルの実現
佐光氏によると、インフラシェアリングの狙いは高速安定性を特徴とするローカル5Gと広域性と移動体対応(クルマやドローン)に優れるキャリア5Gを効率的に連携させ、ハイブリッド5Gならではのユースケースを実現することだ(図1)。
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