「リソースファイルで多国語対応のサイトを構築する」では、リソースファイルとjava.util.ResourceBundleクラスを用いて、ソースコードから地域依存のデータ(文字列)を分離する「国際化対応」の手法を紹介しました。しかし、決まりきったリソースファイルの読み込みとプロパティ値取得のために、いちいちスクリプトレットを記述しなければならないのは、あまり好ましくありません。
そこで本稿では、JSTL(JSP Standard TagLibrary)のi18n(Internationalization)タグライブラリに用意された<fmt:message>タグを利用して、スクリプティング要素を使わずに国際化対応のJSPページを作成する方法を紹介します。なお、JSTLタグライブラリのインストール、利用方法については、「個別のJSPページでJSTL宣言を省略する」を参照してください。
まずは「.jsp」ファイルから参照するリソースファイルを作成します(リスト1、リスト2)。
sample.title=国際化対応サンプル |
sample.title=Internationalization
Sample |
なお、リソースファイルに日本語(2バイト文字)が含まれている場合には、native2asciiコマンドを利用して、あらかじめUnicodeエスケープしておく必要がある点に注意してください。上の例でファイル名の拡張子を「.sjis」としているのは、エスケープの前後でファイル名が重複しないようにするためです。ここでは仮に「.sjis」という拡張子を付加していますが、これは一時ファイルとしての処理なので、拡張子は自由に決めて構いません。Unicodeエスケープの結果、最終的に「msg_ja.properties」というファイルを作成します。なお、Unicodeエスケープの詳細については、「リソースファイルの内容が文字化けする場合には」を参照してください。
これらのプロパティファイルは「WEB-INF/classes」フォルダに配置します。
i18nタグライブラリを利用する場合には、あらかじめデプロイメント・ディスクリプタ(web.xml)に、使用するリソースファイルのベース名やロケールなどの基本的な設定情報を追加しておくと便利です。web.xmlの記述は必須ではありませんが、その場合、個々のJSPページに<fmt:setBundle>(<fmt:bundle>)要素などを記述する必要があります。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?> |
最後にリソースファイルを利用するJSPページを記述してみましょう。
<fmt:setLocale
value="${pageContext.request.locale.language}" /> |
注:本稿では、「個別のJSPページでJSTL宣言を省略する」の設定が完了していることを前提とし、一連のディレクティヴ記述を省略しています。
<fmt:setLocale>要素では、現在のページで使用するロケールを設定します。式言語の「${pageContext.request.locale.language}」はHttpServletRequest#getLocaleメソッドと同意です。つまり、クライアントのロケール設定に基づいて、ページのロケールを設定しているわけです。あとは、<fmt:message>要素を指定するだけで、対応するキーの値を取得することができます。
ブラウザから言語設定を変更し、最も優先順位の高いロケールの言語が表示されれば成功です。
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