本連載は、ちょっととぼけた女子高生の姉妹が今注目のアジャイル開発手法であるスクラムとプロジェクト管理ソフトの「Redmine」を使って、システム開発をするというフィクションです。
本連載は、ちょっととぼけた女子高生の姉妹が今注目のアジャイル開発手法であるスクラムとプロジェクト管理ソフトの「Redmine」を使って、システム開発をするというフィクションです。
前回の『高校生になって初めてスクラムを始めました〜「ストーリー」で何を作るかまとめよう』では、「スクラム」とは何かを説明し、スクラム開発の例として電子目安箱を作り始めました。「ストーリー」で欲しい機能を書き出し、それに「優先順位」を付け「見積もり」をするところまで無事に(?)終えました。
今回も姉の暴走を妹が止めつつ、スクラム開発にまい進していきます!
おねーちゃん、今日はスクラム開発をするのに一番重要な「スプリント」の話をするよ。
あ、知ってる知ってる。走り屋が好きな車、えーと、「ハチロク」でしょ?ハチロク!!
ハチロクなんて、アウトオブ眼中!とっくの昔に生産停止になっているわよ。そんなこといってると、年がばれるわよ、おねーちゃん。
あら、やーね〜、まいんったら。小さいころ、お父さんの車でよく家族旅行したじゃない?
そ、そうだったかしら……。
それに、2012年に新しいモデルが発売されるらしいわよ。今一番ホットな車よ!!ところで、スプリントって何なの?
急に話を戻さないでよ。調子狂うなぁ。スプリントっていうのは、作業時間の単位(タイムボックス)よ。例えば、2週間や1カ月って決めて、スプリントごとに動くソフトウェアを作るの。
スクラムでは一度に全部の機能を実装するんじゃなくて、スプリントごとに動作を確認するの。で、実際に使ってみて初めて分かる仕様漏れや、新たな改善点を洗い出せるようにするの。別のアジャイルの流派では「イテレーション」とも呼んでいるね。
さて、スプリントに入る前に、まずはスプリントの長さ(期間)を決める必要があるわね。
ふ〜ん、スプリントの長さはどうやって決めればいいの?
スプリントの長さは2週間から1カ月が多いわね。取りあえず、2週間にしてみよっか。あまり長い期間にすると、スプリントの間の作業がうまく見積もれなかったり、見積もりのズレも大きくなるから、最初は長くしすぎないようにするのがいいわね。
スプリントを何度かやって、チームにとってちょうど良いスプリント期間が分かったら、スプリントを決めた期間で実施するの。期間を決めてやることによって、スプリント期間の作業のリズムが生まれるのよ。バンドの演奏もリズムにノッてビートを刻んだ方が気持ち良いよね!!
期間を決めてやるって、前回の冒頭で話したみたいに、中間テストとか期末テストみたいだね。まぁ、私は3日くらい前からしか勉強は始めないけど。
スプリントの期間が決まったところで、次に2週間のスプリントで行う作業を決めていきましょー。
スプリントが定期試験だとすると、スプリントで行う作業って、試験の出題範囲みたいなものかなぁ。
そうね。その出題範囲は、前回優先順位を付けたストーリーの上から順にスプリント内でできそうな数だけ選んでいくの。優先順位が高いものから選んでいくのがコツね。
優先順位が高いものから選ぶのは、つまり、テストに出そうなところから勉強していくってことと同じね。テストにあまり出ないところは最後の仕上げにやるもんね。おねーちゃん、だんだん分かってきたぞー。
でも、最初は、スプリントの期間でどの程度勉強……、いや、作業ができるか分からないんじゃないかなぁ。
取りあえず、初めの1回は勘で見積もるしかないわね。1スプリント回すと、その期間で「チームで、どの程度のポイントが消化できるか」が分かってくるから、次からは見積もりができるようになるわ。ちなみに、1スプリントで消化できるポイント数のことを、「ベロシティ」っていうのよ。
ナゾの転入生がチームに入ってきたら、1スプリントでできる作業って増えたりしないのかしら。超能力か何かでビビッと片付けてくれたりして。
チームメンバーが変更になると、ベロシティ(チームで消化できるポイント数)が狂ってくるから、スクラムではチームのメンバーはできるだけ固定してスプリントを何回も回すことを推奨しているわね。チームメンバーを固定していれば、スプリントを繰り返すことで見積もりも正確になって、誤差も少なくなるから。あと、同じチームで続けていればチームワークが生まれてきて、より効率的に作業がこなせるようになるわ。
そういえば、バンドものや超常現象もののアニメってメンバーが大体固定ね。確かにメンバーがコロコロ変わったんじゃあ、キャラクターに感情移入しにくいもんね。じゃあ、1スプリントは……、2週間でできそうなストーリーを選んでみるね。こんな感じかなぁ。
大体そんな感じね。スプリントで実施するストーリーを決めるときは、どこまでできるかチームメンバーで議論しながら選ぶといいわね。
あと、優先順位が高いものから選ぶっていっても、最後に選んだものが実はストーリーポイント(作業量)が大きくて期間内にできないことがあるわね(図3左)。そういうときは、そのストーリーをさらに細かく分けてできる部分だけをやったり(図3右上)、次に優先順位が高いものから見ていって、ちょうどできそうなストーリーを選ぶ(図3右下)といいわよ。
その辺りは臨機応変ってわけね。私もバカじゃないから、そのくらい考えるわよー。
次ページでは、「タスク」「デイリースクラム」「スプリントバーンダウン」について解説し、実践します。ついに連載タイトルの由来が明らかに!?
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