デスクトップ色を強めたFedora 8
〜オンラインデスクトップによるウィジェット活用も〜Shin.鶴長 2008/2/21 |
オンラインデスクトップで多様なウィジェットを活用
Fedora 8では、GNOMEオンラインデスクトップをいち早く体験することができます。GNOMEオンラインデスクトップは、Webサービスとデスクトップの統合を進めたもので、サイドバーアプリケーション「BigBoard」を通してWebサービスを利用できます。
現在はローカルファイルの検索、アプリケーションランチャ、Googleカレンダなど、提供される機能は限定的ですが、今後、Webサービスと連携したさまざまなウィジェットが提供される予定です。
なお、GNOMEオンラインデスクトップを使用するには、GNOME Onlineのアカウントが必要です。GNOME OnlineはRed Hatが提供するSNS「Mugshot」と連携しており、GNOME OnlineのアカウントでMugshotを利用することができます。
GNOMEオンラインデスクトップはデフォルトでインストールされません。以下の手順でインストールを実行します。
# yum install online-desktop |
GNOMEオンラインデスクトップを利用するには、ログイン画面で「セッション」をクリックし、「3.Online Desktop Demo」をセッションに選択する必要があります。ログイン後、BigBoardの「Enable Online Desktop」をクリックし、GNOME Onlineアカウントを作成します。
画面13 セッションの選択 |
画面14 最初のログインでGNOME Onlineのアカウントを作成する |
ログインに成功した後、デフォルトで利用可能なウィジェットがBigBoard上に現れます。
通常のGNOMEと比べ、オンラインデスクトップでは、画面上部にあるはずのデスクトップメニューを選択することができませんが、BigBoard上部のユーザー名をクリックすることで、アカウントの設定・デスクトップ環境の設定・サイドバーの設定・ログアウトやシャットダウンの実行が可能になります。また画面右下には、Mugshotへのログイン状態を表すアイコンが組み込まれます。
画面15 Mugshotでアカウントの設定 |
画面16 Youtubeアイコンが追加され、クリックすることでマイページを開くことができます |
画面17 BigBoardにウィジェットを追加 |
なおアカウントの設定では、GNOME OnlineよりMugshotを利用した方が細かい設定が行えます。Mugshotの設定では、YouTubeやFlickrなど、ログインが必要なWebサイトを一元的に管理し、クリック1つで各Webサイトのマイページを表示することができます。
Alpha版に見るFedora 9の変更点
4月末の正式リリースを前に、Fedora 9のAlpha版が公開されています。Fedora 9では主に以下のような更新が実施されています。
- カーネル2.6.24の採用
- 新ファイルシステム「ext4」の採用
- 暗号ファイルシステムのサポート。インストール時に選択可能
- インストール画面(Anaconda)でパーティションのリサイズが可能
- 指紋認証装置のサポート
- ログイン画面「GDM」のデザイン変更
- プログラミング言語「Haskell」のサポート
- GNOME 2.22の採用
- KDE 4のサポート
- gnome-vfsに替わるGvfsの採用
- システム起動時のプロセス管理システムに、SysVinitに替わりUpstartを採用
画面18 Fedora Desktop Live Mediaを起動し、インストール画面で暗号ディスクを選択 |
Alpha版インストールイメージとともにLive CDも公開されており、インストールすることなく最新機能を垣間見ることができます。見た目ではログイン画面以外に大きな変更は少なく、システムやユーティリティの改修が目を引きます。
関連リンク: | |
Alpha版、各インストールイメージのダウンロード http://fedoraproject.org/get-prerelease |
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Fedora 9 Accepted Features http://fedoraproject.org/wiki/Releases/9/FeatureList |
切磋琢磨で切り開くデスクトップLinuxの可能性
以上、Fedora 8を取り上げ、インストール方法や主な特徴を解説しました。
デスクトップLinuxではUbuntuが注目を浴びるようになっていますが、Fedoraも、Spinのような派生ディストリビューションを充実させ、Live CDによる手軽なインストールを前面に押し出すなど、Ubuntuの影響を少なからず受けています。
Linuxをデスクトップ用途で使用するという長年にわたる試みは、Windowsの前に大きな成果を収めることはありませんでした。しかし今後、FedoraとUbuntu、お互い切磋琢磨し合うことで、この分野におけるLinuxの活躍が期待されます。
関連記事: | |
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