デスクトップ色を強めたFedora 8
〜オンラインデスクトップによるウィジェット活用も〜Shin.鶴長 2008/2/21 |
管理ツールの強化をはじめとする変更点
Fedora 8の主な変更点は次のとおりです。
- カーネル2.6.23の採用
- パッケージ管理ツール「yum」や「Pirut」「Pup」の性能改善
- パッケージ管理ツール「Pirut」でリポジトリの管理が可能に
- 仮想化環境の強化
- Java環境にオープンソースの「IcedTea」を採用
- 「GNOME 2.20」の採用
- インストールDVDに「KDE 3.5.8」や「Xfce 4.4.1」を収録
- NetworkManagerによる無線LAN管理機能の提供
- サウンドサーバ「PulseAudio」の採用
- 3Dデスクトップ環境「Compiz Fusion」をデフォルトインストール
- 「OpenOffice 2.3」を採用
- Bluetooth装置のためのGUIツールなど対応強化
- アプリケーションごとの消費電力を調べるツール「PowerTOP」の採用
- GRUBの起動選択画面やブート画面、GNOMEのスプラッシュ画面など、各所のデザインに「Infinity」を採用
- GNOMEデスクトップテーマに「Nodoka」を採用
- ブラウザのデフォルトホームページを一新
- セキュリティ機能の改修
- 新しいファイアウォール設定ツールに「system-config-firewall」を採用
- 「Eclipse 3.3」の採用
- BigBoardを使ったオンラインデスクトップのデモ版採用
- フルインストールメディアをDVDに限定(Live CDは別途配布)
- デスクトップにGNOMEやKDEを採用した複数のLive CDを提供
- Fedoraのパッケージを特定用途に再構成した「Spin」をさらに充実
関連リンク: | |
Fedoraプロジェクト「リリースの見どころ」 http://docs.fedoraproject.org/release-notes/f8/ja/sn-OverView.html |
それでは、以下主要な更新内容について詳しく取り上げ、解説を加えます。
■パッケージ管理ツールの強化
Fedora 8では、パッケージ管理ツールであるyumやPirut、Pupの性能が改善されています。
また「パッケージマネージャー」(Pirut)には、リポジトリを管理する「リポジトリーマネージャー」が新しく追加されています。ここでは、リポジトリの追加・削除、有効・無効の切り替えが可能となっています。非公式なリポジトリを追加した後、設定ファイルを手動で編集することなく「リポジトリーマネージャー」で有効・無効を切り替えるといったことが可能になります。
例えば、NVIDIAのディスプレイドライバなどのサードパーティパッケージを提供することで知られる「Livna」をyumのリポジトリに加えた後も、「リポジトリーマネージャー」を通して管理することができます。
・Livnaからlivna-releaseをダウンロードしインストールすることでLivnaをリポジトリに追加
# wget http://livna-dl.reloumirrors.net/fedora/8/i386/livna-release-8-1.noarch.rpm |
画面7 「パッケージマネージャー」(Pirut)の「リポジトリーマネージャー」でLivnaのリポジトリを管理することができます。ここで行った設定は、yumなどほかのパッケージ管理ツールにも有効となります |
なお、通常はyumを実行した際、ミラーサーバのリストから適当なサーバが選択され、ダウンロードが実施されます。より高速に働くよう最適なミラーサイトを選択するには「yum-fastestmirror」をインストールします。
# yum install yum-fastestmirror |
詳細は、Linux Tips「yumで速いリポジトリを自動的に選択するには」を参照してください。
用途ごとにパッケージを再構成した「Spin」の魅力
Fedora 7以降、パッケージを特定用途に再構成した「Spin」と呼ばれるバリエーションが用意されています。
インストールの解説では、デスクトップ用途向けのSpin「Fedora Desktop Live Media」を例に取って紹介しました。しかしそれ以外にも、KDEを採用したデスクトップ用途向けの「Fedora KDE Live Media」、DOOMやQuake3をはじめとするゲーム用途向けの「Fedora Games Spin」、EclipseやGCCなどの開発環境を整備した「Fedora Developer Spin」、マイクロ・ナノ電子工学向け「Fedora Electronic Lab」がダウンロード可能です。
画面8 Fedora Games Spinのデスクトップ |
どれもISOで配布されていますが、先ほど「ISOファイルをUSBメモリに」の項で紹介したように、簡単な操作でUSBメモリにイメージをコピーし、実行させることができます。
いまや、4Gbytesを超えるUSBメモリも数千円で入手できます。モバイル用途では、CDやDVDに代わって、USBメモリにOSを入れて持ち運ぶ機会も多くなるかもしれません。こうしたSpinはどれもデスクトップ用途を強く意識しており、デスクトップLinuxとしてのFedoraを強く印象付けています。
■オリジナルSpinの作成
今後、Spinのバリエーションはさらに豊富になると予想されますが、ユーザーが自らオリジナルのLive CDやインストールディスクを作成することも、簡単な手順でできます。作成には、livecd-toolsやpungi、Revisorを使用します。
画面9 Revisorの画面 |
数あるツールの中でも、Fedora 7から採用されたRevisorでは、GUIで操作を行うことができます。オリジナルSpinの作成方法は、次のLinux Tipsを参考にしてください。
関連記事: | |
Linux Tips Fedora 7でオリジナルのインストールDVDを作成する(pungi編) http://www.atmarkit.co.jp/flinux/rensai/linuxtips/a037instdvdpungi.html |
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Linux Tips オリジナルのFedora 7インストールDVDを作成するには(Revisor編) http://www.atmarkit.co.jp/flinux/rensai/linuxtips/a039fedorainstall.html |
標準でインストールされる3Dデスクトップ
Fedora 7までは追加インストールする必要があった3Dデスクトップですが、Fedora 8では標準でインストールされます。ただし、デフォルトでは3D効果が無効になっているため、デスクトップメニューから「設定」→「ルック&フィール」→「デスクトップ効果」で有効にする必要があります。
画面10 ワークスペースの切り替え時の3Dデスクトップ効果 |
画面11 デスクトップ効果の有効化 |
ビデオカードが対応していれば3Dデスクトップを利用することができますが、場合によってはサードパーティ製ビデオドライバをインストールする必要があります。その際は「パッケージ管理ツールの強化」で紹介した、Livnaなどの非公式レポジトリを追加して使用します。
「デスクトップ効果」では、ウィンドウ移動時と、デスクトップ切り替え時の効果のみ設定可能です。それ以外の設定を行うには「gnome-compiz-manager」をインストールします。
# yum install gnome-compiz-manager |
インストール後、デスクトップメニューから「システム」→「設定」→「ルック&フィール」→「GL Desktop」で設定画面を起動することができます。
画面12 GL Desktop(gnome-compiz-manager) |
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