Novell Nterprise Linux Services 1.0
柔軟なファイルサービス
NNLSが提供するファイルサービスは2種類ある。
「iFolder」は、さまざまな環境からファイルを呼び出せるネットワークストレージ機能である。オンライン時にNNLSサーバ上のファイルをローカル環境に取得するため、オフライン時でもローカル環境に保存したファイルで作業を継続できる。再びオンライン状態になると、自動的にバックグラウンドでファイルの同期を行う。これにより、どこからでもどの端末からでも最新状態のファイルを利用できる。
画面2 iFolderの同期操作 |
WindowsにiFolder専用クライアントソフトをインストールすると、デスクトップにiFolderフォルダが表示される。このフォルダでNNLSサーバのストレージにアクセスすることになる。前述したように、このフォルダ内のファイルはクライアント側、サーバ側どちらかが更新されるとオンライン時に同期して最新状態を保つようになっている。
画面3 iFolder(日本語ファイル名も問題ない) |
なお、iFolderはWebブラウザを利用したファイルアクセスも可能であり、この方法であれば専用クライアントソフトを使用する必要はない。
画面4 Web版iFolder(画像をクリックすると拡大表示します) |
ファイルサーバ機能はSambaによって実現している(注)。Sambaについて、いまさら説明する必要はないだろう。とはいえ、単にSambaが製品に含まれるというだけではない。NNLSへの統合が行われており、ユーザー認証はeDirectoryを利用するようになっているのである。
注:NNLS英語版はSamba 2.2系がベースだが、日本語版ではSamba 3.0系に変更されている。 |
IPP準拠のプリントサービス
最近はノートPCと無線LANの普及で、社内会議にPCを持ち出す機会も多く、会議先で印刷の必要に迫られる場合もあるだろう。そのような状況下では、簡単にプリンタがインストールできる環境の必要性が高くなる。このような環境に対応したプリントサービスを提供するのが「iPrint」である。iPrintは単なるプリンタサーバではなく、オフィス内に点在するネットワークプリンタとPCを、ダイナミックに接続する。iPrintにプリンタおよびプリンタドライバを登録しておくことにより、オンデマンドなドライバのインストールと印刷を実現する。
画面5 iPrintのプリンタ一覧 |
プリンタの選択時に威力を発揮するのが、「プリンタマップ」だ。Webブラウザでプリンタの位置を示す社内見取り図を表示し、そこからプリンタを選ぶことができる。これにより、ユーザーはプリンタの性能や自分に近いプリンタといった条件でプリンタを選択できる。
iPrintはIPP(Internet Printing Protocol)準拠の技術で実現している。IPPは印刷データをHTTPで転送するため、ファイアウォールなど既存のネットワーク構成による制約が少なく、導入が比較的容易といえる。異なるNTドメインやネットワークを越えた印刷が可能となるなど、メリットも大きい。
画面6 iPrintのジョブ管理 |
スケジュール管理も可能なメッセージングサービス
NNLSでメッセージングサービスをつかさどる「NetMail 3.5」は、SMTP、POP、IMAPといった標準的なプロトコルを実装している。そのため、Outlook Expressなど一般的なPOP/IMAPクライアントでメールの読み書きが可能である。SSLやS/MIMEにも対応しているので、これらが使えるクライアントであればよりセキュアなメール環境になる。
また、Virtual Office(後述)にログインすることで、Webメール機能を使用することができるため、出先でWebブラウザを介したメールチェックが可能になる。
画面7 NetMailのWebメール(画像をクリックすると拡大表示します) |
NetMailにはカレンダー機能も搭載されており、スケジュール管理やミーティング調整、タスク、ノートなど、グループウェア的な使い方が可能だ。
画面8 NetMailのタスク管理(画像をクリックすると拡大表示します) |
WebブラウザでNNLSを利用できるポータルサービス
すでに紹介したように、NNLSには多くの機能がある。これらの機能をWebブラウザから一元的に利用できるようにするのが、「Virtual Office」である。iFolder、iPrint、NetMailといったサービスをWebブラウザ上で利用できるほか、「Virtual Teams(仮想チーム)」機能を活用することで、グループでタスクやカレンダーを共有できる。
画面9 Vitual Officeメイン画面(画像をクリックすると拡大表示します) |
Virtual Teams機能は各ユーザーでメンバーの変更が行えるため、小規模なプロジェクトや短期間のタスクにも柔軟に対応できる。
ちなみに、Virtual Officeは同社のポータルサービスexteNd Director Standard Editionによって実現されている。
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