ネットブックで動く軽量Linuxディストリ大全(後編)
〜 ネットブック専用にサーバ用、よりどりみどり 〜
Shin.鶴長
2009/2/25
最後に、USBメモリでこうしたディストリビューションを持ち歩く際のコツを少しだけ紹介しておきましょう。
Tips 1:Live CD用ISOイメージファイルをUSBメモリで利用する
Live CDを利用しようにも、ほとんどのネットブックにはCD/DVDドライブが搭載されておらず、別途用意する必要があります。またSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)を内蔵ストレージに搭載している場合、新たなOSをインストールできるだけの空き容量もありません。そこで利用したいのが、USBメモリを使ったLive USBです。
ディストリビューションによっては、Live USBを作成するためのツールも一緒に配布しているものもあります。
例えばUbuntu デスクトップ版では、Live USBを作成するツールが提供されています。ディストリビューションでそうした手段が提供されていない場合でも、次のような方法でLive USBを用意することができます。
関連記事: | |
Linux Tips:1CD LinuxをUSBメモリから起動するには http://www.atmarkit.co.jp/flinux/rensai/linuxtips/a031onecdusbboot.html |
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Linux Tips:Fedora 8のLive CDをUSBメモリから起動するには http://www.atmarkit.co.jp/flinux/rensai/linuxtips/a074usbboot.html |
Live USBならば、デフォルトでインストール済みのWindowsはそのままに、必要に応じてLinuxを起動することができます。USBメモリを一緒に持ち歩いても、大して苦にはなりません。
また、先に紹介したサーバ用途向け軽量ディストリビューションをLive CDのまま利用した場合、光学ドライブの耳障りなモーター音やドライブの耐久性が懸念されますが、Live USBならそうした問題はありません(USBメモリの書き込み限界よりは、不連続なスピンアップによるドライブの寿命の方が切実です)。
なお、Live USBを使用できるのは、USBメモリから起動できるPCに限られます。Intel CPU版MacのようにLive USBを起動することができない機種もありますので注意してください。
Tips 2:Liveメディアで作業したデータを永続的に使用する
Live CDにしろLive USBにしろ、作業した内容はPCシャットダウンとともに消失します。Liveメディアはハードディスクの代わりに、メモリをRAMディスクとして利用します。そのため電源の供給が止まれば、データは消失してしまいます。
作業中のデータを毎回継続して利用するには、ハードディスクへのインストールが必須ですが、最近ではLiveメディアで作業したデータを、永続的に使用する方法も提供されています。
例えばPuppy Linuxのように、シャットダウン時に、ユーザーデータをファイルとして外部メディアに書き出すものがあります。またUbuntu 8.10 デスクトップ版は「パーシステント」と呼ばれる機能をサポートしており、更新内容をUSBメモリに書き出し、次に起動した際にはUSBメモリの情報を展開し利用することができます。Live USBに使用しているUSBメモリの一部をパーシステント領域として活用すれば、USBメモリ1つを持ち歩くだけで、どんなPCでも自分の作業環境を立ち上げることができます。
画面11 Ubuntuデスクトップ版でパーシステント機能に対応したUSB起動ディスクを作成する |
こうした作業データの永続性もディストリビューション選択のポイントに加えてはいかがでしょうか。
皆さんの選択は?
以上、最近動きが活発な軽量Linuxディストリビューションを取り上げました。Liveメディアを利用すれば、既存OSに影響を与えることなく、多種多様なLinuxを楽しむことができます。ネットブックを手に入れたものの、持て余している方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。
なお筆者は、この記事を書き終えるまでにネットブックの購入には至りませんでした。EeePCのS101には強くひかれましたが、新製品のうわさを聞くにつけ、もう少し待ってみようかと慎重癖が出てしまったわけです。SSDの容量アップは当然ですが、Atom N280の搭載やその先のデュアルコア化にも期待したいところです。SONYが発表した新たなVAIO Pにも注目です。皆さんはどんなマシンで楽しまれますか?
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