Xサーバ・カタログ
北浦 訓行
2003/7/15
シンプルな低価格商用Xサーバ X-Win32 Version 5.4 |
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X-Win32はその名前のとおり、Win32環境で動作する商用のXサーバです。ほかの商用Xサーバがさまざまな機能を盛り込み、ユーザーの利便性を追求しているのとは一線を画し、シンプルで高速、手ごろなライセンス料を実現しています。
ライセンスには、シングルおよび商用ライセンス、教育機関用ライセンス、政府機関用ライセンス、学生用ライセンスと、さまざまなタイプが用意されています。一般的なシングルライセンスの価格は、X-Win32単体が245ドルですから、日本円で3万円弱になります。ほかの商用Xサーバが7〜8万円ですから、価格はかなり低めです。
ただし、XIMプロトコルをサポートしていないため、WindowsのIMEを使用して日本語を入力することはできません。sshは別売で、X-Win32+SSHで295ドル(1年間の無料アップグレードと無制限テクニカルサポート付き)になります。
X-Win32のシンプルさは、[スタート]メニューに登録されるメニュー項目にも表れています。X-Win32のメニューは、X-Win32本体と設定ツールのX-config、そしてヘルプの3つだけです。
X-Win32のWebサイトには、日本語のサポート情報は載っていません。FAQやオンライン・チュートリアル、掲示板、メーリングリストなどはすべて英語です。また、マニュアルもありません。その代わり、日本語のヘルプが充実しています。FAQもヘルプに掲載されています。
評価版は、ダウンロードページから入手できます。最初にユーザー情報を入力すると、メールでダウンロード用のURLと45日間試用できるライセンスキーが送られてきます。試用は個人でも申し込めますが、申し込みページがSSLで保護されていない点は気になります。また、ユーザー登録は英語(ローマ字)で行います。
■設定ツール
X-Win32の設定は、X-configユーティリティで行います(画面1)。接続の設定を行うときは、[ウィザード]ボタンをクリックします(XDMCP接続は[追加]ボタンでも可能)。接続の設定以外は、タブをクリックしてそれぞれの設定を行います。
画面1 X-config。タブで機能を切り替える方式のユーザーインターフェイス |
X-Win32でホストに接続するときは、X-Win32本体を起動した後、メニューから[セッション]を選択して、登録したセッションから選択します。
[スタート]メニューからX-Win32を起動すると、タスクバーの通知領域(システムトレイ)にX-Win32のアイコンが表示されます(シングルウィンドウモードのときはタスクバーに表示される)。このアイコンを右クリックすると、メニューが表示されます。[セッション]をポイントすると、登録済みのセッション一覧が表示されます(画面2)。
画面2 X-Win32のメニュー |
なお、X-configには、[ショートカット作成]というボタンがあり、セッションのショートカットが作成できそうです。ただし、筆者の環境ではエラーが出て、このボタンは機能しませんでした。
■Linuxへの接続
X-Win32では、Linuxへの接続プロトコルを以下の2つから選択できます。sshに関しては、別売のプログラム(F-Secure社のSSH)を導入しなければなりません。
- XDMCP
- rexec
XDMCP接続は、以下のモードをサポートしています。
モード
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意味
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クエリー | 接続先を直接指定する |
間接 | リモートホストに接続してから、接続先PCの一覧を表示する |
ブロードキャスト | ブロードキャストでXDMCP接続をリクエストし、最初に応答したホストに接続する |
マルチキャスト | XDMCP接続が可能なホストを検索して、一覧から接続するホストを選択する |
ユーザー名とパスワードを入力すると、コンソールからログインしたときと同じ状態で、X Window Systemが起動します。
rexecで接続するときは、X-configのウィザードで[rexec]を指定して設定を行います。[コマンド]は、Linuxのデフォルトはxtermになっています。そのままでも構いませんが、日本語の表示などを行いたいときは、xtermの「x」を「k」に変更してktermを利用しましょう。
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