Xサーバ・カタログ
北浦 訓行
2003/7/15
Xサーバ選択のポイント
今回評価したXサーバは、それぞれに特徴があるので、選択は比較的簡単かもしれません。
8万円を用意できるのであれば、商用Xサーバの3本(ASTEC-X、Exceed、Reflection X)から選択するのがいいでしょう。いずれも機能が豊富で、高速に動作します。使い勝手はどのXサーバも同じようなものでしたが、設定ツールの使いやすさは、ASTEC-XとReflection Xが良いと感じました。ASTEC-XとReflection Xのどちらを選択するかを考えた場合、筆者の環境ではXIMプロトコルが動作しなかったReflection Xは、落とさざるを得ません。
逆に、日本語入力ができなくても構わないのなら、Reflection XとX-Win 32が候補になります。Reflection Xのトレース機能は魅力的です。これは、Xプロトコルを捕捉してファイル化するもので、さまざまな問題を究明するのに役立つでしょう。そこまでの予算を取ることが難しい場合は、X-Win32を選択することになります。ほかのXサーバが約8万円であるのに対して、X-Win32は約3万円と比較的安価です。WindowsのIMEは使えませんし、ssh接続も別売のモジュールが必要ですが、スピードや安定性はほかの商用Xサーバに劣りません。
Exceedは、6本の中で最も機能が豊富で便利なツールがたくさん付属しています。ただし、OpenGLやsshのモジュールは別売です。
低価格またはフリーのXサーバは、X on Windows 2とWeirdXの2本です。Cygwin/XFree86はフリーですが、X on Windows 2には8800円の価値が十分にあります。WindowsのIMEで日本語入力できないのは残念ですが、XDMCP接続で簡単にホストに接続できる点は、商用のXサーバよりも優れているかもしれません。スピードは「まあまあ」です。Cygwin自体の速度はかなり遅いのですが、Xサーバとして使う場合は、そこそこの速度で表示してくれます。
WeirdXは、pure JavaのXサーバということで期待していたのですが、残念ながらうまく動作させることができませんでした。XDMCP接続ではマウスのクリックが有効にならず、rexec接続では日本語(2bytes文字)が表示できませんでした。WeirdXの設定は多分問題ないので、Javaの設定が原因かもしれません。
製品名 | ASTEC-X | Exceed | Reflection X | X-Win32 | X on Windows 2 | WeirdX |
販売元 | アステック | マクニカ | サイバネット システム |
StarNet | ホロン | JCraft |
価格 | 7万8000円 (アカデミック、個人向け、サイトライセンスあり) |
7万8000円(アカデミック、ボリュームライセンスあり) | 8万円(ボリューム、アカデミックライセンスあり) | 245.00米ドル(各種ライセンス形態あり) | 8800円 | 無償 |
試用 期間 |
日付設定 | インストール後60日間 | インストール後60日間 | インストール後30日間 | 評価版なし | なし |
ssh |
○
|
※1
|
○
|
※1
|
○
|
※2
|
コピー&ペースト |
○
|
○
|
○
|
○
|
○
|
○
|
IME |
○
|
○
|
※3
|
×
|
×
|
×
|
OpenGL |
○
|
※1
|
○
|
×
|
×
|
×
|
IPv6 |
○
|
×
|
○
|
×
|
×
|
×
|
備考 | 評価版でもサポートを受けられる | 評価版でもサポートを受けられる | 評価版でもサポートを受けられる | 商用Xサーバで最も安価 | Cygwin/ XFree86が原型 |
Javaで開発 |
※1 別売 ※2 TTSSHなどのsshクライアントを使用すれば可 ※3 対応しているが筆者の環境では動作しなかった |
8/8
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