Linux Square
第4回 読者調査結果発表

〜Linux管理者の苦悩と人気管理ツール〜

小柴豊
@IT マーケティングサービス担当
2001/7/28

 Linux Squareフォーラムでは、第4回目となる読者アンケートを実施した。今回は仕事でLinuxサーバの導入設定/運用管理を行っている読者に、業務上の課題や使用したいツールなどを伺っている。Linuxサーバのプロたちは、いま何を悩み、何を欲しているのか、その主な結果を紹介しよう。

読者のLinuxサーバ関与度

 まずはフォーラム読者の、Linuxサーバ関与度から見てみよう。導入/設定と運用/管理に分けて聞いたところ、導入+管理合計で52%の読者が仕事でLinuxサーバとかかわっていることが分かった(図1)。また現在は関与していない人でも、その多くが今後仕事でLinuxサーバを扱いたいと答えており、実務志向の読者が集っていることが分かる。

図1 Linuxサーバの導入/運用管理状況(n=190)

 Linuxサーバの導入/管理者にその用途を聞いた結果、「Web/メールなどのインターネットサーバ」が約9割に上っており、あらためてインターネット用途でのLinuxの強さが確認された(図2)。また半数の人は「データベースやECなどの業務系サーバ」をチェックしており、Eビジネス分野へもLinuxサーバの浸透が進んでいると思われる。では、これらLinuxサーバの導入/管理者が現在どのような課題を抱えているのか、続いて見ていこう。

図2 導入/管理しているLinuxサーバの種類(複数回答 n=99)

セキュリティと設定が2大課題

 Linuxサーバの導入/管理者に、“現在悩んでいることや解決したい課題”を10個の選択肢から選んでもらった結果が図3である。最も多くの導入/管理者が選んだ課題は、「セキュリティ管理」であった。ウイルスなどのアタック対象としてはWindows系製品への攻撃が話題になることが多いが、実際にインターネットサーバを運用する読者にしてみれば、Linuxだから安心ともいえないようだ。読者のコメントを見ると、

  • セキュリティホールを解消するためのこまめなアップデートが大変
  • アプリのパッチが出た場合、早急に対応すべきか、調べるのが手間

といった意見が目立った。セキュリティ管理はシステムが動き続ける限り気を抜けないプロセスであり、特にオープンソース系のツールでは高度な自主管理を求められるがゆえの悩みもあるのだろう。

図3 Linuxサーバ導入/管理上の課題(複数回答 n=99)

 また、セキュリティに次いで「Apache、BINDなど各種サーバの適切な設定」を挙げる導入/管理者も6割に達した。こちらも読者のコメントを見ると、

  • /etc配下の設定方法をマスターすることが課題。テキストベースの設定に精通すること
  • confファイルの書き換えなど、本に書いてあるとおりにしてもうまくいかないことがあるが、原因が分からないことが多い

などの“Linux駆け出し管理者”的な悩みから、“SambaとActive Directoryを併用したファイルサーバの構築”といったオープン環境構築まで、レベルを問わず課題が多いようだ。

Linuxサーバ設定/管理ツール使用状況

 では、これらの悩みや課題を解決するために、どのようなツールが求められるのだろうか? Linuxサーバの設定/管理ツールの中で、“現在使用している製品”および“今後使用したい製品”を尋ねた結果が図4である。現状では各製品とも使用率は低く、「設定/運用管理に特別なツールは必要ない」という意見が最も多かった。一方、今後の使用希望では約3割が「HDE Linux Controller」を挙げており、「各種サーバを適切に設定したい」悩みにこたえる製品としての需要性が表れているようだ。そのほかの統合運用管理系ツールへのニーズはまだ全体的に低いが、「HP OpenView」についてはLinux版を期待する読者も1割ほど見られた。前項で課題の3番目に挙げられていた「ネットワーク管理」に対して、NNM(Network Node Manager)のようなツールの登場が待たれているのかもしれない。

図4 Linuxサーバ設定/運用管理ツール使用状況(複数回答 n=99)

そのほかの導入希望管理ツール

 引き続き、前項の製品以外でどのような種類の管理ツールを今後導入したいか聞いた結果が図5である。過半数が「バックアップ/ストレージ管理ツール」「ウイルス対策」の2つを選んでおり、前述のセキュリティ管理ニーズの強さを裏付けている。

図5 そのほかLinuxサーバ管理ツール使用意向(複数回答 n=99)

 このようなツールでは、Windows/UNIXで高名ながらLinuxに移植されていない製品も多く、管理者としては悩ましいところだろう。Linuxがいま以上に普及するためにも、各種サーバやデータベースなどのアプリケーションに加えて、Linux管理者をサポートする各種運用管理ツールの充実が期待される。

付録:Linuxディストリビューション使用状況

 最後に勤務先Linux導入者に聞いた、現在使用中のディストリビューションの結果を参考まで紹介しておこう。「Red Hat Linux」「Turbolinux」の2強に続き、読者の「VineLinux」使用率も高まっているようだ。

図6 使用しているLinuxディストリビューション(複数回答 n=131)

調査概要

調査概要
調査方法
Linux SquareサイトからリンクしたWebアンケート
調査期間
2001年6月18日〜7月3日
有効回答数
190件

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