Microsoft、WSLのアップデートを発表 新しい提供方式、tarベースのWSLディストリビューションアーキテクチャとはRed Hatが公式WSLディストリビューションに

Microsoftは、WSLに関する幾つかのアップデートを発表した。Red Hatが公式WSLディストリビューションになるほか、tarベースのアーキテクチャが新たに採用された。

» 2024年12月11日 11時10分 公開
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 Microsoftは2024年11月19日(米国時間)、「Windows Subsystem for Linux」(WSL)に関する幾つかのアップデートを発表した。Microsoftは以下のように説明している。

Red Hatが公式WSLディストリビューションに

 WSLではどんなLinuxディストリビューションでも動かせるが、公式なWSLディストリビューションになることで、WSLユーザーは[wsl --list --online]や[wsl --install]のようなアクションを使って簡単にインストールできるようになる。Red Hatは、Red Hat Enterprise LinuxのWSLディストリビューションイメージを提供し、新しいtarベースのWSLディストリビューションアーキテクチャとともに提供を予定している。

tarベースのWSLディストリビューションアーキテクチャとは? 従来との違い

 われわれはWSLディストリビューションを作成するための新しいアーキテクチャをリリースする。これは、WSLディストリビューションのパッケージ化とインストールをサポートする新しいアーキテクチャだ。

 これまでは、appxパッケージを作成してMicrosoft Store経由で配布するか、[wsl --import]で.tarファイルをインポートすることにより、WSLディストリビューションを作成できた。しかし、これからはWindowsのコードを記述せずにWSLディストリビューションを作成でき、企業で一般的なファイル共有やネットワーク共有から、より簡単にディストリビューションをインストールできるようになる。

tarベースアーキテクチャにするための設定

 以前のappxベースのアーキテクチャを使う場合、.tarファイルを用意して、それを.appxbundleの中にパッケージする。Windows上でユーザーセットアップと作成を実行するコードを記述し、Microsoft Store経由で配布する。

 tarベースのアーキテクチャでは、同じ.tarファイル(もしくはエクスポートされたLinuxコンテナ)で始め、WSLディストリビューションにするための下記のような詳細情報を構成ファイル(/etc/wsl-distribution.conf)に追加するだけでよい。

[oobe]
defaultName = myDistro
command = /bin/my-distro -welcome
[shortcut]
Icon = /path/to/myicon.ico

 この例では、ディストリビューションの名前、Windowsで表示される際のアイコン、WSLを初めて実行したときの処理「out of box experience」(oobe)など、ディストリビューションの主要な属性を設定している。

新しいWSLゼロトラスト機能のアップデート

 「Microsoft Intune」と「Microsoft Entra ID」の統合を改善し、企業のセキュリティを強化する次の2つの新機能の提供を開始した。

 1つ目の機能は、WSLとのMicrosoft Intuneデバイスコンプライアンスの統合だ。この機能によりIT管理者は、条件付きアクセスを使って企業内で特定のWSLとバージョンの使用を強制できる。これにより、IT管理者は管理対象のWindowsデバイス上で実行されているLinuxディストリビューションとバージョンをより詳細に把握できるようになり、組織のセキュリティ体制強化につながる。

 また、WSLのコンプライアンス状況が、Windowsデバイス全体のコンプライアンス評価に含まれるようになった。これは、WindowsおよびWSLのコンプライアンス設定が構成されているケースが対象となる。さらに、コンプライアンス違反のWSLインスタンスが検出された場合、コンプライアンス違反を修正するための画面が表示される。

 2つ目は、Microsoft Entra IDとWSLの統合がプライベートプレビュー版で利用可能になったことだ。これは、WSLディストリビューション内から保護されたエンタープライズリソースにアクセスする際に、ゼロトラストによるセキュリティを提供する。具体的には、Entraトークンを扱う際のセキュリティを強化し、ネットワークパケットを経由して渡されないように保護する。また、Linuxプロセスは自動的に基盤となるWindows認証を使用して接続するため、セキュリティが一層向上する。

WSLに新しいスタートアップ画面が登場

 WSLで初めてLinuxを使用するユーザーから寄せられたフィードバックの一つに、Linuxの使い方や機能を知りたいというものがある。われわれは、WSLの新しいスタートアップ画面でこのフィードバックに対処したいと考えている。ユーザーが初めてWSLディストリビューションをインストールして実行すると、ディストリビューションのインストール端末ウィンドウと、WSLとは何か、その主な機能を説明するウィンドウが表示される。

(提供:Microsoft)

 各ナビゲーションアイテムには、その機能についての短い説明と、より深く学ぶためのドキュメントへのリンクを用意している。最新のWSLプレビューリリース2.4.4をインストールして「WSL Setting」アプリを実行し、「Getting Started」をクリックすると、この機能を試せる。

(提供:Microsoft)

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