オープンソースハイパーバイザー「Xen 4.20」公開 セキュリティとパフォーマンスが向上クラウド、組み込みシステム、エンタープライズアプリ向けの機能強化が進展

Linux Foundation傘下のXen Projectは、オープンソースハイパーバイザーの最新バージョンとなる「Xen 4.20」をリリースした。

» 2025年03月10日 08時00分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 Linux Foundation傘下のXen Projectは2025年3月5日(米国時間)、オープンソースハイパーバイザーの最新バージョンとなる「Xen 4.20」をリリースしたと発表した。

 Xen 4.20では、セキュリティの強化、パフォーマンスの最適化、x86およびArmアーキテクチャサポートの拡張、RISC-VおよびPowerPC(PPC)アーキテクチャの初期段階サポートが適用されている。

 Xen Projectのコミュニティーマネジャーを務めるケリー・チョイ氏は、「Xenの開発では、セキュリティとパフォーマンスを中心に据えている。Xen 4.20は、仮想化技術における重要なマイルストーンであり、企業、クラウドサービスプロバイダ、ハードウェアベンダーに、最新のエンタープライズインフラの要求を満たす高性能ソリューションを提供する」と述べている。

 Xen 4.20では従来バージョンと比べて、イントロスペクションツールのパフォーマンスが向上し、デバイスパススルー機能とキャッシュカラーリングが改善されている。また、AMDの「Zen 5」(Ryzen 9000シリーズ)プロセッサへの最適化により、最新のエンタープライズアーキテクチャのサポートが強化されている。使いやすさとパフォーマンスに重点が置かれ、仮想マシンのシームレスな管理も可能になり、包括的な脆弱(ぜいじゃく)性軽減によってシステムセキュリティも強化されている。

 Xen 4.20の主な機能強化点は以下の通り。

セキュリティとコード品質

  • MISRA-C準拠の拡張:GitLab CIにECLAIR MISRA Cスキャナーを統合し、90のルールを強制し、不当な違反はゼロになった

(※)MISRA-Cは、車載ソフトウェア開発のためのC言語のコーディング規約。MISRA(Motor Industry Software Reliability Association)が開発した

  • GitLab CIでx86、Arm64、RISC-V、PPCに対してUBSAN(Undefined Behaviour Sanitiser)をデフォルト(既定)で有効にした
  • 既存の2つのファジングハーネスをOSSFuzzに統合した

ハイパーバイザーコア

  • blkifプロトコル仕様における512b以外のセクタサイズについて修正した
  • libxenguestのドメインビルダーがセカンダリーモジュールの圧縮を解除しなくなった
  • 一般コードとアーキテクチャコードの分離の改善を継続し、ビットスキャンとハミングウェイトのためのビット操作ヘルパーを改良した

x86

  • Intel CPUでは、Paging-Write Featureのサポートにより、ゲストのページテーブル更新をより効率的に監視できるようになり、EPT(拡張ページテーブル)違反のオーバーヘッドが削減された
  • AMD Zen 5 CPUをサポートし、SRSO(投機的リターンスタックオーバーフロー)攻撃に対する脆弱性が軽減された
  • xAPICフラットドライバの変更により、外部割り込みに物理宛先モードを使用するようにした
  • EFIファームウェアのデフォルト構成を使用して、Xenの起動(および再起動)機能を向上させた

Arm

  • パフォーマンス最適化のためにLLC(Last Level Cache)カラーリングをサポートした
  • Armv8-Rアーキテクチャを実験的にサポートした
  • NXPの「S32G3」車載ネットワークプロセッサファミリーとLINFlexD UARTドライバをサポートした
  • 間接メッセージのサポートを追加し、SPMCへのRXTXバッファ伝送を強化して、FF-Aを改良した
  • 共有メモリを使用してSMC上でのSCMIリクエストの基本的な処理を可能にした
  • Xenの安全認証に向けて43の要件が追加された

RISC-VとPowerPCのサポートの進展(開発段階)

  • RISC-V:デバイスツリーマッピングとメモリ管理の初期化を強化した
  • PowerPC:初期起動割り当てを改良した

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。