上がり続けるOSS採用率、その理由は? 「2025 State of Open Source Report」で明らかに採用が急増する一方で、リスク面の不安も

オープンソースを推進するOSIは、世界のオープンソースエコシステムやオープンソースソフトウェア(OSS)の動向をまとめたレポート「State of Open Source Report」の2025年版を公開した。

» 2025年05月10日 08時00分 公開
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 オープンソースを推進する米国の非営利団体Open Source Initiative(OSI)は2025年4月10日(米国時間)、世界のオープンソースエコシステムやオープンソースソフトウェア(OSS)の動向をまとめたレポート「State of Open Source Report」の2025年版を公開した。

 レポートはOpen Source InitiativeとPerforce OpenLogicおよびEclipse Foundationが協力して作成した。オープンソースがあらゆる規模の組織でどのように採用、管理、拡大されるかに影響する最新のトレンド、課題、変化を説明している。

 2025年のレポートでは、オープンソースの採用は増えているものの、成長の痛みもあるという見解が示されている。

 Open Source Initiativeは本レポートに関する主な考察について下記のように述べている。

課題があるにもかかわらず、オープンソースの採用が急増

 オープンソースの波は、減速する兆しを見せていない。過去1年間にOSSの使用を増加または維持したと回答した組織は、実に96%に上った。さらに、26%が採用を大幅に増やした。

 一番の理由はコスト効率だ。2年連続で、「ライセンス費用がかからない/全体的なコスト削減」が採用した動機のトップになった。特に、クラウドインフラ、コンテナ、データプラットフォーム、プログラミング言語への投資が増える中、企業はオープンソースを賢明なコスト対策と見なしている。大企業は競争力を維持するために、アナリティクスやデータ処理ツールへの投資を強化している。

オープンソースによるビッグデータ管理への信頼は依然として低い

 オープンソースは今日の最も洗練されたデータシステムを動かしているかもしれないが、それらを効果的に管理できるかどうかはまた別の話だ。ビッグデータプラットフォームを扱う組織の半数近く(47%)が、こうしたツールを管理する能力に自信がないと回答している。

 何が足かせになっているのか。レポートでは、スキルギャップと人材不足を指摘している。75%以上が人材と専門知識の不足を最大の障壁として挙げており、オープンソースデータテクノロジーの急速な進化と複雑化で、チームがついていけなくなっている。

製造中止になったソフトウェアのリスキーな現実

 オープンソースの採用が好調であるにもかかわらず、多くの組織が時代遅れのツールにしがみついている。驚くべきことに、大企業の40%を含む26%が、サポートが終了した(EOL:End-of-Life)CentOSをまだ使用している。さらに問題なのは、これらの大企業のうち4社に1社が、依然として移行計画を決定していないことだ。

 その結果は重大だ。CentOSのようなEOLソフトウェアに依存している企業は、コンプライアンス監査で不合格になる可能性が約3倍高い。オープンソース利用における迅速な対応と適切なガバナンスの必要性が求められていることが浮き彫りになっている。

セキュリティとコンプライアンスが依然として課題のトップ

 セキュリティとコンプライアンスは、全体的に依然として持続的な課題のポイントだ。パッチやアップデートの最新状態の維持から、ますます厳しくなるセキュリティ要件への対応まで、企業はプレッシャーを感じている。

 旧式ソフトウェアの継続利用は、コンプライアンス上のリスクをもたらすだけでなく、システムが悪用されやすくなる。今日のオープンソース戦略には、ライフサイクル管理とセキュリティ対策の基本の徹底に強く注力する必要がある。

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