連載:IEEE無線規格を整理する(1)
〜ワイヤレスネットワークの最新技術と将来展望〜
無線ネットワークの規格、IEEE 802の全貌
千葉大学大学院 阪田史郎
2005/8/20
ユビキタスシステム実現に向けて |
携帯電話と無線LANの普及、総務省によるu-Japan、経済産業省によるe-Lifeの推進に伴い、ユビキタスシステム実現への期待が2004年以降急速に高まっている。ユビキタスシステムの中核的役割を果たす無線ネットワークについては、現在熾烈(しれつ)な開発競争が繰り広げられ、劇的なIT(情報通信技術)の市場変化を生み出しつつある。この極めてタイムリーな時期をとらえ、本連載では、ユビキタスネットワークと呼び得るこれらの無線ネットワークについて、その全体像をふかん的にとらえるとともに、将来の基盤となる技術を的確に把握することを目的に、さまざまな背景情報も含めて最新技術を解説する。本連載がユビキタスシステムをはじめとする情報通信分野の技術開発に携わられている研究者・エンジニア、企画・調査を主業務とされる方々、大学院の学生の皆さまにとっての一助になれば幸いである。
無線ネットワークの分類 |
無線ネットワークは、その通信距離に応じて、図1に示すように広域網(無線WAN: Wide Area Network)、数百km四方をカバーする無線MAN(Metropolitan Area Network)、従来有線では構内網と呼ばれてきた無線LAN(Local Area Network)、人間1人が自分の直接的な活動を示す範囲といわれる数十m四方をカバーする無線PAN(Personal Area Network)、さらにそれ以下の短距離無線に分けることができる。表1に、各ネットワークの位置付けと主なネットワークを示す。
図1 通信距離から見た無線ネットワーク |
表1のように、無線WANを除き、無線PAN、無線LAN、無線MANはそれぞれIEEE 802.15、IEEE 802.11、IEEE 802.16/20において標準化が進められている(IEEEの略はthe Institute of Electric and Electronic Engineersで米国電気電子技術者協会と訳される。IEEE 802は後述するように、当初は有線のLANの標準化を行うために設立された機関である)。
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表1 通信距離から見た無線ネットワーク ピンク地はセンサネットワーク、青枠はアドホックネットワークを示している ※1DSRC:Dedicated Short Range Communication、※2NFC:Near Field Communication |
無線PANと短距離無線とは、通信距離だけでは分けにくい面があり、ここではIEEE 802.15委員会で標準化の議論が進展しているネットワークを無線PAN、それ以外の数十m範囲内の通信が可能なネットワークを短距離無線と呼ぶ。図2に、有線を含めたLAN全体と無線ネットワークの国際標準化機関であるIEEE 802委員会の主な構成と、その中での無線ネットワーク部分の位置付けを示す。
図2 IEEE 802委員会(1980年〜)の主な構成(画像をクリックして拡大表示) |
ユビキタスシステム環境において特に重要な役割を果たす、アドホックネットワーク、センサネットワークなどの無線ネットワークや、今後無線が主体となる一般家庭を対象とした情報家電(ホーム)ネットワークなどは、通信距離で分けた分類ではないが、通信距離との対応では、無線LAN〜短距離無線に位置付けられる。
目次:IEEEを整理する(1) | |
無線ネットワークの分類 | |
無線ネットワークの全体動向 | |
IEEE 802と米国の動き |
関連リンク | |
特集:Voice
over Wireless LANの実現 第1回 無線IP電話の思わぬ落とし穴 第2回 無線IP電話の音質を左右する機器の選び方 |
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特集:エンタープライズ・ワイヤレス |
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【トレンド解説】802.11n、UWB、WiMax 2005年のワイヤレスの行方を占う |
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