どんなサーバがどんなポートで動いているの? Web、DNS、メッセンジャー、それぞれのポートとサーバを見ていきましょう!
今回学ぶこと
ようやくインターネットに出て、サーバに接続するところまでは分かったような気がする芽衣子さんですが、まだ向こうのことはよく分かりません。自動販売機みたいにボタンを押せばサービスが使えるようになるイメージです。
芽衣子 「難しいわねえ……。でも、ま、ゆっくり教えてもらいますか」
そんなことを考えている昼下がりの芽衣子さんです。
正男 「さて今日も、引き継ぎを……」
芽衣子 「ちょっと待って。その前にお腹がすいたからスタバでラテとスコーンを買ってきて。ベンティよ。はい、お金」
正男 「ええ、そうですね。空腹だと頭に入りませんよね」
芽衣子さんの戦略にずっぽりはまってしまい、甘いものですっかり骨抜きにされた正男さんは和気あいあいと甘いラテを飲みながら飼い犬と飼い主のようにまったりと引き継ぎを行っています。自分がいなくなる期日なんかすっかり忘れています。
正男さん
父親だけでなく弟の体調も悪いと聞いて心配でなりませんが、芽衣子さんに伝授して引き継ぐまでは帰れません。跡取りとしての自覚に目覚めた意外と責任感のあるデブです。
「せっかくうまくいきそうだったのに、また余計なのがやって来たよ」
芽衣子さん
せっかく正男さんを手なずけたものの、新しいキャラの出現にびっくりです。
「理系の男なんて籠絡(ろうらく)するのは簡単よ」
成沢さん
サービスに詳しい。まあイライラしています。正男さんよりももっと理系。日本語よりもマシン語の方が得意。
「社長が体調を崩して早く帰ってこいっていってるのに、何してるんだこの人は……」
芽衣子 「そんなむつかしいこといわれても分からないわ。私、物分かりが悪くて……」
正男 「あ……。まあ、いいですか。むつかしいことは明日にしましょうかね。この分だと私引っ越しも手伝わないといけませんね。ズズー」
芽衣子 「じゃあ、今日の引き継ぎはこのくらいにしましょうね、じゃ!」
面倒なことは先送りにするライフハック能力を遺憾なく発揮する芽衣子さんです。
芽衣子 「ああ、数字とか面倒だわ。でも、あのデブには甘いもの与えとけばいいってのが分かったからずいぶん楽になったわね」
このように引っ越しを目前に控えているのにもかかわらず、すっかり遅々として進まなくなってきた引き継ぎですが、出張で日本に来ていた正男さんの元上司に遅れていることがバレてしまいます。
成沢 「正男さん。引き継ぎはまだなんですか?」
正男 「いや、ちょっと、担当者の飲み込みが思ったより悪くて……。引っ越しまで面倒見ようかなと」
成沢 「何いってんですか早くしてください。本社は非常事態なのを認識してください……。一刻も早く終わるように私も協力させていただきますがいいですよね」
正男 「は、はい……」
相変わらず体に見合わず押しには弱い正男さんです。
本業も区切りがついて、今日は定時まで適当にやり過ごそうと思っていた芽衣子さんの所に正男さんがやって来ます。正男さんの横にはもう1人、スーツをぴしっと着こなした眼光が鋭い人がいます。誰でしょう。
正男 「ちょうどいま、日本の支社にいい人が来てるんですよ。紹介します、成沢さん」
芽衣子 「こんにちは、こちらが正男さんの後を継がれる方ですか」
正男 「インターネットのサービスは彼も詳しいから、今日から2人で教えることにします」
芽衣子 「あ、そう、よろしくね。チョコレート食べる?」
素っ気なく返事したものの、せっかく手なずけたっていうのにまた新キャラ登場で本格的に勉強させられそうでやだなあ、と芽衣子さんは困り顔です。
早速、正男さんが横を気にしながら口を開きます。
正男 「さて、今日は前回からの続きです。ようやくLANからインターネットに抜け出すことができました。インターネットと一口にいいますが、ウェブやメールなどさまざまなサービスがあります」
芽衣子 「それは知ってるわ」
成沢 「どんなのがあるか知ってるか?」
早速、成沢さんが口を挟んできます。なに、この人って面倒くさそう……。芽衣子さんにとっては嫌なのがやって来ました。
芽衣子 「メールとウェブと……、FTPかな」
正男 「前に説明したDNSもあるじゃないですか」
芽衣子 「そうだったわね」
正男さんが優しく助け船を出します。
正男 「実はそれらは、全部別々のサーバが動いているんですよ」
芽衣子 「へえーっ、知らなかった。インターネットって1つのIPアドレスに1つのサーバがどっかーんと置かれてるワケじゃじゃないんだ」
正男 「それぞれにそれ専用のルールがあって、使うソフトも違っているんです」
芽衣子 「そうなのね。勉強になるわ。ほかにもサービスってあるんだっけ」
正男 「知らずに使ってるサービスだってあると思いますよ」
成沢 「サーバごとに違うポートなのは知ってるか?」
2人で楽しく会話しているとまた成沢さんが口を挟んできます。会話が弾むのが気にくわないようです。
芽衣子 「ポートって何?」
初めて聞く用語に芽衣子さんは驚きです。
成沢 「お前、ポートも分からないのか?」
正男 「ポートというのはサービスの受け口で、サーバごとに番号が決まっているのです。例えばWebは80だったりするんですよ」
あきれる成沢さんを尻目に正男さんが優しく解説します。
芽衣子 「マンションの部屋番号みたいなもの?って前も似たようなこといってたような気がするけど……」
正男 「それよりは銀行の受付窓口のような感じですね」
芽衣子 「サービスやってるときだけ受付が待ってるって感じね」
芽衣子 「じゃあ片方が込み合っていてもほかの部署が肩代わりしてくれるようなことはないってことね。はあ?、……」(以下銀行の愚痴なので省略)。
脱線する芽衣子さんに成沢さんはイライラしています。
成沢 「ポートだ、ポートの話を続けるぞ」
芽衣子 「でも、そのポートってこっちはどうやったら分かるの?」
成沢 「普通サービスによってポート番号は決まっているので、ソフトを立ち上げてホストを指定すれば自動的に接続されるんですよ。Webだってwww.atmarkit.co.jpって接続するのにポート番号を指定することはないですよね」
芽衣子 「確かにそうね」
正男 「だから、一般のユーザーはポート番号のことをそれほど気にしなくてもいいんですよ」
芽衣子 「じゃあ、あんまり考えないようにするわ」
成沢 「あなたは管理者になるんだからダメだろ」
成沢さんがまたまた口を挟んできます。
芽衣子 「そ、そうね」
芽衣子さんは的確な突っ込みに少しダメージを受けました。なによ、この人、手強いわね。
正男 「このようにインターネットは実はIPアドレスだけでなくポート番号も大切なのです」
成沢 「ポート番号のないサービスもありますけどね。ふふん」
芽衣子 「え、なに、ややこしいわ」
せっかく分かったつもりになっているのに、芽衣子さんはまた頭がごちゃごちゃしてきました。
芽衣子 「ややこしい話はここに持ち込まないでください」
成沢 「私はただ正確な情報を……」
正男 「逆にインターネットから接続できるポートを制限することによって、セキュリティ対策にもなります」
芽衣子 「もう、セキュリティの話も後でいい!」
正男 「そうですね。細かい説明はまた今度にしましょう」
正男さんも余計なことをいうので芽衣子さんはすっかり頭がこんがらがっています。例外とかいわれても覚えられませんよ。
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