3つの手順で実現、サーバOSのIPv6対応これから始めるIPv6(3)(1/2 ページ)

IPv4アドレス在庫の枯渇やWorld IPv6 Dayの実施に伴い、「そういえば昔IPv6について読んだけれど、いまはどうなっているんだろう?」と感じている人も多いのではないでしょうか。最新状況を踏まえたIPv6の「基礎」を改めて紹介します。(編集部)

» 2011年11月28日 00時00分 公開
[許先明株式会社ラック]

いよいよ待ったなしのIPv6対応

 ついにIPv4のアドレス在庫がなくなったという報道から数カ月がたちました。そのせいか、最近、筆者の身の回りでも「IPv6に対応する」という話を格段に多く聞くようになりました。

 以前であれば、「まぁ、まだ大丈夫」的な議論も多くありましたが、さすがに新規アドレスの割り当てが受けられなくなる可能性があるとなると、そうも言っていられないということでしょう。

 さて、インターネットにおけるインフラは、大きくネットワークとサーバに分離することができます。ネットワークがデータをやり取りするための道路だとするならば、サーバは道路脇に立っているお店や公園などに該当します。

 この構造は、IPv4がIPv6に変わっても同じです。ですから、「IPv6でサービスを提供しよう」とか、「IPv6もそろそろ使えるようにしよう」と考えるならば、ネットワークのIPv6対応だけでなく、端末やサーバもIPv6に対応しなければなりません。

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クライアント端末のIPv6対応状況

 皆さんが通常利用している端末にはWindowsが導入されていることが多いでしょう。ただ、最近では、Mac OS Xを利用している人も増えていますし、スマートフォンやタブレットを利用している人も多くなってきています。

 これらの端末用OSは、すでにおおむねIPv6に対応しています。

OSの種類 IPv6対応状況
Windows XP SP3 システム設定が必要
Windows Vista 標準で対応
Windows 7 標準で対応
Mac OS X Leopard 標準で対応(PPC/Intel共通)
Mac OS X snow Leopard 標準で対応
Mac OS X Lion 標準で対応
iOS 4 対応(Safariでのみ確認)
iOS 5 対応
Android 2.2以降 OSは対応しているが、利用できるかどうかは端末依存
表1 端末用OSのIPv6対応状況

 表1を見ていただければ分かる通り、端末として動作している多くのOSが標準でIPv6に対応している状況となりました。

 日本国内においてはまだまだWindows XPの利用者が多いこともあり、標準でIPv6が利用できる端末となるとやや少なくなりますが、これも設定次第ということになります。また、スマートフォンに関しても、IPv6が利用できる端末が多くなってきているようです。

 本稿では端末のIPv6化に関しては詳細を述べませんが、IPv6を利用できる人が多くなっていることはご理解いただけると思います。

サーバのIPv6対応状況は?

 では、サーバはどうでしょうか?

 サーバは一般にOSとサーバアプリケーションによって構築されます。すなわち、サーバをIPv6化するには、OSをIPv6化して、IPv6ネットワークに接続し、その上でサーバアプリケーションをIPv6対応にする必要があります。

サーバOSの種類 IPv6対応状況
Linux
  RedHat Enterprise Linux(5/6) 標準対応
  CentOS(5/6) 標準対応
  Ubuntu 11 標準対応
  Debian(5/6) 標準対応
BSD
  FreeBSD(8.x) 標準対応
  NetBSD(5.x) 標準対応
  OpenBSD(4.x) 標準対応
  Mac OS X Server 標準対応
その他
  Solaris 10 標準対応
  Windows 2008 Server 標準対応
表2 サーバOSのIPv6対応状況

 表2にある通り、サーバで利用されていることが多いと思われるOSは、すでに標準でIPv6に対応しています。つまり、IPv6を利用できる環境にするには、OSの側でIPv6に関する設定を行い、かつサーバアプリケーションをIPv6対応にすればよいということになります。

 では、そのサーバアプリケーションのIPv6対応はどうでしょう?

アプリの種類 IPv6対応状況
DNS Bind 9 標準対応
NTP ntpd(ISC) 標準対応
SMTPメール関係 sendmail 標準対応
postfix 標準対応
Exim 標準対応
Dovecot 標準対応
courier-MTA/IMAP 標準対応
Web関係 Apache 2 標準対応
Lighttpd 標準対応
その他 ssh 標準対応
表3 サーバアプリケーションのIPv6対応状況

 サーバアプリケーションは非常に多岐にわたり、さまざまなものがあります。従って、すべてを調べ取り上げることは不可能です。しかしながら、おそらく最もよく利用されるであろうサーバアプリケーションは、おおむねIPv6に対応している状況となっています。

 このような状況を見ると、サーバのIPv6化も、その気になれば比較的簡単に行える環境が整いつつあるといえるでしょう。

 本稿では、非常に多くの環境で利用されていると思われるCentOSを例に取り、OSのIPv6対応設定について説明していきます。続く次回で、BIND9、ntpd、postfix、Dovecot、そしてApache2を取り上げ、サーバアプリケーションのIPv6対応方法を紹介します。

 OSのIPv6対応に関しては、CentOS固有(特にCentOS 6をもとにしています)の設定方法となりますが、サーバアプリケーションのIPv6化に関しては、OSに依存する部分はありません。UNIX系OSを利用している方は、ほぼ同様の方法で設定できますので、参考にしてください。

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