UHF帯RFIDの先駆者として産業の現場へ
浸透を深める富士通
工藤 淳
オフィスローグ
2006年11月3日
「RFIDは人に優しい技術」をアピールすることが普及を促す
――チップからソフトウェアまで、すべてのレイヤの製品を自社生産していることによるアドバンテージは
吉田 RFIDは、いろいろな部分が未知の領域です。単に電波の部分が見えないというだけでなく、それがどう現場で使われるのか、どのように業務システムに組み込まれるのかといった部分まで含めて試行錯誤の連続です。
その点、富士通は“オールアバウトRFID”の態勢で、RFIDの導入に際してどういう問題があって、どう対応していけばよいかという一連のプロセスを、一緒にお手伝いできるというわけです。これは、非常に大きなアドバンテージです。
海外では、導入から運用までを一貫して面倒見るベンダというのは存在しません。タグはタグのベンダ、機器は機器ベンダが調達します。しかし、これでは後で何かが起きたときにどう問題を切り分けるのかという点で、ユーザーの負担が非常に重くなります。
このあたりを克服していかないと、RFID導入のハードルはなかなか低くなっていきません。そうした意味でも、ワンストップですべての製品をご提供できるということが、RFIDの普及という点では重要になってくると考えているのです。
――RFIDシステムは、現場の人が直接触れるものだけにフォローが非常に重要だということですね
吉田 RFIDシステムを提供するというのは、ほかの一般のITソリューションとは少し違います。例えば、情報部門を相手にしたソリューション提供であれば、ユーザー側の担当者と富士通が一緒になって取り組みます。しかしRFIDシステムの場合は、製造業であれば製造部門の現場の方と直接やりとりをすることになります。
ここが、RFIDの導入で非常に難しい部分です。まず、実際に使ってみて、それが役に立つということを現場に実感していただかないと、なかなか継続的にかつ発展的に使っていただくことが難しいのです。
実際に当社のユーザーでも、RFIDリーダ/ライタを導入するところまでいく企業は多いのですが、しばらくして様子をうかがってみると、「思ったようにデータが飛ばない」といった理由で使っていない。それを私たちがアドバイスしながら、ようやく順調に使えるようになるという例が少なくありません。ただ製品を買っただけでは、なかなか継続的に使っていただけるようにならないのです。
また、設備投資に当たっては、どうしても企業は投資対効果といった目で、定量的にメリットをとらえて検討しようとします。しかし、現場の論理は、必ずしもそういった視点では動きません。
むしろ、もっと感覚的な部分、RFIDシステムを導入することで「こんなに仕事が楽になるんだ!」という実感がいったん得られることで、投資効果うんぬんといったレベルではなく「本当にこれは良いものだ」と、がらりと評価が変わるのです。このような「人に優しい」点をアピールしていくことが、RFIDシステムの需要の起爆剤になるのではないかというのが私の実感です。
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Index | |
UHF帯RFIDの先駆者として産業の現場へ浸透を深める富士通 | |
Page1 UHF帯、FRAMと他社が進出していない分野へ積極展開 |
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Page2 「RFIDは人に優しい技術」をアピールすることが普及を促す |
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Page3 増加する個人の労働負荷をRFIDが省力化する |
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Page4 RFIDは日本の産業構造変化を乗りきるキーツール |
RFID+ICフォーラム トップページ |
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