日本のRFID業界をけん引する人々(2)

UHF帯RFIDの先駆者として産業の現場へ
浸透を深める富士通


工藤 淳
オフィスローグ
2006年11月3日


 RFIDは日本の産業構造変化を乗りきるキーツール

――今後RFIDを導入したいと考えている方々にヒントをいただけますか

吉田 2つポイントがあると思います。

 1つ目は、「プロの知識やノウハウをうまく使う」ことです。先ほどからお話ししているように、RFIDではシステムそのものの設計がうまく進んでも、現場でうまくいくかどうかがネックになる例が非常に多いのです。実際、RFIDの導入では現場での経験が大きくものをいいます。そこで私たちのような、汗と涙で苦労した経験を持つ者に相談していただくことが早道になるのです。

 2つ目は、「現場の技術革新のために使ってほしい」ということです。私たちが那須工場/小山工場で経験したように、RFIDの導入が成功した場合に現場の人々が受ける感動や反響は非常に大きなものです。いままでの煩雑な作業からいちどきに解放される喜びを、企業自らが経験していただきたい。そうすることで、本当に使えるRFIDとは何か、またRFIDが真価を発揮する使い方はどういうものかが理解できてくるのです。

 この「現場での技術革新」は、今後の日本にとっても重要なテーマです。過去15年間、日本の労働人口は約6300万人で大きく変化していません。ところが製造業だけは15年前に比べて25%も人が減っています。

 この背景にはサービス業への流出や高齢化という問題がありますが、いずれにしても“ものづくり”を担う人が減って、いまのままでは生産力を維持するのが難しくなってくるのは見えています。そうした観点からも、現場の人の負荷を軽減することは重要課題であり、RFIDシステムはそのための有効な解決手段になると考えています。

――RFIDの未来像についてのお考えを聞かせてください

吉田 RFIDタグは、まだまだ未知の可能性を秘めていると私は思っています。そうした先の時代を考えるうえで、「トレーサビリティ」はメインに取り組みたいテーマです。単にタグに記録された情報を読み取るだけでなく、モノと情報が一体となることがユビキタスを実現するのであれば、モノに情報タグが埋め込まれて動くトレーサビリティ技術は、まさに将来のユビキタス社会を支えるテクノロジーの1つになり得ると思うのです。

 私たちが高速で読み書きが可能なFRAM開発に力を注いできたのも、そうした一歩先のビジョンを考えるという意味があります。いま、RFIDの応用事例は急速に増えつつあり、プラスのスパイラルが生まれてきています。そうした波をいっそう加速できるように、当社としてもさらに新しい知恵やノウハウを磨いていきたいと考えています。

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Index
UHF帯RFIDの先駆者として産業の現場へ浸透を深める富士通
  Page1
UHF帯、FRAMと他社が進出していない分野へ積極展開
  Page2
「RFIDは人に優しい技術」をアピールすることが普及を促す
  Page3
増加する個人の労働負荷をRFIDが省力化する
Page4
RFIDは日本の産業構造変化を乗りきるキーツール

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  RFID+ICフォーラムフィード  2.01.00.91



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